OLYMPIAN2018
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06小平 奈緒(こだいら・なお)1986年5月26日生まれ。長野県出身。2人の姉の影響でスケートを始める。2010年バンクーバーオリンピック女子チームパシュート銀メダル。14年ソチオリンピック女子500m5位入賞。大会後2年間、オランダに練習拠点を移す。14-15シーズンのISUスピードスケート・ワールドカップ500mで総合優勝。17年世界距離別選手権500m金メダル、1000m銀メダル。16-17シーズンのワールドカップは500m8戦全勝で総合優勝。18年平昌オリンピックでは女子500mで日本女子選手として初めての金メダルを獲得、1000mでは銀メダルを獲得。日本代表選手団主将、閉会式旗手も務めた。相澤病院所属。 ことを大切にしていきたいと思っています。——2年後の2020年には東京オリンピックがやってきます。スケートはもちろん、さまざまなスポーツにチャレンジしたいという子どもたちも多いと思います。あらためてメッセージをお願いします。小平 スポーツは人と人とをつなぐもの。だから、いろいろな人との関わりを大切にしながらスポーツを楽しんでほしい。そして、スポーツを通して、皆さんの世界を広げていってほしいと思います。 応援、どうもありがとうございました。 なさい」というメールをもらったんです。その時、確かにそうだなと思いましたし、自分の人生を生きることについて、さまざまな意味で覚悟ができた気がしています。ライバルは良き仲間——500mのレースで、小平選手が滑り終えた後、最大のライバルと目されていた地元・韓国の李相花選手が登場した場面で、小平選手が口に指を当てて会場を静める姿は印象的でした。またレース後に、李選手に「チャレッソ(韓国語で『よくやったね』の意)」と声をかけて慰め、健闘をたたえ合う姿は大きな話題となりました。小平 自分のレースが終わるまでは極限まで集中していましたが、その後は同じ舞台で戦う良き仲間としてフェアに戦いたい思いが強くありました。 私は、かつて試合で表彰台に上れなかった時期からずっと「どんなに悔しくても表彰台に上がった3人をたたえよう」と心がけてきました。勝った時も負けた時も、競い合う仲間に対してリスペクトする心を大切にしてきたのです。 互いを尊重し合いフェアに戦うスポーツマンシップは大切なものです。李相花選手だけではなく、他の選手、スケートに関わる全ての仲間たちとたたえ合いたい気持ちを常に持っています。  昔、私が表彰台に上がった時に、そうやって私をたたえてくれた海外の選手や、日本人の先輩選手たちがいたので、そういう姿を見て、お互いにリスペクトし合うことが、その競技自体の価値を高める上で大切な要素だと考えるようになりました。——多様な背景のある選手が競い合い、リスペクトし合うことはオリンピックの本質的な価値の一つですよね。小平選手の言葉や行動はまさにそれを体現していると思います。小平 それが、スポーツの気持ちよさであり、すがすがしさだと感じています。子どもたちから「こういう選手になりたい」と思ってもらえるように、言葉だけでなく、私自身の姿勢で示していきたいです。——小平選手は「メダルそのものよりも、メダリストとしてどう生きていくかが大切」と発言されていました。今、具体的に考えていることは何かありますか。小平 将来、オリンピックを目指す子どもたちやスポーツに取り組む子どもたちに、スポーツを通して学ぶことの楽しさを伝えたいという思いがあります。——李選手に対する尊重の精神や、競技と向き合う姿勢や覚悟も含めて、小平さんの言動から、結果以上にスポーツから得られるものが大きいということがひしひしと伝わってきます。小平 自分の人生を充実させてくれるのは、家族、友人、周りの人たちです。そういう人たちとどのように関わりをもって人生を過ごしていくか、という

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