OLYMPIAN2018
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22ンプで風に恵まれたドイツ勢との戦いになる中、前回に続き銀メダルを手にした。スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手は、ショーン・ホワイト選手(アメリカ)に最後は逆転されたもののソチオリンピックより進化した姿を見せて2大会連続の銀メダルを獲得した。 前回は「絶対的な優勝候補」と期待されながらも、調子の波が落ちていたことに加えて追い風にたたかれる不運もあり、きん差の4位でメダルを逃したスキー・ジャンプ女子ノーマルヒルの髙梨沙羅選手は、今季ライバルの急成長でワールドカップ未勝利という状態で平昌オリンピックに挑んだ。だが彼女は「スリリングな試合になればなるほど、女子ジャンプの面白さを見ている人たちに伝えられる。今は強い2人に勝てるようになったらどんなにうれしいのだろうとワクワクした気持ちになっている」と逆にその状況を喜んでいた。そんな気持ちの余裕は大会に入っても見られ、試合ではマーレン・ルンビ選手(ノルウェー)とカタリナ・アルトハウス選手(ドイツ)というライバル2強の壁は崩せなかったが、銅メダルを獲得した。フラワーセレモニーでの彼女の心の底から出てきた明るい笑顔は、長年女子ジャンプを背負い続けてきた彼女のプレッシャーを考えると、感動的だった。 日本カーリング史上初めてメダルを獲得した女子団体戦の銅メダルは、大会最終日まで日本中を盛り上げた。 日本代表選手団主将を務めた小平選手は「百花繚乱」をチームジャパンのテーマに掲げ、自身も金と銀の2個のメダルを手にして、 「メダルをとった選手以外も、それぞれに自分なりの色の花を咲かせてくれる素晴らしい大会になった」とコメントした。 「百花繚乱」——。 それは東京2020オリンピック、そして、2022年北京冬季オリンピックへと受け継がれていく。らにレース後には、銀メダルだった李相花選手(韓国/バンクーバーオリンピック、ソチオリンピック連覇)と健闘をたたえ合う姿で、オリンピズムを体現する高い人間力を見せた。 2015年の世界距離別選手権優勝で選手たちが世界一を意識した女子チームパシュートは、翌シーズンからオールラウンドチームにオランダ人のヨハン・デヴィットコーチが就任したのを機に底力を蓄えた。中でも髙木美帆選手は表彰台が見える位置に上がると次は表彰台の常連になり、17-18シーズンは、1500mでワールドカップ4勝とその実力を磨き上げた。その髙木美帆選手が主力となるチームパシュートもワールドカップでは3戦連続世界新で優勝し、勢いをつけた。本番の個人種目で髙木美帆選手はオランダの底力を見せつけられながらも1500mで銀メダル、1000mで銅メダルを獲得。さらに、姉の髙木菜那選手や佐藤綾乃選手、菊池彩花選手と組んだパシュートでは「この4年間、私たちが世界で一番パシュートの練習をしてきた」という思いを発揮し、決勝ではオランダに2秒近い差をつけて圧勝した。さらにこの勝利が「優勝しかないと思っていたパシュートで勝てたので、次は余裕を持って臨めた」という髙木菜那選手のマススタート優勝にもつながった。 フィギュアスケート男子シングルで66年ぶりのオリンピック連覇となった羽生結弦選手の勝利も、感動を伝えるものだった。昨年11月に右足首に大きなケガをし、練習を再開できたのは1月から。4回転ジャンプを跳べるようになったのは1月末のことで、まだ右足首には痛みが残る状態ながら、自分が今完璧にできるジャンプ構成を冷静に見極め、計算通りに優勝を手にした。「今回は勝たなければ意味がないと思っていた」という彼にとっては、自分自身にも勝利したオリンピックだったともいえる。 雪上競技でも日本代表選手団が躍動した。ノルディック複合ノーマルヒル個人では、ワールドカップ総合1位で臨んだ渡部暁斗選手が、ジャバイアスロン女子4×6kmリレーで17位となった日本チーム(立崎芙由子選手=写真、古谷沙理選手、三橋李奈選手、田中友理恵選手)。カーリング男子団体戦8位入賞を果たした日本チーム(両角公佑選手、山口剛史選手、清水徹郎選手、両角友佑選手、平田洸介選手)。スケート・ショートトラックの坂爪亮介選手は、男子1000mで5位入賞、男子500mで8位入賞、男子5000mリレーで7位入賞(渡邊啓太選手、吉永一貴選手、横山大希選手)を果たした。

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