OLYMPIAN2018
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16再び挑む北京への戦い——この4年間は長かったですか。髙梨 やっている最中は長く感じましたが、終わってみたらあっという間でした。——さらに4年後に向けたプランは。髙梨 女子ジャンプのレベルが上がってきているので、その波に乗り遅れないように成長していかないといけないと思いますし、今の自分の技術ではまだまだ戦えないことも分かりました。学ぶべきことが多い分、やはり楽しみでもあります。——髙梨選手にとって仲間やライバルはどういう存在ですか。髙梨 試合で戦っているライバルですが、一緒に戦っている仲間という意識もあります。ジャンプは、個人競技ですが対人競技ではないので、自分に勝てるかどうかが、結果につながってくると思います。——競技後、真っ先に駆け寄っていった伊藤有希選手からの言葉は。髙梨 「お疲れさま、よく頑張ったね」と言ってもらいました(笑)。——メダルを獲得したことで、今後の競技人生に与える影響はいかがでしょうか。髙梨 今まで支えてくださった方々に、メダルを見て、触ってもらいたいです。 私にとって、オリンピックとは「挑戦の場所」です。今回、ソチオリンピックの自分に勝って、借りを返せたと思いますが、次は平昌オリンピックの自分にも勝ちたい。目指すことはまだまだたくさんあるので、今度は北京オリンピックに向けて挑戦していきたいです。 心技体、4年間の成長——ソチオリンピックと比べて、違ったことはどんなところでしょうか。髙梨 ソチオリンピックでは、目の前のことしか見えていませんでした。調子がいい時や、自分の気分が乗っている時はいいのですが、失敗から崩れると立ち直れなくなってしまいますし、4年に1度のビッグゲームに合わせるためには心技体が伴わないといけないと思いました。目の前のことをこなしながらも、周りを広く見渡していろいろ挑戦することを意識してトレーニングをしてきました。——実際にどれくらい生かせましたか。髙梨 大部分を占めていました。最後は自分を信じて楽しく飛べたことが一番良かった点かなと思います。——今季は前年までのシーズンよりも結果が伸び悩む部分もあった思いますが、どんな気持ちでしたか。髙梨 焦りや不安が全くないと言えばうそになりますね。心配もありましたし、自分を疑う気持ちもありました。でも目の前のことを一つ一つ、つなげていくことが平昌オリンピックにつながると信じて、この4年間全力で取り組んできました。最終的には、自分のイメージ通りにやるべきことができたと思います。大事な人からいただいた「焦らず、慌てず、諦めず」という言葉を、何度も繰り返して自分に言い聞かせてきました。今、自分ができる限りのことはやれたと思います。ソチオリンピックでは期待されたメダル獲得まであと一歩の4位入賞。あれから4年、平昌オリンピックで髙梨沙羅選手は表彰台に上った。焦りや不安に駆られる日を過ごした女子ジャンプ界のエースは、ようやく手にしたメダルを前に何を思うのか。髙梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日生まれ。北海道出身。小学2年でスキー・ジャンプを始める。2014年ソチオリンピック4位入賞。18年平昌オリンピックでは銅メダルを獲得。18年3月には、FISワールドカップで男女歴代単独最多となる通算54勝を達成。クラレ所属。SARA TAKANASHI焦らず、慌てず、諦めず髙梨 沙羅スキー・ジャンプ女子ノーマルヒル個人 銅メダルText/編集部 Photo/AP/AFLO、AFLO SPORT

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