OLYMPIAN2018
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15を予想しながら他の選手の滑りを見て待っているのが好きです。なので、グループの最後に滑るのがいいですね。——キスアンドクライで得点を待っている時はどのような気持ちでしたか。宇野 よほど回転不足をとられるようなことがなければ、メダルはとれるだろうと思いながら待っていました。獲得すれば周りがすごく喜んでくれると思ったので、メダルのことは意識しました。真剣勝負を楽しむ——「テンションが上がり、自分の体が動きすぎないよう気をつけた」という言葉もありました。オリンピックの舞台で自分自身とどう向き合ったのでしょうか。宇野 オリンピックのために特別な準備をしてきたわけでもなく、どの試合でもベストな状態で演技できるように努力しています。メンタルコントロールも大切ですが、「どれだけ練習してきたのか」、そして「練習してきたことを信じられるか」が大事だと思っています。だからこそ、失敗したとしても、自分を信じて思い切り跳ぶことができました。 今持っている力は全て出し切れたと思いますので、悔いは全くありません。今回できなかった部分は、試合の後悔ではなく、練習段階からもっと基準を上げておかなくてはいけないということです。——宇野選手が感じるフィギュアスケートというスポーツの魅力とは。宇野 スポーツは真剣勝負の先にある美しいものだと信じています。真剣に戦いながらも、選手同士が上下関係なくいい関係を築いていることも、フィギュアスケートならではの魅力だと思います。 メダルへの思い——オリンピックメダリストになった感想を聞かせてください。宇野 「メダリストになると反響が大きい」とは聞いていましたが、ここまで大変なのかとビックリしました。届いたメッセージの数も過去一番多いと思います。僕は返信しないのであまり関係ないのですが(笑)、ありがたいことですね。——誰に喜びを伝えたいですか。宇野 やはり家族ですね。そして、いつも隣で支えてくださる(樋口)美穂子先生、日本にいる(山田)満知子先生です。——メダル授与式の感想は。宇野 表彰式の後、メダル授与式が別にあると知らず驚きました。会場まで長距離の移動が必要だったので、とにかく遠くて寒かったというのが正直な感想です。——「演技する前、選手たちの演技を見ていた」、また「最初のジャンプで転倒し、『羽生選手に追いつけないな』と思い笑ってしまった」という発言が印象的でした。宇野 自分の出番まで他にやることがないので、試合前の暇つぶしで見ています(笑)。自分のことに集中しすぎると疲れてしまうので、観客のような気持ちで、点数自らを信じ抜いた先にオリンピック初挑戦で銀メダル獲得。冬季オリンピックでは46年ぶり、フィギュアスケート史上初となる日本勢ワンツーフィニッシュの快挙を成し遂げた。威風堂々とした演技の一方、マイペースな立ち居振る舞いで人々を魅了する宇野昌磨選手の素顔に迫る。宇野 昌磨(うの・しょうま)1997年12月17日生まれ。愛知県出身。5歳時に浅田真央選手(当時)に声を掛けられてスケートを始める。2016年、17年全日本選手権連覇。17年札幌アジア大会金メダルを獲得。18年平昌オリンピックでは初出場で銀メダルを獲得。トヨタ自動車所属。SHOMA UNO宇野 昌磨スケート・フィギュアスケート男子シングル 銀メダルText/中村 聡宏 Photo/AFLO SPORT

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