OLYMPIAN2018
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12てとりにいった金メダルでした。「金メダルがとれる」という強い気持ちが自分の中にあり、しっかりみんなで力を出し切れて良かったと思います。——皆さんの活躍もあり、スピードスケートへの注目度がますます高まって、「スケートをやりたい」という子どもたちも増えると思います。ファンの皆さんに、どのようにスピードスケートを楽しんでもらいたいですか。菊池 少し前には「パシュートって何?」「マススタートって何?」という感じだったと思いますが、平昌オリンピックを通して、皆さんに知っていただくきっかけになれたことはうれしかったです。自分で体験することでその楽しさや魅力が分かってくると思うので、まずはリンクで滑ってもらいたいなと思います。 という気持ちがないのが、このチームの良いところ。純粋に「勝ちたい」とか「負けたくない」という気持ちはあるけれど、お互いのことはリスペクトし合えて、さらにその人の上に行きたいという気持ちがあるチームだったことは、仲の良さ、雰囲気の良さにつながっていると思います。個人種目でもメダル獲得——髙木菜那選手はマススタートでも金メダルを獲得しました。新種目ということで初めて見たファンの方も多いと思います。マススタートならではの楽しさや難しさがあれば教えてください。髙木菜 マススタートは、ルールが分かれば、見ている人にとっても本当に楽しい種目なのかなと思います。今回は最後のスプリント勝負になりましたが、他の選手が出てくると逃げに出る選手がいたり、同じ国で力を合わせてポジションを取りに行ったりするなど、レース展開がいろいろと動きます。その中で選手の位置や最後に狙っている場所など、さまざまな駆け引きがありますので、どういうレース展開になるか分からないのも、見どころだと思います。——髙木美帆選手は個人としても、1500mで銀メダル、1000mで銅メダルを獲得しました。獲得した3つのメダル、それぞれの思いを教えてください。髙木美 1500mの銀メダルについては、その前の3000mが5位で自分のベストタイムは出したものの、レースに挑む気持ちの部分で少し反省がありました。1500mの日は、朝からずっと集中して、その日1日で使える精神を全部使ったんじゃないかというくらい懸けて挑んだので、全力を出し切ったと思えるレースでした。にもかかわらず、2位という結果で複雑な思いがある銀メダルでした。 1000mは、1500mで出し切りすぎて気持ちが回復し切れない中でのレースでした。ギリギリまで「この体と心の余裕で大丈夫かな」と思いながら、いろいろと気持ちを整理していました。夜のレースだったので、朝起きてから「もう1度踏ん張ろう」と思って挑みました。でも、メンタルの余力が戻っていなかったので、集中できたのもレース直前になってしまい、ギリギリの一発勝負みたいな感じでした。そのわりには、考えていた以上に良いレースができて。1000mに関しては、これ以上ないレースができたと思います。 そして、パシュートはみんなで狙っ(写真左から)菊池 彩花(きくち・あやか)1987年6月28日生まれ。長野県出身。2014年ソチオリンピックではチームパシュートで4位入賞。平昌オリンピックでリベンジを果たす金メダルを獲得した。富士急行所属。佐藤 綾乃(さとう・あやの)1996年12月10日生まれ。北海道出身。2018年平昌オリンピックでは、チームパシュートで金メダル。冬季オリンピックでは日本女子史上最年少の金メダリストとなる。高崎健康福祉大学所属。髙木 菜那(たかぎ・なな)1992年7月2日生まれ。北海道出身。初代表となった2014年ソチオリンピックではチームパシュートで4位入賞。18年の平昌オリンピックでは、チームパシュート、新種目のマススタートでオリンピック同一大会で日本女子選手として初めて2つの金メダルを獲得した。日本電産サンキョー所属。髙木 美帆(たかぎ・みほ)1994年5月22日生まれ。北海道出身。日本スピードスケート史上最年少の15歳で2010年バンクーバーオリンピックに出場。18年平昌オリンピックでは、チームパシュートで金、1500mで銀、1000mで銅メダルと、冬季オリンピックの同一大会で日本女子選手として初めて3種類のメダルを獲得。日本体育大学所属。

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