OLYMPIAN2017
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21お家芸復活を目指す——1年後に平昌オリンピックが控えていますが、昨年12月には平昌でオリンピックのプレ大会となるワールドカップに出場しました。どのように感じましたか。吉永 試合では負けてしまいましたが、僕としてはいつもと変わらない気持ちで滑ることができました。優勝した選手を見て、来年は表彰台に立ちたい、もう少しいい順位を目指したいと思いました。また、オリンピックに出て、いい結果を残したいと強く思うようになりましたね。——そして今年の札幌アジア大会では、ショートトラックの強豪国、韓国と中国の選手と何度も直接対決できる機会がありました。吉永 リレーに関しては今までで一番、その2強と戦えた気がしています。それは、今シーズン練習してきた成果が出てきているからだと思っています。スケートを速く滑らせる加速力や前の選手を抜く技術、本当に全ての部分で自分の弱さを痛感したと同時に手応えを感じられた大会でした。——吉永選手にとってオリンピックはどういう舞台ですか。吉永 ショートトラックはマイナー競技ですが、いい結果を残すことができれば、注目を集められる最高の機会になると思っています。——そのためにも、メダル獲得が期待されると思いますが、オリンピックでのメダル獲得は、1998年長野オリンピック以来遠ざかっています。吉永 強い日本をまた復活させることができればいいですね。メダル獲得のためには、スケーティングフォームや足の運び、筋肉量、レースの方法など、自分自身を大きく変えていかないとダメだなと思っています。——また、今年はJOCのネクストシンボルアスリートにも選出されました。吉永 選ばれたからには名に恥じないようなレースがしたいと思います。より結果を求められるようになってきたと受け止めています。日本チーム最年少として——競技を始めたきっかけは。吉永 母(旧姓・加藤美佳さん)もショートトラックの選手でしたが、母から勧められたわけではなく、たまたま母の知り合いに誘われて小学2年生のときにショートトラックの試合を見に行ったんです。そのときにすごくカッコいいと思って、試合後すぐに母に「スケートをやりたい」と伝えました。——親孝行のためにもオリンピックに出場したいですね。吉永 はい。母はもちろん、先輩方、スポンサーさん、コーチ、ボランティアの方たち全員が自分にとっての支えです。選手にとって、一番の恩返しは結果を出すことだと思っているので、オリンピックに出たらしっかり結果を残したいと思っています。——選手の立場から感じるショートトラックの面白さ、魅力は何でしょう。吉永 僕はこれまで水泳やサッカーなどいろいろとスポーツをやってきたんですが、それらのスポーツよりもショートトラックの方がハラハラ感やドキドキ感、勝ったときのうれしさを強く感じましたね。——ショートトラックはスピードを競いつつ、戦略も大事な要素ですよね。吉永 そこがより面白さを引き立てているのではないかなと思います。ただ力があって速く滑れるだけとか、持っている素質がいいとかだけではなくて、いろいろな要素がうまく噛み合った選手が本当に強いというところが、ショートトラックの魅力です。また、試合の駆け引きや500mのスピード感は、面白い要素の一つですね。——吉永選手の強みは何ですか。吉永 最初から展開やスピードの速いレースになればなるほど、いい結果を残せるという自負があります。また、スピードをキープできる持久力もあると思っています。——今回は、チーム最年少でしたが、チームメートはどのような存在ですか。吉永 本当にいろいろな面で教えてもらえていますし、成長させてもらっています。僕が落ち込んでいるときにも励ましてくれて、本当のお兄さん、お姉さんみたいに支えてもらっていますね。吉永 一貴(よしなが・かずき)1999年7月31日生まれ。愛知県出身。2016年1月の全日本選手権で史上最年少の16歳で総合優勝。同年2月に開催されたリレハンメルユースオリンピックでは男子500mで銀メダル、NOC混合リレーで銅メダルを獲得。17年1月の世界ジュニア選手権では総合3位。同年2月の札幌アジア大会では、男子5000mリレーで銅メダル、男子1000mで6位入賞。名古屋経済大学市邨高校所属。一番の恩返しは結果を出すことAthlete‘s Voice2017 SAPPORO ASIAN WINTER GAMESText/編集部吉永 一貴スケート・ショートトラックKazuki YoshinagaPhoto/AFLO SPORTPhoto/AFLO SPORT

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