OLYMPIAN2015
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22「体操ニッポン完全復活」へ、合言葉は「団体で金メダル」だった。その男子団体で悲願の金メダルを獲得、個人総合はオレグ・ベルニャエフ選手(ウクライナ)を最終種目の鉄棒で逆転してオリンピック連覇を果たした内村航平選手と、団体では跳馬とゆかで優勝に貢献し、チームで唯一オリンピック初出場だった白井健三選手。個人総合を終えた翌日、2人に話を聞いた。決め手となった「経験」——団体、個人総合ともに見応えのある試合でした。内村 団体ではミスがあり、まだまだできたと思いますが、昨日の個人総合は見ている人に体操の魅力や美しさ、面白さというものを伝えられたかなと思います。——予選のミスで、ロンドンオリンピックのことが頭をよぎりませんでしたか。内村 あのときとは違いました。ロンドンの予選はミスの原因が分かりませんでしたが、今回は原因がハッキリしていたので、その後も開き直れて決勝のいい演技につながった。オリンピックの経験者が4人。(白井)健三も世界選手権に出ていたので、経験がものをいったと思います。白井 予選でみんなミスをした分、これ以上落ちないだろうと逆に自信になったので、今となれば予選のミスがよかったのかなと思います(笑)。個人的には、全日本団体のときにあん馬からのローテーションで(所属する)日体大が優勝したので、勝手にベストローテーションだと思っていました。内村 6種目やる身としては、あん馬からのローテーションはかなりしんどいのですが、チームメイトに助けられたというか、気持ちの部分で支えてもらいました。白井 僕は2種目しかなかったし、サブ会場にいる時間がけっこう多かったので、「ゆかのときにはチームの流れも決まっているだろう」と試合が他人事になっていたんです(笑)。4人が本当にいい形でつないでくれて、いつも通りにゆかをやればいい状況だったので感謝しかないですね。内村・白井、互いの思い——2人ともお互いの今回の戦いを見ていてどう思いましたか。白井 個人総合は毎年感動させてもらっているので、今回がとくにすごいというのはなくて(笑)。いつも通りにすごかったというイメージが強いですね。内村 僕も初めてだった北京オリンピックではプレッシャーに飲み込まれることはなくて、健三も世界選手権を経験してのオリンピックだったから余計にそうだろうな、と。でも予選のゆかで珍しくミスをしたから、「これがオリンピックなんだ。健三でもこうなるんだな」と人間らしいところを見ることができました(笑)。団体決勝の跳馬では、着地を決めてくれたことで流れがだいぶ日本寄りになったので、そういうところはすごいなと思いました。——白井選手は人間離れしていると言われましたが。白井 決勝はこの1本をしっかり演技すると決めていたので集中できました。だから決勝の方が数倍楽しかったです。Kohei Uchimura×Kenzo Shirai悲願の団体金メダル内村 航平×白井 健三

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