【リオ・リポート】世界に力示したアカツキファイブ「日本はもっと強くなる」

アメリカに準々決勝で敗れるも健闘したアカツキファイブ（写真：アフロスポーツ）

■最強・アメリカ相手に前半は大健闘

　リオデジャネイロオリンピックの大会12日目。バスケットボール女子の日本代表「アカツキファイブ」が準々決勝でオリンピック6連覇を狙うアメリカに挑みましたが、64-110で敗れ、ベスト4進出はなりませんでした。

　46点差。世界最強チームに実力差を見せられる完敗を喫した日本でしたが、それと同時に、2020年東京オリンピックへ向けて大きな可能性を見せた1戦でもありました。

「（第2クォーターで）2点差まで迫ってアメリカを本気にさせたのは日本の強さだと思います」と、チームキャプテンで司令塔の吉田亜沙美選手。10点差で迎えた第2クォーター残り3分。栗原三佳選手、吉田選手が立て続けに3点シュートを決めると、米プロリーグのWNBAでプレーするエースの渡嘉敷来夢選手もシュート成功。残り2分でついに2点差まで迫ったのです。

「チームとして“走るバスケ”ができたと思います。チームオフェンスができたのかなと思いますし、それでアメリカを苦しめることができた」（渡嘉敷選手）

　結局、第2Q残り1分からアメリカに次々とシュートを決められ10点差で前半を終えると、第3Qからはアメリカの猛攻でみるみる突き放された日本。「後半の入りで20点もやられてしまったのは日本の弱さ」と唇を噛んだ吉田選手でしたが、特に前半の戦いぶりは“大健闘”と言っていい内容でした。

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大黒柱としてチームを引っ張った吉田選手（写真：アフロスポーツ）

■「東京では必ずメダルを取れるという確信」

　アメリカ戦だけではありません。世界ランク16位の日本は、予選グループA初戦で同10位ベラルーシに77-73で競り勝つと、続く同7位ブラジルには82-66で快勝し、格上相手に連勝発進。3戦目の同10位トルコには62-76で敗れ、2日後の同2位オーストラリア戦も86-92で敗れましたが、第4Q残り3分まで日本がリードし大金星まであと一歩にまで迫った惜敗でした。そして、予選リーグ最終戦ではロンドンオリンピック銀メダルで世界ランク4位のフランスに79-71で勝利。世界の強豪を相手に堂々の3勝を挙げて予選リーグを突破しました。

　日本女子がオリンピックのベスト8に進出するのは1996年アトランタオリンピック以来20年ぶり。08年北京大会、12年ロンドン大会と2大会連続で出場を逃し、また2年前の世界選手権では大黒柱の吉田選手が負傷欠場していたとは言え予選リーグ3戦全敗だったことを考えれば、世界が驚く大躍進だったと言えます。

「メダルが見え隠れする瞬間もありました。メダルを取って、満足して帰りたかったです」

　その“メダルが見えた瞬間”はオーストラリア戦の第4Qまでリードしていた場面だったと吉田選手。「勝っていれば1位通過して、準々決勝は（予選グループBの）4位と試合ができた。あそこを勝てなかったのはポイントガードとしての自分のゲームメークミス」と、それだけに悔しさも大きくなりましたが、その一方で未来へ確かな手応えもつかんでいました。

　渡嘉敷選手が「私とリュウさん（吉田選手のコートネーム）のラインは世界でも通用すると思いました。日本の武器になるし、そこを磨いてレベルを上げていけばメダルも狙える」と話した言葉を伝えられ、吉田選手は「私も渡嘉敷と同じ思いです」。そして、こう続けました。

「彼女も課題が見つかっただろうし、悔しい気持ちも持っていると思う。もっともっと成長してステップアップして、2人が日本を引っ張る気持ちがあれば、東京では必ずメダルを取れるという確信があります。2人がもっとしっかりすれば、日本はもっと強くなります」

■今回得た財産を次の東京へ

　ただ、吉田選手自身はこのリオ大会を集大成としており、「東京オリンピックでは若い子たちに勝ち取ってもらいたい」と、後輩にあとを託すようなコメントもしています。代表を退くとは明言していませんが、日本女子バスケ界としては今大会で得た財産を次へと生かさなければいけません。

「日本の今の女子バスケットのスタイルが、世界でどういう形で通用するかという部分が大きく見えてきたので、それが次のオリンピックに向けての大きな基礎となって、またもう１つステップアップしていかなければいけないと思います」（内海知秀ヘッドコーチ）

　リオの地で確かに見えた日本女子バスケの「暁」。日の出の勢いで次こそはメダルを――東京までの4年間が楽しみです。