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2022.02.11 オリンピック

【メダリスト会見】フィギュアスケート鍵山選手、宇野選手「切磋琢磨しながら高め合っていきたい」

【メダリスト会見】フィギュアスケート鍵山選手、宇野選手「切磋琢磨しながら高め合っていきたい」
メダル獲得の心境を語る宇野昌磨選手(左)、鍵山優真選手(右)(写真:アフロスポーツ)
【メダリスト会見】フィギュアスケート鍵山選手、宇野選手「切磋琢磨しながら高め合っていきたい」
合計301.05点で銀メダルを獲得した初出場の鍵山優真選手(写真:アフロスポーツ)

 北京2022冬季大会のスケート・フィギュアスケート男子で銀メダルを獲得した鍵山優真選手、銅メダルを獲得した宇野昌磨選手が11日、記者会見に出席し、メダル獲得の心境を語りました。

■鍵山選手「自分の全力を出し切った結果の銀メダルだと思うので、すごく納得」

――メダル獲得の感想をお願いします。

鍵山選手  銀メダルを獲得できたことをすごく嬉しく思います。今までの努力やその過程全てがこの銀メダルに込められていると思うので、成長を実感しています。演技についてはまだまだやれた部分がありますが、100%を引き出せたことに関して自分を褒めたいなと思っていますし、少しでも休みたいなと思います。

宇野選手  銅メダルを獲得できて嬉しく思います。フリープログラムに関しては決して素晴らしい演技ではありませんでした。ただ4年間という大きな目で見たときに、今シーズンに入ってこのフリープログラムの高難易度、構成が自分にとって当たり前になりつつある、その成長がすごく嬉しいです。また、この4年間でまたオリンピック銅メダルという場所に戻ってこられたことに嬉しく思います。

――平昌までの4年間と、これまでの4年間はどのような違いがありましたか? また、これからの4年間には必要だと思いますか?

宇野選手 先程、平昌が終わってからの4年間という区切りで話させていただきましたが、僕のスケート人生においてオリンピックが全ての区切りではないので、今回終わってからの4年間という区切りを持って何か変化する、成長したいというよりも、次の世界選手権までにより成長したいと思っています。一刻も早く、来年にでも自分にできることなら全て挑戦して、より確率も精度も、完成度も上げていきたいです。新しいジャンプへの挑戦に関しても、今はまだ深く考えていませんが、自分のやりたいという意志が前に出たときは、けがをしないようにしつつ、挑戦したいなと思っています。

鍵山選手   4年後のオリンピックに出たいと思っていますが、今目の前にあるやるべきことをこなしていかなければならないので、4回転ループの精度を上げることだったり、表現力をもっと磨くことを毎日コツコツとやって、4年後につなげられたらいいなと思います。


――今シーズンはコロナ禍ということもあり、一緒の練習場で練習する機会が多く、お互い刺激になったということですが、どんなことが刺激になりましたか?

鍵山選手  言葉を交わさずとも、お互いの練習で切磋琢磨して高め合っていけているのはいい部分だと思っていますし、今後も同じ練習場で一緒に練習をしてお互い高め合っていけたらいいなと思っています。

宇野選手 僕は今まで1人での練習が多く、歳は6つ離れていますが、自分にとっては同世代の感覚で一緒に練習させていただいて、ずっと横を一緒に走ってくれるというか、一緒に高め合っていける存在というのが自分の周りにはいなかったので、そんな存在に憧れていたので嬉しいです。また、優真くんの練習を見ているとジャンプの完成度やプログラムの完成度も素晴らしいものを持っているので、自分がもっと成長しないといけないなと、見るたびに向上心や刺激をもらっています。ジャンプの細かいところで言うと、4回転サルコウが4回転の中では苦手な方なので、今後も見ながら参考にしていきたいです。一度「どうやって跳ぶの」って聞いたことはあるんですが、ふわっとした感じだったので(笑)、今後も見て、どこが自分に足りないのか研究しながら、もっと上を目指していきたいなと思っています。

――それぞれのコーチ(鍵山正和コーチ、ステファン・ランビエールコーチ)からの一番原動力になったアドバイス、言葉があれば教えてください。

鍵山選手  北京に入る前に、「オリンピックの舞台でひとつの悔いも残らないように、何も思い残ることがないよう演技してこい」と言われました。自分自身としても1分1秒を楽しんでやりたい、全力でこの舞台で悔いが残らないように滑り切りたい、というのもありました。細かいミスはありましたが、全力でやれたという部分に関しては良かったと思います。

宇野選手 昨年の世界選手権の後、ネイサン(・チェン選手)が演技を終えた後に「君が彼のように世界一になるには自分にとって何が必要だと思う?」と声をかけていただいたんです。その時は「ジャンプかな」と答えたのですが、僕の答えた内容よりも、僕がもっと上に行けると信じてそういう言葉をかけていただいたのだなということが、もっとうまくなりたいなという原動力になりました。


――宇野選手、今回のオリンピックでジャンプの出来栄え点が以前より高かったですが、全日本選手権が終わった後からどういった練習や心がけをして、どんなところが改善されたと感じますか?また、団体の際にステファンコーチの代わりに出水慎一トレーナーがずっと横についてくれていましたが、心の面など支えられた面があれば教えてください。

宇野選手 今回跳べたジャンプは全て質が良く点数もたくさんもらえて、そこが一番今大会でよかったなと思える点です。ショートプログラムはジャンプの着氷後、ステップを入れるなどしてアレンジを変えてみているのですが、フリーではまだ全くそういったことができていないので、世界選手権に向けてフリーでも同じことができるように改善していきたいと思います。ジャンプ後に何かを入れると、ジャンプ自体もきれいに降りないとステップはできないので、そういった練習での意識がジャンプの質向上につなががったと思います。
団体戦に関して、出水さんがリンクサイドに立ってくれていたのですが、すごい仲がいいので、だからこそ言葉を選ばずに言わせていただくと、そのおかげで落ち着いたといったことはなかったと思います(笑)。オリンピックの場は僕にとっても大切ですが、皆さんに見ていただけますし、支えてくださった方たちへ一番恩返しになる場だと思います。本来だったらトレーナーさんとは一度も会えず、顔を出すこともなかったので、出水さんにとって一生の思い出になったと勝手に思っていて、それが良かったと思います。世間には見えていないけれど、支えてくださっている方はたくさんいるので、そういった人が日の当たる場所で見られたということは嬉しく思います。

――金メダルへの憧れや、現時点での金メダルに向けた目標はありますか?また、各コーチにメダルは掛けてあげますか?

鍵山選手  演技に関しての悔しさはありますが、自分の全力を出し切った結果の銀メダルだと思うので、そこに関してはすごく納得していますし、満足しています。金メダルに関してはまた4年後、新たに目指して頑張りたいと思うので見守って頂けると嬉しいです。メダルは、父とはなかなか会えていないので、ゆっくりして会えたらメダルを掛けてあげたいなと思います。

宇野選手 金メダルに関しては、今の僕の実力で3位という順位は本当に納得しています。昨日の演技は完全に優真くん、ネイサンのほうが素晴らしかったですし、ネイサンに関しては明らかに僕より実力が上だったというのもあり、今大会で金メダルを目標にすること自体が自分の成功ではなく、ネイサンの失敗を願う事と一緒だと思っていたので、そういったことは全く考えていなかったです。自分がやってきたことをそのままやろう、僕の目標はここが最後ではない、もっと先を見据えて成長できる舞台にしたいと考えていました。メダルを受け取ってからは取材などで忙しいので、誰にも掛けてあげられていなくて、ステファンコーチはスイスに戻ってしまったので、日本に帰り次第家族に見せてあげたいなと思います。

【メダリスト会見】フィギュアスケート鍵山選手、宇野選手「切磋琢磨しながら高め合っていきたい」
合計293.00点で2大会連続となる銅メダルを獲得した宇野昌磨選手(写真:ロイター/アフロ)
【メダリスト会見】フィギュアスケート鍵山選手、宇野選手「切磋琢磨しながら高め合っていきたい」
日本選手が2人表彰台に立ったことは今大会初(写真:アフロスポ―ツ)

■宇野選手「トップを目指すためにもいろいろなものに挑戦しなければならない」

――今後の具体的な目標や、目指しているスケーター像を教えてください。

鍵山選手  金メダルはまた4年後を目指して新たに頑張りたいと思いますし、そのための4年間はとても大事なものになると思います。4回転の種類や新しい表現などいろいろな可能性が今回の大会で見えてきたので、それを試しながら新たな自分を作り出していけたらいいなと思っています。

宇野選手 具体的な数字、順位の目標は全く立てていないですが、今大会でネイサンのような存在になりたいと思いました。僕はプレッシャーに強いタイプではないと思っていて、練習よりいい演技ができるというのは4年間でほぼ一度もないというくらい、練習通りもしくはそれ以下という演技がほとんどだと思うので、実力そのものが圧倒的にならない限り、僕が世界のトップに立つという事が不可能だとここ数年間でわかりました。そういったものを見据えて今回は全て自分がやれること詰め込んだ構成にしています。今後もトップを目指すためにもいろいろなものに挑戦しなければならないと思いますし、今挑戦しているものだけでも完成度をあげればトップに限りなく近づけるとは思っているので今からでも自分の練習、成長が楽しみではあります。

――鍵山選手、スケートを始めた原点である富山県が鍵山選手にとってどういう場所か教えてください。

鍵山選手  正直に言うと、そこまで記憶がないんですけれども、すみません(笑)。記憶はあまりないですが、記事などで一緒に練習していた方や、関わっていた方の言葉を見ると嬉しさもあります。また時間があったらご挨拶に行きたいなとも思っています。富山だけではなく、横浜や軽井沢も思い入れのある場所ですが、スケートを始めたのは富山が初めてなので、それがなければ今の自分がないと思うのでとても感謝しています。

――羽生結弦選手の4回転アクセルへの挑戦によって刺激は受けましたか?また、羽生選手のような圧倒的な存在になるには何が必要だと思いますか?

宇野選手 今回の羽生選手の4回転アクセルを期に、これから挑戦してくる方はたくさん現れると思います。ゆづくんにしかできないことをここ数年間ずっと成し遂げてきたと思います。みんなの思いを背負ってそのプレッシャーに打ち勝って演技をし続ける、そういう存在に僕は多分なれないと思っていますが、今隣にいる優真くんは僕がスケート続けている間はずっと現役で一緒に戦い続けてくれると思います。きっと彼がいれば僕はスケート人生が終わるまで1人では背負えなくても2人で、そして2人だけでなく、日本フィギュア界もどんどんうまい子が出ているので、みんなで同じプレッシャーを背負いながら、切磋琢磨しながら高め合っていけたらと思っています。


鍵山選手  羽生選手の4回転アクセルについては成功しなくともその挑戦に大きな意味があると思いますし、僕にとってひとつの大きな伝説に残ると思います。ただ、4回転アクセルを他の誰かが成功したとしても、羽生選手を超す存在は今後いないと思いますし、僕ももちろん羽生選手のようにはなれないので自分の道を貫けるように進んでいきたいと思います。


――ジャンプが高難度化するなかで、ジャンプ以外にこだわりたいところや大切したいところを教えてください。

鍵山選手  今回のオリンピックでショートプログラムもフリーも演技構成点がすごく評価されて、そこはもっと伸ばしていける部分なので頑張りたいと思います。また、ステップでレベルを落としてしまった部分があったので、自分の得意分野になれるくらいの練習をして、まずは目の前の世界選手権で今回以上の演技ができるように頑張りたいです。

宇野選手 フィギュアスケート界はジャンプの点数が一番高く、ジャンプがないと世界のトップにはいけないということはわかっていますが、表現力といった面で、今回は自分が見直したくないと思うくらい良くない表現ばかりでした。世界選手権まであとひと月くらいですが、フリーではジャンプばかりに気がいっていると思うので、限りある時間の中でボレロをステファンコーチが納得してくれるように滑り切りたいです。


――メダリストとして挑む世界選手権での目標を教えてください。また、今大会で日本選手が2人表彰台に立ったことは初めてで、日本チームに勢いをつけられたと思います。これから競技をする選手にエールがあれば教えてください。

鍵山選手  世界選手権では今回以上の演技をすることが一番だと思います。4回転ループも完全に決めきれていないところがあるので、そこはずっと挑戦し続けていきたいです。自己ベストも更新したいですし、メダルも狙っているので努力していきたいと思います。残りの選手たちには全力で応援することしかできませんが、このメダルが力になればいいかなと思います。

宇野選手 ボレロとオーボエ協奏曲は世界選手権で最後の滑りになると思います。オーボエ協奏曲は今大会で100点には届かないものの、ぎりぎり納得できなくはないですが、ボレロに関してはまだまだやり残したことがばかりなので、残りの1試合でステファンコーチにこのボレロを捧げられるようなものにしたいです。日本人が同時に表彰台に乗れたことはすごいと思いますし、嬉しいことですが、全選手がこのオリンピックに向けていろんな形で努力してきて、いろんな思いがあると思うので、僕が勢いづけたとは全く思っていないです。全選手がどんな形であれ悔いの残らないように全てを出し切った形で、1人でも多く笑顔で日本に帰れることを願っています。


――鍵山選手が中京大学に進学するという事で、一緒に練習できる点についてどう感じているか、今後のフィギュアスケート界への思いがあれば教えてください。

鍵山選手  同じリンクで滑れることはすごく嬉しいです。自分ももっとうまくならければいけないし、切磋琢磨してお互いを高め合うのはフィギュアスケートの良い文化なので、引き続き(一緒に練習を)続けていければいいなと思います。

宇野選手 中京大学に来てくれたこと、これから長く同じリンクで同じ練習ができることはすごく嬉しく思いますし、間違いなく僕は成長につながると思うので、ありがたく練習させていただきます。日本のフィギュアスケート男子はまだまだ若い人たちが勢いをつけて成長して、来年、再来年にはもっとうまい人たちが現れると思いますが、僕も置いていかれないように成長し続けたいと思います。日本のフィギュアスケート男子は何年にも渡って世界のトップで戦う選手が居続けるので、それを引き続きたいとも思っています。ただ先程もお話したように、僕一人で羽生選手のようにはできないので、僕なりの形で続けていけたらなと思っています。

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