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トリノオリンピックへ向けて / Vol.3 勝つための大会直前コンディショニング
トリノオリンピックにおいてJOCのメディカル統括責任者として、日本代表選手のサポートを行う大西祥平氏に、選手にとって必要とされる大会直前のコンディショニングについて語っていただきました。

○ 大切な試合に万全で挑むために気をつけること
○ 不安材料はメディカルスタッフに相談
○ 次のオリンピックを目指す選手はオフを大切にしよう


大切な試合に万全で臨むために気をつけること

Photo:アフロスポーツ

選手が最高のコンディションで試合に臨むために取り組むべき課題はいくつかあります。まずは大切な試合の前に風邪をひかないこと。風邪をひくと数週間もコンディションが悪くなりますし、そのシーズンを棒にふることにもなりかねません。オリンピックのような大きな大会は0.1秒の速さを競いますから、コンディションが少しでも悪いと致命的。風邪をひいていても勝てるなどということはありえないと考えたほうがいいでしょう。

体調を整えるのも一流選手としての条件ですから、普段から風邪をひかない生活を心がけるべきです。まずは十分な睡眠をとること。睡眠時間は人それぞれですが、遅くまでテレビを見て夜更かしするなどということはご法度。外から帰ったらうがい、手洗いはもちろんのこと栄養面にも気を配りたいところです。

そしてバランスのよい食事を心がける。合宿では規則正しい生活をするのですが、有名な選手でも普段の生活でインスタント食品ばかりを食べているケースはあるのです。もちろんそんなことでは勝てません。栄養管理をしっかりするためにも国立スポーツ科学センター(JISS)の栄養士たちに何でも相談してください。

JISSの栄養士たちは栄養に関する調査と教育でしっかりと勉強をしているスペシャリストたちです。彼らに相談して自分にとって何が必要な栄養で、バランスのよい食事とはどんなものかを把握しましょう。調理は下手でもいいから、基本的な栄養の知識を普段から覚えておく。そうするとコンビニエンスストアでも栄養バランスの整った食事ができるのです。

Photo:アフロスポーツ
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※ JOCのホームページにも参考になるコンテンツ「アスリートのためのカンタン栄養学」があります。

不安材料はメディカルスタッフに相談

オリンピックのような大きな大会の前には疲労がたまりがちです。ぎりぎりまで代表内定が決まらず、連戦で肝心のオリンピックで疲れてしまい、実力が出せないなどというケースも考えられます。オリンピックの1カ月ぐらい前はコンディショニングを見直す期間と考えて下さい。疲労を取り除くにはまず休む。しかしただ休むだけではなく、ストレッチなどトレーニングをしながら休んで下さい。トレーニング前後のストレッチだけでなく、休むためのストレッチもありますから、これらをきっちりと行ってください。

ケガなどの故障や体に不安があれば、我々メディカルサポートのスタッフに随時相談して下さい。それは内科や整形外科などのフィジカル面だけでなく、メンタル面でも同様です。実力を発揮するのに栄養、メンタル、メディカルのどれが欠けてもダメです。どれか1つだけをサポートして、本番、実力以上の力が発揮できるというわけではありません。

Photo:アフロスポーツ

またオリンピックの代表選手になると、まわりは善かれと思っていろんな情報を耳に入れようとします。そこで選手たちは、何が本当にいいのかわからなくなってしまい、迷いが生じてしまいがちです。トレーニング方法などに迷いがあった場合でもメディカルサポートチームに相談して欲しいのです。私たちはメディカルサポートの最先端の情報を提供できる自負を持っていますので、あまり多様な情報に振り回されず、積極的に我々とコミュニケーションをとってください。

次のオリンピックを目指す選手はオフを大切にしよう

一流の選手ともなるとなかなか休みは取れないかもしれませんが、休養は必要なものと認識して下さい。オフといってもただ漫然と休むだけではなく、次のシーズンの合宿や大会に向けてのトレーニングを修正する期間だと考えましょう。

Photo:アフロスポーツ

冬の競技で行っているメディカルチェックでは、1年間を通して、どのような不具合があったか問診し、内科的なチェックをします。それに加え、理学療法の先生が体の柔軟性を調べたり、体力テストなどを行ったうえで、次のシーズンのトレーニング方法を考えていきます。実力を最大限に発揮させるためには大会直前だけ気をつけていればいいというものではありませんから、オールシーズンを通して、メンタル、メディカル、栄養に気を配ってもらいたいと思います。


大西祥平(おおにししょうへい)

日本オリンピック委員会医学サポート部会委員、専任スポーツドクター。日本アンチドーピング機構ドーピングコントロール委員会委員。全日本スキー連盟理事、情報・医・科学委員会委員長。慶応義塾大学教授。日本臨床スポーツ医学会理事。
トリノ冬季大会ではJOCのメディカル統括責任者として、トリノ、セストリエール、バルドネッキアで日本代表選手のサポートを行う。

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