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TEAM JAPAN DIARY

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2011/02/18

ワールドカップ・ジャンプ札幌大会、今季新ルールで開催

文・折山淑美

1月15〜16日に札幌・大倉山ジャンプ競技場で開催されたワールドカップ・ジャンプ札幌大会。この大会は、今季のワールドカップから採用されている、ジャンプ時の風の影響やスタート位置を得点に反映するルールの下で行われた。

その中でも成績に影響するのはウインドファクターだ。HS(ヒルサイズ)134mの大倉山では秒速1mにつき11.7点を基準として、ジャンプに有利な向かい風はマイナス、不利な追い風はプラスされるというもの。ランディングバーン横の5カ所に設置された風向・風速計で測った数値の平均値で得点が計算されるが、大倉山の場合は、風が巻いてランディングバーンの右側と左側で風の強弱や方向が違うこともある特有の条件下になるため、運に左右されることが多い。

大会前のワールドカップランキング日本勢最上位は伊東大貴選手の16位と、若干出遅れている日本チーム。この大会には、ワールドカップランキングTOP4までは出場したものの、5〜10位が欠場しており、上位に食い込める可能性のある大会だった。しかし風に苦しめられる結果となった。

■葛西紀明選手、次の大会につながる14位

Pkg111160508 14位になった葛西選手(フォート・キシモト)

2日間を通してまずまずの結果を出したのは葛西紀明選手だった。初日の1本目は追い風になったが、「その中でもいいジャンプができた」と、115.5mを飛んで10位につけた。2本目は「弱い向かい風になり、気持ちが攻め過ぎた」と言い109mに止まったが、合計11位につけた。向かい風基調となった2日目。1本目は、飛距離を伸ばすために重要なK点付近の風が無い条件ながら118mを記録。しかしランディングバーン上部の風は強かったためにウインドファクターはマイナス17.2点で、12位につける。2本目は、K点付近の向かい風を活かせず111mにとどまり、最終的に14位となった。

「1本目のジャンプは風に左右されたとは思ってなかったけど、ビデオを見たコーチがすごく良かったと言ってくれました。調子は上がって来ていたし、このメンバーなら一桁順位も行けると思っていたから、10〜15番くらいをチョロチョロしていたのは歯がゆいですね。まだ踏み切りでパワーが抜けている感じもするけど、それも少しずつ当たり出しているから、このまま飛び続ければいい方向へいくと思います」

こう話す葛西選手は昨年、夏シーズンの開幕前に右足の内側靱帯を痛めて出遅れた。それで逆に、調子が良かった昨季の日記を読み返すなどジャンプを見直す時間が取れたという。11月末からの冬シーズンには、年明けから徐々に調子を上げていけばいいという気持ちで、余裕を持って入れた。その思惑通り調子は上向いてきている。「1月21日からのポーランドのワールドカップで、上位選手が揃った中で自分の位置を確かめたい」と意欲を見せた。

Pkg111160379 意欲を語る葛西選手(フォート・キシモト)

■伊東大貴選手は不調のなか2日目1本目で7位、栃本翔平選手は「悔しい」13位

その葛西選手とは反対に、少し調子が落ちてきて苦しんでいたのが伊東大貴選手だ。伊東選手は昨年夏のサマーグランプリでは3勝して総合優勝を果たした。冬シーズンも開幕からの6試合中5試合で一桁順位になり、年末までは予選免除となるワールドカップランキング10位以内につけていた。だが疲労が出始めた年明けからは徐々に調子を崩していて、札幌大会初日は踏み切りのタイミングが合わずに18位となった。

それでも2日目は、1本目に123mを飛んで7位につける底力を見せた。2本目はこの日の試合の全選手中唯一、追い風の条件で飛ぶという不運に見舞われて23位まで順位を落としたが、疲労さえ抜ければ10位以内は狙える力があることは見せることはできたといえるだろう。

Pkg111160218 2日目に底力を見せた伊東選手(フォート・キシモト)

この2日間で最も悔しい思いをしたのが、期待の若手でもある栃本翔平選手だった。大会前までのワールドカップランキングは、伊東選手に次ぐ日本人2位の25位につけていた。年明けからはジャンプが少し狂っていたが、1月5日に日本へ戻って来てからはそれも修正でき始めていた。それでもまだ運を呼び込めるまでにはなっていなかった。

初日は1本目で7位につける健闘を見せたが、2本目は追い風に叩かれて15位に。2日目は1本目に128mを飛んで4位につけたものの、2本目は向かい風が弱い時にスタートしてしまう不運で飛距離を伸ばせず、順位を13位まで落としてしまった。

だがジャンプは「内容的には特別悪いことはなかった」と言い、徐々にまとまってきている。「1本目から順位を落とすのは悔しいですね。でも条件さえよければ、メンバーが揃った中でも10位前後は狙えるという手応えも感じてきました」と、前向きな言葉も口にするようになった。

Pkg111150280 悔しい結果となった栃本選手(フォート・キシモト)

同じワールドカップ組の竹内択選手も、風に苦しめられながらも初日は14位に入り「今のままやっていけば順位も徐々によくなって来るはず」と少しずつ手応えを感じ始めてきている。

直近のワールドカップを3試合欠場して札幌大会に臨んだ日本チームは、「ここで結果を出したい」という気持ちもあり、それが逆に足を引っ張ったともいえる。斉藤千春ヘッドコーチは「国内の試合と違って極端に助走スピードが遅くなって難しい上に、ウインドファクターでヨーロッパのジャンプ台ではあり得ないようなマイナス30点台が出るという、大倉山特有の条件も厳しかった。だがその中でもワールドカップ組5人は2日間とも2本目まで進み、ワールドカップポイントを獲得できたのは収穫だった」という。また伊東・葛西選手に次ぐ存在として期待される栃本選手の調子が、良くなって来たのも明るい材料だと話した。

ただ全体的に見れば、追い風だった初日は、ワールドカップ組以外全員が1本目で41位以下に沈み2本目に進めなかったが、2日目は、5名のワールドカップ組以外にも船木和喜選手と伊藤謙司郎選手が30位以内に入ってポイントを獲得できた。

国内の試合は向かい風が多いが、海外ではほとんどの試合が追い風の中で行われる。本大会は、その経験値の差が出た。今後は、日本チームのレベルアップのため、次世代の選手やトップ選手を追う他の選手にも多くの経験を積ませることも必要なのだろう。

2011/01/25

橋本聖子団長、船木和喜主将、村上佳菜子旗手代行らからコメントが届きました

第7回アジア冬季競技大会(2011/アスタナ・アルマティ)の日本代表選手団結団式終了後に、橋本聖子団長、船木和喜主将、村上佳菜子旗手代行、長島圭一郎選手、穂積雅子選手からコメントをいただきました。

橋本聖子団長
「バンクーバー冬季オリンピックから1年、すでに戦いはソチに向かっています。バンクーバーでの反省を踏まえてソチに向かうには、やはりバンクーバーで飛躍的に力を着けたアジア勢の動きが重要になります。1年経った今、新しい選手や各国の強化の取り組み方が違うと思うので、それを確認する大会にしたいです。大韓民国だけでなくカザフスタンも新しいスケートリンクを作るなど伸びていく要素があるので注目する必要があるでしょう。またカザフスタンとソチは同じ旧ソビエト圏ということもあり、その地を訪れることもいい経験になると思います。今回は雪上と氷上の競技が分かれて滞在しますが、なるべく多くの会場を回り、選手に声をかけていきます。役員と選手の距離を縮めて、家族的な中にも厳しさのあるチームジャパンになれればと思っています。メダル数は、これまでの最高数を上回ることが目標ですが、今大会の場合は勝ち方の内容が重要です。各国が選手をユニバーシアード冬季競技大会と振り分けて臨んでいますから、どのレベルの選手にどんな勝ち方をしたか、その中身を分析し、ソチに繋げていく大会にしたいです」
Aflo_sswa034352 橋本団長

船木和喜主将(スキー/ジャンプ)
「35歳のオヤジが主将ということなので、こういう経験はなかなか出来ることではないですし、若い人に光を入れていきたい。国際大会に出場して、チャレンジできる幸せを感じています。自分をアピールする場と考えて、他とは違う印象を持ってもらえるようなジャンプをしたいです。素直に飛ぶことが大事だと思います。メダルを獲らなければならない大会。緊張感を持って臨みたいです」
Aflo_sswa034362 船木選手

村上佳菜子旗手代行(スケート/フィギュアスケート)
「思ったより団旗が重くて腕がプルプルしました。日の丸を下につけちゃいけないと思って大変でした。大会では、金メダルは欲しいけれど、まずは自分の演技ができるように頑張りたいです。ショートプログラムとフリースケーティングの両方でノーミスの演技が出来るようにしたいです。まだシニアに追いつけていないと思うので、少しずつ経験を積んで上に上がっていくための大会にしたいです。皆で同じ服を着て、他の競技の選手もいく大会は嬉しいです。もしオリンピックに出れたら同じような感じだと思うので、いい経験にしたいです」
Aflo_sswa034363 村上旗手代行

長島圭一郎選手(スケート/スピードスケート)
「金メダルを獲ります。やはりオリンピックが終わった年ということで、精神的にも体力的にもピークの作り方が難しい年です。バンクーバーに向けたシーズンは、試合ごとに調子を上げていけたけれど、今年はその場でバタバタすることが続いていました。気力と身体を一致させるような大会にして、ここで結果を出していく大会にしたいです。必死になれることが大切で、それが自分が変わるきっかけになると思います。そういった意味で、内容よりも結果を求めて生きたいです」
Aflo_kdna026335 長島選手

穂積雅子選手(スケート/スピードスケート)
「アジア冬季大会の参加は2回目です。バンクーバーが終わってから1年目ですが、今は1年1年しっかりと成績を残していくことが、次のオリンピックの成績につながると思います。3年後のソチに自信を繋げて行くための大会にしたいです。今年は新しい4年間のスタートの年。もう一度基礎を固めていって、来年以降に成績を残していくためのスタートです。今回のアジア冬季大会は、自分が今アジアでどれくらいの位置にいるかを確認するための試合なので、しっかり勝ちに行って自信をつけたいと思います」
Aflo_plra028082 穂積選手
(写真提供:アフロスポーツ)

2011/01/06

トップアスリートの支援システム「アスナビ」第一号、古賀淳也選手が第一三共(株)と雇用契約

JOCが新たに進めているトップアスリートの就職支援ナビゲーションシステム「アスナビ」のスキームを活用し、水泳・競泳の古賀淳也選手が第一三共株式会社と雇用契約を結ぶことで基本合意に至ったことを、JOCは1月5日に発表を行いました。経済情勢の悪化により日本を代表するトップアスリートですら、選手活動を継続することが厳しい状況にあるなか、JOCでは企業側のニーズと、世界の頂点を目指すべく安定した環境下において活動に打ち込みたいとする選手側のニーズをマッチングするシステム「アスナビ」を構築。10月14日に経済同友会の協力のもと第一回目となる説明会を開催し、企業と選手のマッチングを行ってきました。古賀選手は同スキームを通じて企業と雇用に関して正式に合意に至った「第一号」となります。

Photo_3 古賀選手

10月14日に行われた企業説明会では、古賀選手自らが登壇し、経済同友会に加盟する多くの企業関係者の前でアスリートの窮状を説明。また自身も、練習環境安定のために支援が必要だと訴えました。このプレゼンテーションを聞いた第一三共株式会社の関係者が、古賀選手の誠実な人柄を感じ取ったことで、最終的に雇用につながったそうです。

第一三共株式会社では「以前より、世界の頂点を目指す日本人アスリートを支援することで、社員の一人ひとりに刺激を与え、ともに切磋琢磨し、成長していけるような機会作りを模索していました。JOCが実施しているトップアスリートの就職支援ナビゲーション機能を活用し古賀選手の雇用を決定しました」と雇用の経緯を発表。

また雇用の理由として「古賀選手は日本のお家芸と言われる水泳の世界において、背泳ぎの選手として活躍しており、数多くの国際大会での優勝実績があります。古賀選手の常に世界の頂点を目指す志や情熱、挑戦意欲は、“Global Pharma Innovator”の実現を目指す当社グループのビジョンやスピリッツに合致していることから、アスリートとしての古賀選手の活動を全面的に支援することにしました」としています。

「アスナビ」は、JOCゴールドプラン委員会/スポーツ将来構想プロジェクトの「指導者・選手の環境整備ワーキンググループ」を中心に進めてきた就職支援プロジェクト。トップアスリートと企業が雇用関係を結ぶことで、選手にとっては安定した練習環境が確保され、企業にとってはアスリートを全社一丸となって応援することで社内の連帯感の強化が図れ、また、社会貢献の観点からも大きな実績を残すことができます。このことは、アスリートと企業の双方にとって利益をもたらす関係を構築することにつながります。JOCでは、今後とも“One Company, One Athlete”をテーマに掲げ、企業側の情報を選手に提供し、一人でも多くのアスリートが企業と新たな雇用契約を結べるよう、支援を行っていきます。

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2011/01/01

JOC/NF国際担当者フォーラム、今年度は「人材」に焦点を当てて開催

スポーツ界での日本の国際力を高めようと、JOCは12月20日、人材や組織強化のための具体策を話し合う「平成22年度JOC/NF国際担当者フォーラム」を、味の素ナショナルトレーニングセンターで開催しました。各競技団体(NF)の国際担当者約70名が参加。来年度から始まる「国際人養成事業」について説明したほか、さまざまな「国際戦略の事例」を担当者自身が話すなど、様々な国際力強化へ向けた取り組みが紹介され、有意義な情報共有の時間となりました。

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開会にあたりJOCの竹田恆和会長が「2011年はJOC創立100年、日本のスポーツが国際化してから100年の節目となります。2016年のオリンピック招致が残念な結果に終わったことの1つには国際的に活躍できる人材の不足があり、世界での発言力強化が必要だと痛感させられました。このフォーラムでの成果を各競技団体に持ち帰り、国際戦略をもう一度見直す機会にしていただきたいと思います」とあいさつ。続いて水野正人JOC副会長が「国際化のためには、人が重要です。人と人がいい関係を作らないと何も動きません。世界で日本の立場を強くするために何が必要か、考える機会にしましょう」と呼びかけました。

■2011年度から開始の「国際人養成事業」を紹介

初めに、前原正浩JOCゴールドプラン副委員長が、来年度から始まる「国際人養成事業」について説明しました。この事業は、JOCが策定したゴールドプランのひとつの目標である、競技力向上につながる「国際力の強化」が必要だとして計画されました。前原副委員長は「これまでスポーツ指導者らの海外派遣を行ってきましたが、来年度からは国際競技連盟(IF)、アジア競技連盟(AF)などの役員として活躍する国際人養成事業も実施するよう計画しています。人脈形成の拡大、情報の収集、発言力の強化、プレゼンスの確立、IF、AFでのポジションを獲得することなどは、すべて競技力向上に繋がっていきます」と説明しました。2011年度は、NFやJOCの推薦者でかつ、国際競技連盟の理事や委員の候補者などを対象に、7月から10月にかけて、1コマ75分の授業を80コマ行う予定です。カリキュラムは、スポーツ組織の基礎知識、国際戦略やスポーツ外交について学ぶほか、コミュニケーション実習としてビジネスメールの書き方、マナー・プロトコール講座など実践的な内容を行う予定です。

最初のプログラムでは、「国際人養成事業」の体験授業として、英会話学校「ベルリッツ・ジャパン」Alex De Vile氏によるコミュニケーション実習が行われました。「英語でのコミュニケーションに必要なものは、55%がVisual(態度、ジェスチャー、目線、表情)、38%がVocal(話し方やアクセント)、8%がWords(語彙力)です。単語はもちろん大切ですが、それ以上にVocalとVisualが大切になってきます」とVile氏。授業はすべて英語で行われ、センテンスに合わせてジェスチャーを考えて話すなど実践的な練習が行われました。またプレゼンテーションについて「冒頭の3分で話すことを覚えておく、鏡の前で練習する、録画して練習する」などのノウハウを紹介し、「プレゼンテーションにおいては、目に見えるコミュニケーションが非常に重要になります」と結論付けました。

■青年海外協力隊・スポーツ分野の派遣の実態

次に、「青年海外協力隊・スポーツ分野の派遣の実態」として、(独)国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊事務局の北野一人次長が説明。青年海外ボランティア(20〜39歳)とシニア海外ボランティア(40〜69歳)のうち、スポーツ分野での派遣は、柔道や空手の指導者などが中心で、国民の健康増進や競技レベルの向上などの面で貢献していると紹介。2007年〜2010年までに28職種、300名を超えるスポーツ分野への派遣が行われました。北野次長は、自身がモルディブへ水泳指導で派遣された経験を交えて「プールの無い国だったので、海にロープを張ってコースを作成。モルディブ初の競泳選手を育て国際大会に派遣することで、開発途上国の若者が海外の若者と交流する良い機会を作ることができました。スポーツを通じた国際交流の楽しさや意義を、若い競技者の方にも伝えてください」と話しました。また、卓球指導者の派遣前研修について(財)日本卓球協会の木村興治副会長(JOC常務理事/国際専門委員長)は、国際卓球連盟が作成した指導要領を用いた研修を行い、国際的レベルの指導者を派遣していることを説明しました。

■パネルディスカッション「国際戦略の事例」

続いて、パネルディスカッション「国際戦略の事例」が行われました。パネリストには、(財)日本バレーボール協会国際事業本部の下山隆志部長、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の徳増浩司事務局長、国際スケート連盟の平松純子理事が登壇し、JOC国際専門委員長の木村常務理事が司会を務めました。

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下山氏は、多くの国際大会を日本で開催している経験から「大会の準備の段階で、IFの意向を理解することが重要で、そのためにIFに多くの役員を派遣し、日頃からメールするなどコミュニケーションを大切にしています。その上で、開催地のボランティアの方々にIFの意向を理解してもらって運営していくことが大切です」と話しました。

徳増氏は、ラグビーワールドカップ招致の成功事例をもとに「招致活動はコミュニケーションがすべて。3年がかりで、海外からの情報収集、海外への情報発信、コミュニケーションと、段階を踏みました。日本は海外では思っている以上に知られていないので、相手に飛びこんで日本を理解してもらうよう心がけました」と話しました。

平松氏は、国際スケート連盟の技術役員として長年にわたりルール改正を担ってきた経験から「選手時代の人脈から始まりコツコツと人脈を築いていきました。技術委員、理事となれたのも、海外の方々と頻繁にメールや会話をするうちにサポートしてくれる方が出来たお陰だと思います。ルールを改訂する技術委員の立場になれたことで、ルールが変更された背景などを日本の選手や役員に説明することが出来ました。採点競技においては、正しい情報が入らないと正しい強化の方向を向くことができないので、技術委員や理事としての立場が生きたと思います」と話しました。

また英語を母国語としない日本人にとってネックとなる国際会議については、下山氏は「事前に鏡の前で話すなど準備し、質問も予測して英語での答えを用意しておく」、徳増氏は「事務局内にも英会話教室を行って強化した」、平松氏は「発言するタイミングが難しいので、事前に自分の意見を周りに伝えておいてフォローしてもらえる体制をつくる」など、それぞれの工夫を紹介しました。

■スポーツ・ツーリズムの推進について

最後のプログラムでは、「スポーツ・ツーリズムの推進について」と題し、観光庁観光地域振興部の田端浩部長が、観光庁の活動を紹介。観光庁では、2020年までに訪日外国人を2500万人にすることを目標とした観光立国の推進を進めており、新しい観光分野の1つとして「スポーツ観光」を挙げていることを紹介。日本でのスポーツ観戦、日本に来てマラソンなどに参加するなどのスポーツ観光を活性化させるため、「スポーツ・ツーリズム推進連絡会議」を立ち上げ、情報提供を行うWEBサイト「スポ・ツー・ナビ」やスポーツ観光相談窓口の設置などを行っていると話しました。

また、観光庁によるMICE(Meeting,Incentive,Convention,Event/Exhibition)誘致活動事業実施支援事業についての説明もありました。NFが国際大会や国際会議を行う際に、観光庁が経費を一部負担するなどの支持スキームについて説明。積極的な活用を呼びかけました。

最後に、JOC国際専門委員会の村里敏彰副委員長が「笑顔と刺激のあるフォーラムとなりました。情熱のある方たちが道を切り開いていくことが大切です。国際人と呼べる、人間力の幅が広い人を築いていくことが私たちのテーマです」とあいさつし、実践的で充実したセミナーを締めくくりました。

2010/12/07

全日本スキー連盟 2010/2011全日本スキー連盟TAKE OFF記者会見

新しい執行部体制が立ち上がった全日本スキー連盟(SAJ)は1129日、「2010/2011全日本スキー連盟TAKE OFF記者会見」を行いました。執行部の紹介と、2014年のソチ冬季オリンピックでの実施技を目指している女子ジャンプのチームの紹介に続き、ジャパンスキーチームのオフィシャルユニフォームが発表されました。

Aflo_pvaa011417 女子ジャンプチームのメンバー(左から)渡瀬弥太郎コーチ、高梨沙羅選手、伊藤有希選手、渡瀬あゆみ選手(アフロスポーツ)

 

鈴木洋一会長は「SAJが一丸となってスキーの活性化、選手強化に全力を尽くしたい」とあいさつ。古川年正競技本部長は「組織としてチームとして一致団結して、ソチ冬季折ピックで必ずメダルを奪還したい」と話しました。

会見では、女子ジャンプチームの紹介が行われました。女子チームは、2001/2002シーズンに結成され、全日本選手権の実施種目にも加わりました。2009年には世界選手権の実施種目となり、2011/2012シーズンからはワールドカップでの実施が決まるなど、広がりを見せています。

 

会見に出席したのは、渡瀬あゆみ選手、伊藤有希選手、高梨沙羅選手の3名。渡瀬選手は女子チーム結成時からのメンバーで、女子チームのリーダーとして活躍。2009年の世界選手権では日本女子で最高位の10位に食い込みました。渡瀬選手は「頑張っている若い子に励まされています。だんだん下の子の面倒をみる余裕も出てきました」とあいさつしました。

 

伊藤選手は2007/2008シーズンから女子チームに所属。初シーズンのコンチネンタルカップ(蔵王)で5位となりデビューすると、2009年世界選手権には中学生ながら出場を果たし17位と健闘しました。伊藤選手は「夏の大会の良いイメージのままシーズンインしたいです。オリンピックの種目になればすごく嬉しいですし、先輩方が頑張ってきたおかげだと思います」と話しました。

 

高梨選手は、中学3年生で身長151cmと小柄ながら、思い切りのいいジャンプが持ち味。2009/2010シーズンはコンチネンタルカップで2位となった、期待の若手です。高梨選手は「去年より飛び出しのタイミングもつかめています。学校の勉強を選手のお姉さん方にみてもらったりして、充実した練習ができています」と笑顔を見せました。

 

また女子ジャンプチームの渡瀬弥太郎コーチは、「まずは今シーズンの世界選手権で行われる女子ジャンプ団体でメダルを獲りたい。今年は事前合宿を海外には行かずに、一カ月間しっかり日本で合宿してじっくりメンバーを選考します。夏のコンチネンタルカップで若い選手が通用しているので、このスタートダッシュを生かしたいです」と意欲を語りました。

 

IOCは、10月にアカプルコ(メキシコ)で開かれた理事会でソチ冬季オリンピックの新種目を審議し、スキージャンプ女子などを採用する方針をまとめました。世界選手権などの競技レベルを見た上で、来春に正式決定がなされる予定です。

 

 

2010/11/11

広州アジア大会トーチリレー、市原則之団長と原田裕花本部役員がランナーを務める

広州アジア大会のトーチリレーが11月10日、広州市の大夫山森林公園で行われ、日本代表選手団の市原則之団長とアトランタオリンピック・バスケットボール女子代表で同選手団の本部役員を努める原田裕花さんの2人が、ランナーを務めました。

Dsc02853_3 原田本部役員(左)と市原団長

 

この日のリレーには約80人が参加し、原田さんが17番目、市原団長は47番目に走りました。市原団長は「沿道は満員の観衆で、多くの声援を送っていただきました。私自身、トーチリレーに参加するのは初めてで非常に感動し、改めてオリンピックをもとに開催されている大会だと思いました」とコメント。原田さんは「まさか引退してからトーチランナーをするとは思いませんでした。日本選手の頑張りを祈りながら走りました」と話しました。

トーチリレーは10月12日に北京郊外の万里の長城で採火式が行われ、長春などを経由して、11月5日に広州市入り。12日に開会式会場に到着します。

Pkg10y100064 トーチランナーを努めた市原団長(PHOTO KISHIMOTO)

2010/11/09

スピードスケート全日本距離別、長島優勝、加藤2位、バンクーバー組の好タイムに沸く

文・折山淑美

バンクーバー冬季オリンピックで3個のメダルを獲得したスピードスケート。次の2014年ソチ冬季オリンピックへ向かう第一歩となる戦い、全日本距離別選手権が10月30〜31日に長野市のエムウェーブで開催された。

この大会の初日、格の違いを見せつけたのが男子500mのメダリストコンビ、長島圭一郎選手と加藤条治選手だった。この夏からは新しい靴やブレードを試していたが、新しい靴が合わずギリギリで去年の靴に戻したという長島選手は、1回目に34秒88の大会新をマークしてトップに立った。

すると2回目は、1回目2位で自身が持っていた大会記録を破られた加藤選手が、100m通過は1回目と同じ9秒69ながら、後半で同走の長島sんしゅを突き放し再び大会記録を取り返したうえに、長島選手が持っている国内最高記録に並ぶ34秒81を出した。

2本合計タイムでは長島選手が加藤選手を0秒04上回って優勝を決め、加藤選手は2位。3位にはバンクーバー代表の及川佑選手が入ったが、合計タイムは加藤選手より1秒以上遅れと、二人の強さが際立つ結果だった。

「1本目は思ったよりタイムが良くてビックリしました。7〜8割の感じで滑っていたから35秒5くらいだと思っていたんです。それで2本目はわざと力を入れて体を硬くして滑ってみたんです」と長島選手。オリンピックの500mは2本の合計タイムで競うため、両方のタイムを揃えなくては勝てない。1本目で好タイムが出たために本番を想定し、「守ってもミスがでて勝てない。ミスを恐れずに攻めなければいけない」と自分に言い聞かせ、プレッシャーをかけた状態でどのくらいで滑れるかを確かめたというのだ。その結果、加藤選手を僅かに抑えての優勝。長島選手は予想以上の成果に笑みをこぼした。

Pkg10x301075 優勝した長島選手(PHOTO KISHIMOTO)

 

一方、加藤選手は今季、前半戦はのんびりやって後半で調子を上げていく構想を持っていた。だが1本目で長島選手に好記録を出されて燃えたという。「1本目のタイム差は0秒22だったが、その差だと、W杯では長島さんが優勝したら僕は10番くらいになっちゃうタイムだったので。さすがにノンビリやってられないと思ってリミッターを外したんです。だから2本目は勢いだけでいったようなレースでしたね。僕の場合はスケーティングが目茶苦茶でも、体さえ動けばタイムが出るというのが持ち味なんです。でも体だけに頼ったレースをしていると、後半戦でレベルが上がってくると不安なんで。もうちょっと完成度を高める必要があると思っているんです」と課題を口にした。

Pkg10x300741 2位になった加藤選手(PHOTO KISHIMOTO)

 

長島選手は2日目の1000mでも、「長距離系の練習をやっていないからダメですよ」といいながらも、1分10秒18の大会記録で優勝した。だが、「実力だとは思うんですが、なんでこんなにいいタイムが出たかわからないですよ。けっこう氷が滑っていたから、管理をする係の人に挨拶をしておきました」と周囲を笑わせた。

二人を指導する日本電産サンキョーの今村俊明監督は「加藤も長島も去年よりいいくらいで、これが去年ならと思うほどですよ。特に長島は外から見ているとほとんどミスがなくて安定している。トップスピードの精度も去年よりいいと思う」と評価した。

女子の場合はバンクーバーへ出場した選手のうち、短距離の岡崎朋美選手と自転車競技に挑戦する中・長距離の田畑真紀選手が休養。さらに吉井小百合選手と新谷志保美選手が引退と、一気に手薄になったといえる状況だ。

その中で安定した力をみせていたのが、バンクーバーは500mと1000m、1500m、パーシュートに出場して大車輪の活躍をした小平奈緒選手だ。「バンクーバーで負けた瞬間から、次の戦いは始まっていると思ったから。ここで休むかやるかが4年後に結果となって出てくると思うので、休みたいという気持はなかったですね。清水宏保さんも長野の後は休もうとしなかったというから、同じような感じだと思います」。

こう言う彼女は今年、ブレードをいくつも試したり他競技の選手に会ったりと様々なことにチャレンジしている最中だ。まだ新しい道具にも違和感のある状態だが、初日の500mは2本ともトップタイムで優勝し、2日目の1000mでも2位に0秒5以上の差をつけて優勝と底力を見せつけた。「まだブレードに不安があって、氷に力を伝えきれていない滑りになっているけど、500mを2本滑ったあとに乳酸値を計ったら、以前に同じくらいのタイムで滑った時の値に比べると全然出ていないくらい低かったんです」と小平選手。疲労の指標である乳酸値が低く出たことで、体力面の向上を実感している様子だ。「1000mは去年よりタイムは1秒遅いけど、いろんなことに挑戦している最中なので心配ないというか、これから上げていける感じです」と余裕を見せていた。

Pkg10x300943 500mと1000mで優勝した小平選手(PHOTO KISHIMOTO)

 

他にも、初日の1500mでは振るわなかった穂積雅子選手も、得意種目の3000mでは自身が持っていた国内最高記録を大幅に上回る4分07秒89で優勝と、昨年以上の期待ができる状態だ。またスーパー中学生と注目された木美帆選手も、500mと1000m、1500mの3種目に出場したが、すべての種目で初のW杯代表に選ばれ、昨年の勢いがフロックではなかったことを証明した。さらに、バンクーバーには代表になれなかった中・長距離の石野枝里子選手も、所属を変えて8月くらいまではあまり練習をできなかったというが、1500mで優勝、3000mは2位と、悔しさをバネにした再挑戦を始めている。

大会終了後には11月12日から始まるW杯前半戦の代表メンバー全25名が発表されたが、うち初代表は13名。そのうち高校生は4名というフレッシュな顔ぶれになった。スピードスケート界の今後の飛躍が楽しみになる結果だった。

2010/11/03

アジア競技大会に向け、市原則之団長、上村春樹副団長、塚原光男総監督が講演

11月12日に広州で開幕するアジア競技大会まで2週間を切った11月1日、日本スポーツマンクラブで市原則之団長、上村春樹副団長、塚原光男総監督がそれぞれ大会への抱負を語りました。アジア大会は、ロンドンオリンピックに向けた重要な位置づけの大会となります。竹田恆和JOC会長も激励に訪れ、「ニッポン、頑張れ」と三唱して日本代表選手団を送り出しました。

Pkb10y01_0026 講演する市原団長(PHOTO KISHIMOTO)

■市原団長、今大会の意義

市原団長は「団長を引き受け光栄であるとともに、身が引き締まる思いです。今回は、42競技、476種目の規模で行われ、45NOC(国と地域)が参加します。日本代表選手団は選手726名、役員352名、合わせて1078名の史上最大規模となります。オリンピック競技はロンドン大会につながる大会であることを前提に参加し、また非オリンピック競技にとっては最高の国際総合大会となりますので、競技の普及も含めて最高の成績を目指して欲しいと思います」と大会概要や意義を話しました。

また、「大会は勝ち負けだけでなく大切なムーブメント。選手が最大の力を発揮し、フェアプレーをし、フレンドシップを図る。これを基本に頑張りたい」と団長としての思いを語りました。

■塚原光男総監督「日本は、アジアの王者になれるか」

総監督の塚原氏は「このアジア大会はロンドンオリンピックのメダルへの登竜門。戦うと同時にシュミレーションし、検証した知識をロンドン大会につなげることが目標となります。マルチサポート・ハウスは過去にない取り組みで、マッサージや和食、治療施設など、選手村では行えないサポートを選手に提供します。日本にはまだ金メダルを取る伸びしろがあると思うので、ロンドンに向けた新しい方策を探していきたいと思います」と、ロンドンオリンピックに向けた重要な大会であることを強調。「オリンピック競技が全力で臨むのは当然、非オリンピック競技にとっては最高レベルの大会です。今回の大会での金メダル数は、中国に次ぐ2位を目指します」と抱負を語りました。

また、チームジャパンがより一体化するために作ったチームジャパンテーマソング「強いものは美しく〜ATHLETE〜」を紹介。曲を流しました。

Pkb10y01_0187 テーマソングの作詞をした塚原総監督(PHOTO KISHIMOTO)

 

■竹田会長より激励、上村春樹副団長が決意表明

竹田会長からの激励が行われました。「何としても2012年のロンドンオリンピックで国民のみなさんが期待する成績をあげるために、重要な大会となります。ロンドンオリンピックと同じ戦略をアジア大会で行うためマルチサポート・ハウスも準備しています。ぜひロンドン大会で金メダル獲得数世界5位となるためにも、最高の成績を残してほしい」と竹田会長。最後に「ニッポン、ガンバレ」と三唱しました。

さらに、竹田会長の激励を受けて、上村副団長があいさつ。「柔道は去年の世界選手権で男0個、女3個でしたが、今年は10個。強化をやれば1年でも変わります。ロンドンオリンピックで金メダル数5位になるためにも、選手にはその自覚が求められています。練習不足などと言うことのないチームで臨むことを約束し、国民のみなさんの期待に応えられるよう頑張ります」と上村副団長は決意表明を行いました。

広州アジア大会は12日に開幕。27日までの16日間、熱戦を繰り広げます。

Pkb10y01_0085 決意表明する上村副団長(PHOTO KISHIMOTO) 

2010/10/08

アジア大会に向け大きな躍進、バドミントン・ヨネックスオープン

文・折山淑美 

 

バドミントンのチームジャパンにとって、9月21日〜26日に東京体育館で行われたスーパーシリーズの「ヨネックスオープンジャパン2010」は、11月の広州アジア大会へ向けて弾みをつける大会となった。8月下旬に開催された世界選手権では、男子シングルス山田和司選手と女子シングルス廣瀬栄理子選手、女子ダブルス末綱聡子選手・前田美順選手組のベスト8進出が最高順位だったチームジャパンは、それぞれ広州アジア大会への手ごたえを感じる結果を残したのだ。

 

最強・中国を始めとする世界の壁は極めて厳しい状況。その中でも着実に実力を発揮したのが、世界ランキング4位につける女子ダブルスの末綱選手・前田選手組、通称“スエマエ”だった。初登場の2回戦では香港ペアを相手に、第1ゲームを21対9で先取。第2ゲームは途中11対16とリードされたが、そこから怒濤の追い上げをみせて21対17で勝利。翌日の準々決勝はミスが出て苦しんだが、マカオのペアを21対18、21対16で下して、3年連続のベスト4進出と底力を見せつけた。

だが準決勝は強敵だった。相手は急造ペアながら、前週のスーパーシリーズ・中国マスターズで優勝したワン・シャオリー選手とユ・ヤン選手(中国)のペア。王選手は世界ランキング1位ペアのひとりで、干選手は北京オリンピック金メダリストで今年の世界選手権も優勝。ともにパートナーを変えて出てきたのだ。「レシーブをしっかりしてラリーに持ち込みたい」と臨んだ“スエマエ”だったが、相手の壁は厚かった。男子顔負けの力強いスマッシュと速い動き。ネットプレーの正確さに歯が立たず、5対21、10対21で完敗。結局昨年の準優勝にも届くことができず、3位で試合を終えたのだ。

ただこの中国ペアの強さは格別で、決勝でも世界選手権3位の中国ペアを21対17、21対6で簡単に下して圧勝したほどだった。「練習では男子選手を相手にして、速いスマッシュもしっかりレシーブできるようになってきたが、試合になると女子選手独特の球の動きもあってポイントをずらされたりしている」という“スエマエ”のふたり。北京オリンピック以来新たな脅威となっている中国のパワーとスピードを兼ね備えたペアを相手に、どうやってレシーブを返して得意のラリーに持っていけるようにするかが、もうワンランクアップするために必要な課題だ。

Aflo_mjxa100141_2ワン・シャオリー、ユ・ヤン選手組は決勝でも圧倒的な強さをみせた

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前田選手(左)と末綱選手

女子ダブルスでは他にも、世界ランキング7位の藤井端希選手と垣岩令佳選手ペアと、15位の松尾静香選手、内藤真美選手のペア、25位の高橋礼華選手、松友美佐紀ペアも揃って2回戦に進出。ともに敗れてはしまったが、全日本チームの中島慶コーチは「勝つチャンスはあった。勝負どころで引いてしまうのではなく、前に出れば良かった。ほんのちょっとした差だ」と悔しがる内容だった。

また女子シングルスでは、世界ランキング7位の廣瀬選手と、予選から勝ち上がってきた打田しづか選手がベスト8進出を果たした。その中でも健闘したのは廣瀬選手だった。準々決勝の対戦相手は世界選手権2位、前週の中国マスターズ優勝者で世界ランキング1位のワン・シン選手だった。スピード豊富で、どんな体勢からでも強いスマッシュを打ち、きっちりとコーナーを狙ってくる高い技術の持ち主。前回マレーシアで戦った時はストレート負けだったというが、今回は第2ゲームを21対18で取ってファイナルゲームまでもつれ込む大健闘をみせた。

Hirose1aflo_sswa032666ベスト8進出で好戦した廣瀬選手

廣瀬選手は今年、世界選手権ではその時点で世界ランキング1位だったワン・イーハン選手を破ってベスト8へ進出した。さらに世界選手権優勝のワン・リン選手を2回破るなどの金星を挙げ、「メダルが見えてきた」という手応えを持っている。それに加えた今回の健闘で、その手応えはさらに大きくなったはずだ。「中国選手をひとり破るだけではなくふたり破らなければメダルには届かない」という彼女は、準々決勝で敗退したとはいえ、この大会を良いステップにすることができたといえる。

06年アジアジュニア優勝で07年世界ジュニア2位。さらに今年は3月の伝統のある全英オープンで日本男子シングルス44年ぶりの決勝の舞台に上がるという快挙を果たした期待の田児賢一選手は、2回戦で世界ランキング1位のリー・チョンウェイ選手(マレーシア)と当たるという不運な組み合わせになり、10対21、10対21で敗退した。

「試合後『お疲れさん。グッドゲーム』といわれたけど、へこみますね。今度は本当にいいゲームをしてそう言われるようにしたい」。こう言って苦笑する田児選手によれば、全英オープンの時は相手が自分を研究していなかったから勝てたが、それ以後は相手も研究してきて自分のプレーを出せていない状態になっていると分析する。だが優勝を狙っていた地元の大会での完敗で、「これも乗り越えていかなければいけない壁だ」と改めて感じられたことは大きいだろう。もっと「世界で戦いたい」という気持を強くもって練習に臨めば、すべての面で成長できるはず、と力強い言葉も口にした。

Tago1aflo_mrva064021男子期待の田児選手

また同じ男子シングルスでは、佐々木翔選手が04年アテネオリンピック王者で今年の世界選手権でも2位になっているタウフィック・ヒダヤット選手(インドネシア)を破る金星を挙げた。2回戦で敗退したものの、これからに向けては大きな手応えをつかんだといえる。

日本のバドミントンが今年最大の目標とする広州アジア大会。そこでいかにして中国勢や他の強豪達に立ち向かっていくか。アジアで勝ち抜くことこそが、バドミントンでは世界の頂点に肉薄する道なのだ。(写真提供:アフロスポーツ)

Semaeaflo_plra029669ベスト4進出と健闘した“スエマエ”

2010/10/05

日本セーリング連盟が国体でチャイルドルームを設置、女性選手や役員の参加を後押し

日本セーリング連盟は、9月26日から行われている「ゆめ半島千葉国体」セーリング競技の会場にチャイルドルームを設置、小さなお子さんを抱える女性選手や役員の試合参加を支援しました。同連盟によるチャイルドルーム設置の取り組みは、2002年の国体から始まり9回目。同連盟レディース委員会の倭千鶴子さん(JOC女性スポーツ専門委員会委員)は「お子さんがいることで現役を引退する女子選手や、指導の現場から離れる女性のためにも、チャイルドルームの取り組みを他の大会や、他の競技にも広げていきたいです」と話しています。

Photo_2 多くの子供たちがチャイルドルームを利用した(写真:濱谷幸江)

 

日本セーリング連盟が、チャイルドルーム設置に向けた活動を始めたのは、1998年の「かながわ・ゆめ国体」のとき。当時、選手として脂の乗った時期ながらお子さんのいた上原洋子さん(1990年アジア大会・金メダル)をはじめとする選手たちから、「レースに子連れで参加したいのでチャイルドルームを設置してほしい」という声が沸き起こりました。しかし急に国体本部としてチャイルドルームを設置することはできず、倭さんは「私たちの自己責任でやります」として、ハーバー内のプレハブにスペースを借り、託児をしてくれるボランティアを集め試合期間中にお子さんを預かったのです。「閉会式では、女子選手が赤ちゃんを抱っこして表彰台に上がったんです。とても印象的な光景でした」と振り返る。

2001年に、女性の参加を促そうと同連盟内にレディース委員会が設置され、倭さんが委員長に任命されると、活動は本格化。2002年「よさこい高知国体」では、事前から大会本部に設置の要望書を出し、入念な準備を進めました。以来、国体のたびにチャイルドルームを設置し、今年で9回目となりました。

倭さんは、大会本部との交渉は簡単ではないといいます。「子供にもし怪我があったらどうするのか、ボランティアの保育士などの人材集めをどうするか、経費の負担はどうするか、など多くのハードルがあります。どこの都市も、最初は簡単に設置を受け入れてはくれません。しかし女性の参加のためには必要なものですし、多くの開催市が最後には納得し、理解を示し、全面協力してくれます」。最近は、子供の万一の怪我にそなえた傷害保険などもレディース委員会にて負担し、万全を計っています。

今回の千葉国体では、受付を同連盟レディース委員会が担当し、保育係として地元の保育士で幼稚園の教諭が参加。受付2人、保育係4人の計6人のボランティアが常駐する態勢で競技期間中の全4日間、チャイルドルームを運営しました。地元のお母さん方がボランティアで手伝いに入ってくれることもあり、地元参画にもつながったそうです。大会初日の9月25日には、のべ44人の子どもが利用し大盛況となりました。

Img_2005お絵かきセットや、バドミントン、すべり台など様々な遊具が用紙された

利用者は、選手関係者のお子さんだけでなく、観戦客のお子さんも対象となります。セーリング競技は炎天下や風雨の中でも行われ、子連れで観戦にくると、競技の合間に子供を休ませる場所の確保に苦労するためです。女子選手は、お子さんを祖父母などに預けても観戦に連れてきてもらうことが出来ませんでしたが、チャイルドルームが設置されたことで、自分の子供に試合姿を見せてあげられるようになりました。もちろん一般客も、お子さんを預けられる安心感から気軽に試合観戦に訪れることができ、観戦客のすそ野を広げるのにも一役買っています。

夫婦で神奈川県のコーチを務める内田みち子さん・伸一さん夫妻は、1歳9ヶ月のお子さんをチャイルドルームに預けて試合に参加。みち子さんは、昨年の国体では産後9ヶ月ながら、チャイルドルームを利用すること現役復帰を果たせました。「チャイルドルームは本当に助かっています。これがなかったら女子選手や監督は競技を続けられないですよね。今後はもっと多くの試合でもチャイルドルームが設置されると助かります」とみち子さん。

一方、保育係として参加した地元の幼稚園講師の鎌田直子さんは、「日本セーリング連盟の取り組みは、女性のスポーツ参加のためにとても大切なことですね。今は会社にも保育所がある時代です。スタッフ集めは大変だと思いますが、今後も続けていってほしいですね」と話しました。

Img_1973_2子供たちをチャイルドルームに預けたことで、女性選手や女性役員の試合参加が可能になった

Img_2106「ゆめ半島千葉国体」はチャイルドルームの設置に全面的に協力してくれたという

現在は国体のみで設置していますが、今後は各地の大会でも設置できるよう、働きかけていきたいと倭委員長は考えています。「女性のスポーツ参加のためにチャイルドルームの設置を理解してもらうのは、大変な作業。でも誰かがやらないと。幸い、日本セーリング連盟は私たちの活動にとても理解があるので、これからも設置を働きかけていきたいです」。

このチャイルドルームの取り組みは、セーリング競技に限らず、すべてのスポーツで必要なことです。この取り組みを先駆者に、各競技団体でもチャイルドルームの設置にむけた動きをスタートさせ、女性のスポーツ参加につなげていくことを願ってやみません。

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