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TEAM JAPAN DIARY

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2010/11/26

ハンドボール女子 韓国との接戦制す、ロンドンオリンピックへつながる1勝に

文・折山淑美

 

予選リーグ最終戦で、中国に19対25で敗れてB組2位だったハンドボール女子。25日の準決勝はA組1位通過で、アジア大会では5連覇中の強豪・韓国との対戦になった。「個人の技術やシュート力、国際大会の経験などは韓国の方が上。日本は守りを固めて組織力で戦い、ロースコアのゲームに持ち込む以外に勝つ方法はない」それが試合前に、黄慶泳監督が選手たちに出した指示だった。

 

試合の前半、日本チームはその指示通りに守り抜いた。開始早々に藤井紫緒選手が立て続けに2点を決めて先行すると、しっかり守ってからの速攻というスタイルに徹し、55の同点にされた9分過ぎから18分にかけては、5点を連取して10対5と差を広げた。その後も韓国の攻撃を守り抜いて失点を最小限に抑え、前半を15対11で終えたのだ。後半に入ってもその勢いは衰えず、40分過ぎには20対12と8点差となり、韓国は焦りからのミスも出て一気に追い上げられない状況が続いた。

 Tr2010112500718 シュートを決める藤井選手(共同)

 
 

だがそんな韓国が、持っている底力を発揮し始めたのは49分過ぎからだった。日本が26点目を取って26対18にした直後に、19点目を取り返す。そこから3連続得点と4連続得点を決め、56分過ぎには27対25と2点差まで迫ってきたのだ。「前半は良かったけど、相手は格上だから後半で絶対に追い上げてくるというのは想定していました。練習でも点を取れない時間帯をどうするかということをしっかりやっていたので、あの時はみんなも『ここがその時なんだ』という気持ちになっていたと思います。そこでみんなが頑張って攻撃でボールをつなぐこともできたと思います」と、東M裕子選手は話す。

 

その間、キーパーの藤間かおり選手7mスローを防ぐ好セーブもあった。そんな選手達の粘りは、日本が取ったタイムアウト直後の、藤井選手の28点目につながった。さらにその後26点、27点と連取されて58分には1点差まで迫られたが、焦る韓国は日本ゴールに攻め込みながらも、パスミスでチャンスをつぶす場面もあった。すると日本は残り15秒になったところで、東M選手が空中でパスを受けてゴールを決めるスーパーシュートでもたつく韓国を再び突き放した。

 

それでも韓国は王者の意地を見せ、残り44秒に28点目を入れて1点差に迫り、最後の猛攻を見せた。だが最後は韓国選手が放ったシュートが、日本のディフェンスの腕に当たって場外で出たところでタイムアップ。日本は1点差を守り抜き、29対28で勝利して、決勝進出を決めた。「勝つことしか頭になかったので、1点差に迫られてからの29点目も『絶対に勝つんだ』という気持ちでシュートしました」と東M選手は笑顔を見せた。

 Tr2010112500720 韓国の猛攻をセーブ(共同)

 Tr2010112500724 勝利を喜ぶメンバー(共同)

 

選手には守る時には相手選手の利き腕側に寄り、逆側しか使えないように追い込むことを指示しました。それに真ん中をしっかり守って、外側へ外側へと追い込むようなデイフェンスをするように言いましたが、みんなそれを忠実にやってくれたと思います。韓国は11の攻撃で来ることが多いチームですが、今回の日本は空間大きく使うクロスプレーをしながら個人を使うという、ヨーロッパスタイルをミックスしたような形で戦ったので、韓国選手は日本選手をつかみにくかったんだと思います」黄監督は勝因をそう説明する。

 

藤井選手は「私たちのモットーは守ってからの速攻。それがすごく機能して、前半を守りきれたことが良かったと思います。とにかく、気持ちでは絶対に負けないという思いで臨みました」とう。また植垣暁恵選手も「今年の4月から韓国に勝つことだけを目標にしてやってきました。それが達成できたことは嬉しいですね。最初から一人一人が積極的立ち向かっていてシュートも打っていたので。キーパーも7mスローを何本も止めてくれたし、今日の試合はチームの気持ちが全部出たと思います」という。

 Tr2010112500719_2 シュートを決める植垣選手(共同)

 

守りの立役者となり、7mスローを4本中2本止めるなどスパーセーブを連発したキーパーの藤間選手はこう言う。「私ひとりでは国際大会は戦えないから。キーパーは3人いるし、途中で先輩の田代(ひろみ)さんが交代してつないでくれたから助かりました。今日は16人全員で戦っているという実感がありました。それに最後の7mスローを止めたのも、黄監督からの指示通りに思い切って行ったら止められたんで。アップ中の黄監督を見ていても、母国である韓国ではなく私たちのために指導してくれているのをすごい感じたから、選手みんなが絶対にやらなければと思っていました。本当に黄監督のためにも韓国に勝てて良かったと思います」

 

来年の10月にはロンドンオリンピック予選が控えている。その大きな目標にのためにも、ここで韓国に勝っておきたかった。「ここで負けたら次が見えなくなってしまう。その意味でも韓国に勝つことを目標に練習してきたから、この勝利で次も見えてきたと思います」と選手の誰もが口にする。

 

準決勝で勝利した日本は26日の決勝で、カザフスタンを下して勝ち上がった中国と対戦することになった。予選リーグでは敗れているが、植垣選手は「1回負けているけど、負けた原因もわかっているので。そこを修正し、思い切ってチャレンジするつもりでやっていく」と決意を見せる。韓国戦の勝利は、日本チームを大いに勢いづかせる1勝となった。


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