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2017.05.17 選手強化

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングが開催された(写真:フォート・キシモト)
「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
星野一朗JOCナショナルトレーニングセンター委員会委員長(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月12日、「平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティング」を味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で開催しました。

 本ミーティングは「平昌2018に向けた取り組み」をテーマとして、日々の強化活動拠点となるナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点(競技別NTC)の意義や年間の流れについて理解を深めるとともに、各競技別NTCにおける特徴的な取り組み事例や実施のためのネットワークを共有することにより、競技別NTC事業の円滑な運営と関係諸機関とのネットワーク構築の促進を図り、競技力向上につなげることを目的としています。ミーティングには競技別NTCを持つ各競技団体(NF)および競技別NTC関係者、日本パラリンピック委員会(JPC)およびパラリンピック競技別NTC関係者など、106名が参加しました。

 最初に主催者を代表して挨拶に立った星野一朗JOCナショナルトレーニングセンター委員会委員長は、今年2月に行われた第8回アジア冬季競技大会(2017/札幌)で日本代表選手団が歴代最多となる74個のメダルを獲得し、また、4月28日〜30日にかけて日本代表候補選手が合宿形式の研修会「The Building up Team Japan 2017 for Pyeongchang」を行うなど、来年2月に迫った第23回オリンピック冬季競技大会(2018/平昌=平昌2018)へ「機運が高まっています」と報告。そして平昌2018が、第32回オリンピック競技大会(2020/東京=東京2020)、第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)と、3大会連続でアジアで行われる夏季・冬季オリンピックの皮切りとなる大会であることから、「わが国のスポーツ関係者は夏季と冬季の垣根を越えて、チームジャパン一丸となって様々な思いや考えを共有し、それらを活用していかなければならない。皆さんにとって本日のミーティングがそのための一助となりましたら幸いです」と、参加者に呼びかけました。

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
杉田正明JOC拠点ネットワーク推進事業ワーキンググループリーダー(写真:フォート・キシモト)

■競技別NTCはどうあるべきか

 今回のミーティングは5部構成で行われ、最初のプログラムとなる第1部は「JOC拠点ネットワーク推進事業概要」として、本ミーティングの趣旨と、NTCがどうあるべきかを、杉田正明JOC拠点ネットワーク推進事業ワーキンググループリーダーがNTCの歴史とともに解説。『競技別NTCは世界基準のシステムとノウハウを持たなければならない』という共通認識のもと「トップレベルの競技者を組織的・計画的に育成するための強化拠点として、何が足りていて何が足りていないかを日々確認していただきたい。さらに、持続可能な魅力ある拠点作りをぜひともお願いしたい」と、各競技別NTCには世界基準を目指してほしいと訴えました。
 続けて、JOC拠点ネットワーク推進事業が行っている活動として、拠点活用推進委員会へのオブザーバー参加、NTCセミナーの開催やニュースレターの発行、JOC派遣競技会の掲示物作成などを同事業の小口貴久アシスタントディレクターが紹介しました。

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
安藤喜章スポーツ庁競技スポーツ課整備係長(写真:フォート・キシモト)

 第2部では「競技別NTC事業概要」として、速水達也JOC拠点ネットワーク推進事業拠点コーディネーターの進行のもと、東京2020へ向けた基盤的強化と戦略的強化からなる競技力向上事業をはじめ、ナショナルトレセンの拡充整備、ハイパフォーマンスセンターの基礎整備、競技別NTCの施設活用事業などについて、安藤喜章スポーツ庁競技スポーツ課整備係長が説明。また、味の素トレセンと競技別NTCの違いなどを補足したうえで、競技別NTCで行う事業などを説明しました。

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
冬季競技NTCそれぞれの取り組みが紹介された(写真:フォート・キシモト)

■冬季競技NTCの取り組みを紹介

 第3部は「競技別NTCの取り組み紹介(冬季競技)」が行われ、スケート(フィギュア)NTC、アイスホッケーNTC、アイススレッジホッケーNTCにおけるそれぞれの取り組みや利用状況、平昌2018に向けた平成29年度事業などが紹介されました。
 スケート(フィギュア)NTCは中京大学アイスアリーナ(愛知県豊田市)が指定されており、NTCとして活用できる時間帯や円滑な予約方法、パターン別にフローチャート化された救急時の対応などを竹内洋輔氏が説明。また、NTCの利用価値を高めるための手厚い医科学サポート、体組成計によるコンディショニング管理、即時フィードバックシステムで競技力向上につなげるなど、様々な施策を行っていることが報告されました。さらに、平昌2018へ向けた取り組みとして、本番の競技時間帯に合わせた練習スケジューリングを今後調整していくなど、NFとNTCが一丸となって取り組んでいくことが述べられました。

 一方、アイスホッケーNTCからは、オリンピック出場を決めた女子日本代表における取り組みにフォーカスして、新谷和夫氏が説明しました。女子アイスホッケー日本代表は第22回オリンピック冬季競技大会(2014/ソチ)、2016年世界選手権でともに全敗。この結果を踏まえ、アイスホッケーNTCである白鳥王子アイスアリーナ(北海道苫小牧市)での強化合宿を2015年の21日間から2016年は62日間へ増加し、また、強化合宿とは別にNTC強化スクールを実施するなど、NTCを存分に活用したレベルアップ施策が実を結びました。今後の取り組みとしては、男女そろってのオリンピック出場およびメダル獲得を目標に、陸上トレーニング設備の充実、男子チームのホームリンク利用との調整が挙げられています。

 パラリンピック競技からは、アイススレッジホッケーNTCであるやまびこスケートの森アイスアリーナ(長野県岡谷市)での活動を本間隆氏が報告。練習時間の確保や、現在実施されている看護師や理学療法士の配置、また補助スタッフの配置などとともに、今後の取り組みとして外国人選手に負けないフィジカルを鍛えるための陸上トレーニング用の車いすの導入、また、状況の認識力を向上し戦術を高めるためのビジョントレーニングの導入を挙げました。

「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
味の素トレセンで実施されている感染症対策を紹介(写真:フォート・キシモト)
「平昌2018に向けた取り組み」をテーマに 平成29年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
感染症対策に関してグループディスカッションが行われた(写真:フォート・キシモト)

■感染症を防ぐために

 第4部では「平昌2018直前のコンディショニング対策〜感染症対策〜」として、辻本典央JOC拠点ネットワーク推進事業拠点コーディネーターの進行のもと、エームサービス株式会社の佐々木望晴氏(味の素トレセンサクラダイニング支配人)、同じく稲見亮太氏(味の素トレセンヴィレッジ支配人)が、それぞれで実施している感染症に対する事前対策、発生時対策、事後対策を紹介しました。
 味の素トレセンが設立されてから9年が経ち、当時と比較して現在は各NF、施設スタッフともに感染症のリスク管理への認識が高まっていることから、「今はすぐに情報が集約され、対応も適切にできています。皆さんの意識、足並みが揃っていることが一番の予防につながっていると思います」と述べた稲見支配人。佐々木支配人も「それぞれの施設の中で皆さんが本気で取り組んでいますし、環境づくりができています」と、感染症対策が9年前と比べてより効果的に行われていることを話しました。

 この第4部で学んだことを踏まえ、最後のプログラムである第5部では平昌2018および東京2020に向けて、競技別NTCで取り組む感染症対策についてのグループディスカッションを行いました。まず、各競技別NTCで行っている感染症対策の現状を共有し、その中でも今回は事前対策について発表。その後、平昌2018へ向けてというテーマに沿い、各グループにおける冬季競技のNTCが今後、感染症の事前対策についてどのようなことを行っていくべきかが議論されました。
 グループディスカッションを終え、第4部に続き進行を務めた辻本氏は「ここで情報共有したことを各競技別NTCに持ち帰っていただいて活用してください。感染症を防いで、より良いトレーニング環境をぜひ皆さんで作っていただければと思います」と参加者に呼びかけて、本ミーティングを締めくくりました。

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