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2017.03.24 キャリア支援

アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催

アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
独立・起業セミナーを開催

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は3月15日、「JOCキャリアアカデミー 独立・起業セミナー」を味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で開催しました。

 このセミナーは、トップアスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」の一環として実施。アスリートの競技引退後の選択肢の一つ「独立・起業」をテーマに、ノウハウを提供、実例を紹介し、キャリアデザインの参考としてもらうために行われました。初開催となる今回は、将来の独立・起業を目指すJOC強化指定選手、強化スタッフ19名が参加しました。

アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
八田ディレクターが独立・起業セミナーの概要を説明
アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
中村アシスタントディレクターは企業理念・信条が大切だと補足した

■独立・起業のロールモデルを一人でも多く

 最初に、八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが挨拶に立ち、セミナー開催の主旨について「最終的な目標は、アスリートから独立・起業のロールモデルを一人でも多く作りたい。選手生活を終えてコーチになり、そこから独立企業する人はそんなに多くありません。できれば色々な道で、これまでのアスリート経験を生かした独立企業の前例になっていただく方を作りたいと思っています」と説明。その上で、今回のセミナーが初の試みであることから、「今後、皆さんからの意見をもとにブラッシュアップしていければと思いますので、色んな意見を言っていただければと思います」と参加者に呼びかけました。

 続いて、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクターが本セミナーについて補足をしました。独立・起業までには『第1フェーズ:情報提供』『第2フェーズ:起業指南』『第3フェーズ:経営指南』と3つのフェーズがあり、この中でJOCが主に行うのは「第1フェーズ:情報提供」に関してであると説明。また、独立・起業がどのような要素で構成されているかについて、中村アシスタントディレクターはスポーツにおける心・技・体になぞらえて、『心=企業理念・信条』『技=市場ニーズに対応したサービス』『体=財産(スポーツ界におけるキャリア、経験、人脈など)』であるとまとめました。この3つの中で一番大事なことは、『心=企業理念・信条』であるとし、例として各分野のトップ企業の理念・信条を挙げながら、「皆さんももし独立・起業する際には、こうした理念・信条も合わせて作っていただければと思います」と述べました。

アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
独立・起業したオリンピアンの渡邉氏が自身の体験談を講演

■オリンピアンの渡邉高博氏が独立・起業の体験談を語る

 次にゲストスピーチとして、1992年バルセロナオリンピックに陸上400メートルで出場した渡邉高博氏が登壇。選手から会社員を経て、その後の独立・起業までに歩んできた自身の体験を講演しました。

 現在、渡邉氏は自身が設立した渡高株式会社の代表取締役を務める傍ら、早稲田大学競走部コーチ、明治大学競走部コーチ、パーソナルトレーナー、子供たちに走る楽しさを伝える「かけっこ教室」を都内各地で開催するなど、多岐にわたって活動しています。1996年に26歳で競技引退後、勤務する会社で頑張っていきたいと考えたものの、「これからは自分の得意分野で勝負する時代。自分のオリジナルを作りたいと思った」と、37歳で独立。最初はパーソナルトレーナーとしての個人事業からスタートしました。その後、口コミで評判が広まり、かけっこ教室、マラソン指導と事業を徐々に拡大。その一方で独立直後はアルバイトもしており、仕事の割合はトレーナー2割、アルバイト8割だったと苦労を振り返りました。
 そして、個人事業の業績が順調に伸びていく中、ある取引先から「法人ではないと取引ができない」と指摘されたことをきっかけに現在の渡高株式会社を設立。個人事業と並立しながら株式会社の代表取締役としても活動していく中で感じた法人と個人のメリット、デメリットなどを説明しました。

 独立してから今年で11年目となる渡邉氏。株式会社も7期目を迎えることから、さらなる事業拡大へ向け「アスリートだった経験を生かして、考えるスポーツではなく“感じるスポーツ”を伝えていきたい。その上で無意識にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを産業として大きなものにしていきたい」と目標を語りました。

アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
所アシスタントディレクターが独立・起業についての講義を行った
アスリートのセカンドキャリア支援「アスナビNEXT」:独立・起業を目指す選手、スタッフに向けてセミナーを開催
参加者はワークシー上で起業についてシミュレーションし、参加者同士で発表、共有をした

■独立・起業時に考えるべきこと&知るべきこと

 次に、今セミナーの最後のプログラムとして「独立・起業時に考えるべきこと&知るべきこと」をテーマに、キャリアコンサルタントでもある所由紀JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクターが講義を行いました。
 この中で、所アシスタントディレクターは「独立・起業する(したい)理由」を明確にすることがスタートであること、また、独立と起業の違い、それぞれのリスクなどを説明。そして、それらを踏まえたうえで実際に会社を作る疑似体験として、参加者はワークシートに、何をする会社か?(事業領域・業種)、企業理念・経営理念、会社名、売上高や利益額などの5年後の会社の姿を記入し、それを他の参加者に発表し共有しました。

 独立・起業においては、「見栄や虚栄心は捨てる」「数字に強くなる」「自分の適性を知る」、この3つが重要ポイントであるとした所アシスタントディレクター。まとめとして「今日は駆け足でしたが、『自分がどのように働きたいか』というキャリアデザインを考えていただきました。キャリアデザインには『自分はどうしたいのか?』ということが最も重要です」と話すと、「キャリアデザインには正解はないですし、良い・悪いもない。また、リスクゼロの生き方もありません。自分はどれが一番譲れないのか、その譲れないもののためにリスクをとる覚悟があるのかということを問いかけて、次の道を考えていただければと思います」と参加者に呼びかけて、この講義を締めくくりました。

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