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2016.12.14 キャリア支援

「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート

「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」が開催された(写真:アフロスポーツ)
「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
星野一朗JOC理事が開会の挨拶(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は12月1日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」を開催しました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、来春入社予定選手を含めこれまでに89社/団体129名(2016年12月1日時点)の採用が決まりました。

 今回の情報交換会では、10社・13競技団体から35名が出席。「企業同士の連携を深め、選手活用方法を考える」をテーマにそれぞれ情報を交換、交流しました。

 最初に主催者を代表して、星野一朗JOC理事が挨拶に立ち「各社におけるアスリートの活用事例や応援体制の共有と、各社における課題解決の情報の交換を通じて、より横断的な関係の連携を構築できればと考えています。そして、今後のアスナビの推進に向けた連携を図ってまいりたいと思います」と概要を説明。そして、4年後の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会へ向けて「この大会を大成功に導くためにはチームジャパンの総力を結集する必要があります。ぜひとも皆さまのご協力をよろしくお願いいたします」と、選手へのさらなる支援を訴えました。

「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
公益財団法人日本障がい者スポーツ協会常務理事/日本パラリンピック委員会副委員長の橋秀文氏(写真:アフロスポーツ)
「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
八田茂ディレクターがアスナビ採用実績概況及び今後の取り組みについて説明(写真:アフロスポーツ)

 続いて、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会(JPSA)常務理事/日本パラリンピック委員会副委員長の橋秀文氏が登壇。まず、これまでにアスナビを通じて20名のパラアスリートが採用されたことに謝礼を述べると、リオ大会では24個のメダルを獲得したものの金メダルが0個だったことから、「私たちは2020年に向けてゼロからのスタートで頑張らせていただきますので、企業のご支援を引き続きよろしくお願いいたします」と、参加企業へ呼びかけました。

 次に、八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビ採用実績概況及び今後の取り組みについて説明しました。ここでは、実際にアスリートを採用した企業、アスナビを通じて就職したアスリートからのアンケート調査をもとに、良かった点・課題点など現場から上がっている声を紹介。この結果を踏まえ、八田ディレクターは「選手と企業と競技団体のトリプルウィンの関係を作っていきたいと思っています。今日この場で皆さまには縁を作っていただいて、ぜひ忌憚のないご意見を投げて下さい」と、さらなるアスナビの発展と企業による選手活用の広がりに期待をこめました。

「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
株式会社ユーグレナの岩城章代ヘルスケア事業本部企画開発課課長(写真:アフロスポーツ)
「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
ウスイホーム株式会社の木部浩一代表取締役(写真:アフロスポーツ)

 八田ディレクターの説明の後は、採用企業の選手活用事例紹介が2社から行われました。1社目は2015年10月にスキー・ノルディック複合の清水亜久里選手を採用した、ヘルスケア事業並びにエネルギー・環境事業を手がける株式会社ユーグレナ。同社では、清水選手の競技活動やノルディック複合への理解・興味を深めるため、主に社員全員に届く社内メールで本人自らが文章で報告し、清水選手がインスタグラムに投稿した普段の練習内容や試合結果を社内のデジタルサイネージ(電子看板)に映し出すなどの取り組みをしているとのことです。さらに、オフシーズンの4月〜9月は出勤日数が増えるため、清水選手はグループ会社全体の研修会にも参加。これは「今後、グループ会社全体で応援できる体制を作っていく目的も含まれています」とプレゼンを行った同社ヘルスケア事業本部企画開発課の岩城章代課長が説明しました。
 一方で、特にシーズン中の出勤時の業務内容について課題などはまだあると話した岩城課長ですが、今後の目標として、会社としては2018年の平昌冬季オリンピックに向けた応援体制の強化を挙げ、清水選手個人に対しては、スキー教室の開催や、引退後のスキルとして健康知識を習得してもらうなどを挙げました。

 採用事例紹介の2社目は、2015年12月パラ射撃・ピストルの森脇敏夫選手を採用したウスイホーム株式会社。森脇選手同席のもと、同社の木部浩一代表取締役が活用内容を報告しました。同社は横須賀・横浜・湘南に拠点を置き、地域密着型で事業を展開していることから、これらのエリアでソフトボール、バスケットボール、綱引きなど様々なスポーツ大会を主催。これらの大会に森脇選手が参加することで、地元の人々と交流を深めているとのことです。「森脇選手には常日頃、子供たちや地域の人たちに夢を与える存在になってほしいということで、こういう活動にどんどん参加してもらっています」と木部代表。こうした活動により、実際に子供たちのスポーツに対する興味が深まったり、地域の人々の交流がスムーズになるといった効果が出ていると、説明しました。
 また、東京2020大会がゴールではなく、その先や引退後も含めて話し合っていることを明かした木部代表。最後に「地域密着型の企業として、地域の人たちとより長く、より親密になるための架け橋として、森脇選手にはもっともっと活躍してほしいと思っています。もちろん願いはパラリピアンになって、メダルを獲得してもらうことですが、その先もずっと彼をサポートすることによって、このアスナビの仕組みがもっと発展すれば」と、これからの森脇選手とアスナビに対して期待の言葉を送りました。

「第3回 アスナビ採用企業 情報交換会」開催レポート
3グループに分かれて活発な意見交換がされた(写真:アフロスポーツ)

 続いて、企業からの問い合わせが増えている「アスリートのSNSの取り扱い」について、JOCキャリアアカデミーの担当者が説明しました。現在は、アスリートを含め全社員にとって「SNS教育」が必要になっている時代。その中でもアスリートは特に狙われる対象であり、いわゆる“炎上”の背景や狙われやすい投稿、またそれをもとに商売をしている人々の存在(まとめサイト作成→広告クリック→売上)など、特に注意したい点を中心に解説しました。

 最後に、企業担当者/競技団体同士の情報交換会を実施。3つのグループに別れ、それぞれ自己紹介、各企業における選手活用事例紹介、競技団体から簡単な競技の現状紹介などが行われました。アスリート採用に対しての課題や疑問に思っていること、また採用してもたらされた企業・選手への効果など、各グループとも企業、競技団体、JOCの3者間で活発に意見交換。予定の1時間では足りないくらいに盛んな議論が交わされ、企業同士、また企業と競技団体で一層の交流を深めていました。

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