OLYMPIAN2017
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36発掘・育成事業」でいろいろな競技を体験してみたら、手足が長いことがボートに有利だと言われたんです。伊藤 野球でプロを目指そう、とは思わなかったの?青木 考えたことはありますけど、野球だと最高でも都大会くらいまでだったんです。でも、ボートならすぐに全国大会に出られるし、そこで頑張れば勝てる可能性もある。トップに立つことを考えるなら、野球よりもボートのほうが近いと感じました。伊藤 手応えはある?青木 陸上でトレーニングをするエルゴメーターという器具があって、それで自分の身体能力を計測できるんですけど、けっこういい記録が出るんですよ。体力面では上のほうにいると思うので、あとは技術を磨くだけだと思っています。上田 髙見さんはいつからアーチェリーを始めたの?髙見 小学5年からです。それまでは、習字やピアノといった文科系のお稽古ごとをやっていました。家の近くに陸上競技場があって、そこで縄跳びをしながら遊んでいたら、地元のアーチェリー協会の関係者の方から「暇ならおいでよ」ってアーチェリーの初心者講習会に誘われたんです。それがきっかけでした。上田 やってみてどうだった? 髙見 最初は全然、的に当たらなくて、何度もやめようと思ったんです。だけど、一度始めるとなかなか辞められない性格で(笑)。そうしたら、小学6年のときに少しずつ結果が出るようになりました。そこから楽しくなって、練習にも熱心に通うようになりました。エリートアカデミーの生活——エリートアカデミーに入った頃に比べて変わったことはありますか。上田 入校した頃の私は、引っ込み思案で挨拶の声も小さかったんです。笑うのも苦手で、どちらかというと頑固な性格でした。伊藤 それだと、アスリートとして強くなれないよ競技を始めたきっかけ——皆さんが競技を始めたきっかけは。伊藤 僕は小学1年のときに飛込みを始めました。でも、小学生の頃は飛込みの練習が週に3日くらいしかなかったので、体操の練習などで空中感覚を養っていました。上田 飛込むのって怖くない?伊藤 今はもう怖くないけど、初めて10mの高さに挑戦した小学2年のときは、2時間くらい飛べなかった。怖くて、ずっとその場に立ち尽くしていて。上田 実は私、飛込みの体験をさせてもらったことがあるんだ。実際は飛込まなかったけど、10mの高さから下を見下ろしたの。自分がやっているライフル射撃も標的までの距離がちょうど10mなんだけど、同じ距離とは思えなかった。下にいる人が点に見えて、めちゃくちゃ遠くに感じたよ。伊藤 10mの高さに立つと、プール自体がすごく小さく見える。前方に飛んだら、水の上じゃなくて、そのままプールを飛び越しそうな気持ちになるよね(笑)。髙見 上田さんはどうしてライフル射撃を始めたんですか?上田 私は5歳から14歳までフィギュアスケートをやっていたんだけど、ケガが多くて……。ちょうどその頃、通っていたスポーツジムのテレビで、同年代の男の子が射撃競技用のピストルを撃っているのを見て。競技としてのピストルがあることを知って、そこからだんだん射撃の魅力に惹かれていった。青木 フィギュアスケートとライフル射撃はまったく違う競技のように感じるんですけど、共通点ってあるんですか?上田 うん。フィギュアスケートでもハードな練習をしていたから、培ってきた忍耐強さや乗り越える力は射撃にも生かされていると思う。自分の意志で転向した以上は、後悔しないように頑張りたいと思って。伊藤 青木君は野球をやっていたんでしょ?青木 はい。だけど、東京都の「トップアスリート味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)の機能を活用し、長期にわたり集中的な指導を行うなど、オリンピックなどで活躍するトップアスリート、そして、スポーツを通して社会の発展に貢献できる人材を育成する「JOCエリートアカデミー」。味の素トレセンを生活拠点に、全国から発掘された優れた素質のあるジュニア選手が近隣の中学・高校に通学しながら、各競技団体の一貫指導システムに基づいた指導を受けている。エリートアカデミーに所属する上田ゆい選手(射撃・ライフル射撃)、伊藤洸輝選手(水泳・飛込み)、青木洋樹選手(ボート)、髙見愛佳選手(アーチェリー)(写真左から)の4人のオリンピアン候補生がエリートアカデミーでの生活について語り合う。未来に輝く星を目指してPhoto/魚住 貴弘Text/岩本 勝暁

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