OLYMPIAN2017
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25Photo/PHOTO KISHIMOTOThe Building up Team Japan 2017 for Pyeongchang 日本オリンピック委員会(JOC)は4月28日から30日までの3日間、平昌2018冬季オリンピック競技大会に向けた合宿形式の研修会「The Building up Team Japan 2017 for Pyeongchang」を開催した。国内外の転戦が多く活動拠点が幅広い冬季競技同士の連携や交流を深め、日本代表としての自覚と責任、連帯感を強めることが目的だ。トップアスリートや指導者、国内競技連盟(NF)スタッフら約260人を集め、味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた研修会の様子をリポートする。冬季オリンピックを経験した選手らによるパネルディスカッションチームビルディングで交流 オープニングメッセージでは、古川年正JOC選手強化副本部長兼平昌対策プロジェクト委員長が「これを機会にぜひ選手同士が知り合いとなり、情報交換の場に使ってほしい」と挨拶。続けて、水泳・競泳の萩野公介選手、体操・体操競技の内村航平選手、レスリングの伊調馨選手らリオデジャネイロオリンピックの金メダリストがリオ現地で収録したビデオメッセージが紹介された。 次に橋本聖子JOC選手強化本部長が、この合宿がバンクーバーオリンピック、ソチオリンピックと2大会で大きな成果を残したことを説明し、「一つでも多くのことを吸収し、自分が持っている多くの素晴らしいものを多くの選手に伝える役割も果たすべき立場だと理解しながら、この研修会を素晴らしい機会ととらえてください」と訓示を述べた。 研修会の最初のプログラムは「チームビルディング」。選手同士の交流を図ることを目的に、選手たちはグループに分かれて各種ゲームに挑んだ。2時間のプログラムが終わるころには各選手間で競技の垣根を越えた交流が深まっていた。 続いて、「トップアスリートのための安全管理〜トラブルを起こさない、巻き込まれないために〜」をテーマにした研修が行われた。オリンピアンに学ぶ 2日目は、伊東秀仁JOC平昌対策プロジェクト副委員長が「この研修を通じて、平昌オリンピックまでの日々をどのように過ごしたらいいかを考えてください」と挨拶してスタート。 この日最初のプログラムは、The学1「パネルディスカッション〜冬季オリンピアンから学ぶ〜」。長野オリンピックのスキー・ジャンプ団体金メダリスト、原田雅彦JOC平昌対策プロジェクト委員による進行のもと、カルガリーオリンピックのスピードスケート男子500m銅メダリストの黒岩彰JOCアシスタントナショナルコーチ、バンクーバー冬季オリンピックに出場したスピードスケート女子の髙木美帆選手、ソチオリンピックスキー・ジャンプ女子4位の髙梨沙羅選手、ソチオリンピックのスキー・ノルディック複合銀メダリストの渡部暁斗選手、ソチオリンピックに出場したアイスホッケー女子の大澤ちほ選手がオリンピックでの経験、挫折、成功談などを語り合った。The学2「平昌オリンピックに関する情報提供」では国際情勢、平昌オリンピックに向けた栄養サポートが紹介された。 The学3「夏から学ぶ(1)〜競泳〜」では、平井伯昌JOCナショナルコーチと萩野公介選手が登壇。萩野選手が金メダルを獲得したリオデジャネイロオリンピック競泳男子400m個人メドレーでの調整やレースプラン、当時の心情などを細かく解説した。アスリートとメディア 午後、選手たちは卓球に挑戦。宮崎義仁JOCナショナルコーチの指導の下、グループごとに分かれ、張本智和選手らJOCエリートアカデミー生をコーチに、ラケットでのリフティングやラリーなどを練習。徐々にコツをつかんだ選手たちは、実戦形式の白熱した試合を展開した。 その後は、The学4「選手とソーシャルメディア」を実施。多くのアスリートが使用するSNSの活用法などを学んだ。The学5では「睡眠と運動パフォーマンス」をテーマにした講義を受けた。 2日目最後は「メディアトレーニング」。フジテレビの西岡孝洋アナウンサー、三田友梨佳アナウンサーを講師に、メディアとの向き合い方を学んだ。夕食の情報交換会では、両アナウンサーを司会に、模擬インタビューを体験。スケート・スピードスケートの加藤条治選手、スキー・フリースタイルの堀島行真選手、カーリングの藤澤五月選手などがテンポ良くインタビューに答えた。今後の競技生活に活かす 最終日のThe学6「異分野から学ぶ」では、書道家の武田双雲氏が講演。プログラム最後に書のパフォーマンスを披露し、選手が大切にしたい漢字一文字をしたためた大きな紙に力強く「和」という文字を書き加えた。 研修最後のプログラムは、アテネオリンピックの体操男子団体金メダリストで、現・男子日本代表チームの監督を務める水鳥寿思JOC専任コーチによるThe学7「夏から学ぶ(2)〜体操競技」。さまざまな手法のメンタルトレーニングや、リオデジャネイロオリンピックで3大会ぶりの団体金メダルを獲得した男子代表チームの舞台裏を紹介した。 クロージングセッションで登壇した橋本聖子JOC選手強化本部長は「2泊3日の研修の価値は、これから皆さんが決める。いかに理解し、自分に置き換えてプラスにしていくかが大事」と研修を振り返った。武田双雲氏による書のパフォーマンスPhoto/PHOTO KISHIMOTOPhoto/AFLO SPORT

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