OLYMPIAN2017
23/40

23カーリング界を引っ張る——札幌アジア大会での銀メダル獲得を振り返っていかがですか。両角 いつもアジアでは韓国、中国、そして日本の3カ国で争っているんですが、世界選手権に出場するためには毎年開催されているパシフィックアジア選手権で2位に入る必要があります。今回もその2位以内に入ることができたので、ホッとしています。ただ、母国開催の大会で優勝できなかったのは残念です。——男子のカーリングもアピールできたという手応えはありますか。両角 パシフィックアジア選手権で15年ぶりの優勝、日本選手権5連覇、そしてアジア大会でしたので、応援してくれる方が増えましたし、メディアにも多く取り上げていただきました。女子とともにカーリング界を引っ張れるよう頑張っています。——オリンピックへの思いは増しましたか。両角 そうですね。アジア大会の開会式に出てみると、いつもの大会と空気が違うなと感じました。オリンピックとなればもっと大きいのでしょうが、あれ以上の盛り上がりを急にオリンピックで体験したら、たぶん舞い上がってしまったのではないかと思います。そういう意味ですごくいい経験でしたね。作戦と迫力が見どころ——カーリングの見どころとは。両角 僕がスキップだからだと思いますが、作戦の部分がすごく面白いんです。毎回、場面ごとに正解が2~3個ありますから、その日によって作戦を変えるのも楽しいです。一般的に「氷上のチェス」と呼ばれていますが、相手の投げる石がわからない分、(順番が)来た後にまた考え直すというのが作戦づくりの醍醐味の一つだと思っています。また、男子はスイープの力の入り方にかなり迫力があるので、そこも楽しめる部分だと思います。——両角選手が憧れている選手はいますか。両角 国内で言うと、ほとんどの選手が(長野オリンピック日本代表の)敦賀信人選手を目標にしていると思うんですが、敦賀選手は毎回国内でトップを競う相手だったので憧れよりもライバルという意識が強かったです。 高校生のときにカナダチームとスウェーデンチームが世界選手権の決勝で戦っているのを見て、こういうカーリングをしたいなと思ったのが憧れという感じですかね。——チームの司令塔として、心掛けていることはありますか。両角 実はあまり引っ張っていくタイプではないんです。ただ、試合の際に、4人全員が力を出せるかどうかというのが一番大事だと思っています。唯一自分が考えていることは、チームメートを不安な気持ちにさせないように心掛けている、ということです。——チームメンバーはどのような存在ですか。両角 勝つために集まっていますから、仕事仲間なんでしょうね。どんなに面白いカーリングをやっていても最後は勝つことが大事。そのための仲間です。——昨シーズンから今シーズンにかけて好成績を挙げられていますが、一番の要因は。両角 カーリングのチームはメンバーの移籍が結構多いのですが、同じメンバーで10年続けているので、それだけお互いのことも分かっていますし、また世界選手権に毎年出場してきた経験も、自分たちのチームを強くしていると感じますね。——両角選手にとってオリンピックとは。両角 目標としている大会の一つではありますし、結果を出したいと強く思っています。一方で、オリンピックは4年に1回しかなく、世界選手権よりも出るためのハードルが高い分、気負い過ぎてしまわないように、今から心の準備だけしています。——オリンピックに向けて、どのような思いを持っていますか?両角 いかに自分たちのカーリングができるかがポイント。消極的になると、つけ込まれて簡単に負けてしまいます。舞い上がらず、一方で落ち着き過ぎずに、いつも通り楽しめればいいのではないかと思っています。自分たちはひたすら練習して、カーリングと真面目に向き合っていくこと。一つでも多くの勝ち試合を応援してくださる方たちに見せることができればと思っています。両角 友佑(もろずみ・ゆうすけ)1985年1月16日生まれ。長野県出身。98年長野オリンピックでの試合観戦をきっかけに、弟・公佑とともに競技を始める。2016年世界選手権で、過去最高の4位に。17年2月の日本選手権で5連覇を果たし、平昌オリンピックの日本代表候補に選出。同月札幌アジア大会では銀メダルを獲得。4月の世界選手権で7位に入り、日本男子20年ぶりとなるオリンピック出場権を獲得した。SC軽井沢クラブ所属。Athlete‘s Voice2017 SAPPORO ASIAN WINTER GAMESText/編集部20年ぶりのオリンピック出場へ両角 友佑カーリングYusuke MorozumiPhoto/PHOTO KISHIMOTOPhoto/PHOTO KISHIMOTO

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る