OLYMPIAN2017
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14すが、宇野選手から見て羽生選手はどんな存在ですか。宇野 すごく可愛がってくれて、気にかけてくれる先輩で、本当に尊敬しています。いつかは勝ちたい先輩でもあります。最終目標とずっと言い続けてきたこともあり、ユヅ君の存在がモチベーションにもなっています。——どんなところが尊敬できるのでしょうか。宇野 僕もスケートと真剣に向き合うようになりましたが、ユヅ君は昔からスケートに向き合う気持ちがすごいと思っていました。苦手な分野を感じさせず、全てが得意という印象を与える技術もすごい。そのアスリート意識など、全てにおいて尊敬しています。オリンピックを通過点に——オフシーズンやお休みに、楽しみにしていることはありますか。宇野 何か特にやりたいことはなくて、結局やりたいのは、やはりスケートです。シーズン中は、あまり無理ができず、試合に向けてコンディションを調整していくことがメインになりますが、オフだからこそ、シーズン中にできないスケートがあると思うんです。スケートばかりしていては効率が良くないですし、思い詰めてもいけないので、ゲー自分らしい演技を求めて——平昌オリンピックを来年に控え、今シーズンは、オリンピックを意識しながらの1年だったと思いますが、ご自身の手応えはいかがですか。宇野 とても充実していて、来年につながるシーズンが送れました。シーズン当初に掲げていた課題は、全てクリアできたかなと思います。また、新たに見つけた課題、今よりもっと進化しなければいけないことも感じました。どの要素がというより、まだ全体的に成長しなくては、と感じています。——オリンピックまで1年を切って、宇野選手はオリンピックというものをどのようにとらえていますか。宇野 夢の舞台です。ただ、まずはオリンピックに出場できるように全力で取り組むこと。そして、オリンピックを特別なものとしてとらえるのではなく、目の前の試合を一つ一つ戦い、その上でオリンピックを迎えたいと考えています。——プレッシャーをかけるつもりはないのですが、4年に1度しかない大会だからこそ、選手にとって特別なものに感じやすいとも思います。宇野 4年に1度という舞台で、やはり今までに感じたことのないプレッシャーがかかる大会だとは思いますが、それはそれで、どれだけのプレッシャーを感じられるのかも楽しみです。まずは、オリンピックに出ること。そして、プレッシャーの中でも後悔しないような自分らしい演技をしたいです。——今シーズン、特に年明け、とても多くの試合に出ていましたよね。宇野 昨シーズンは、全日本選手権が終わった後、四大陸選手権と世界選手権だけでしたが、試合の間隔が空き過ぎて、逆にずっと緊張感があり続けて、つらく感じたところもあったので、今シーズンは逆にたくさん出てみることにしました。やってみて、やはり僕は試合が好きだと感じられて、その点はすごく良かったと思います。来シーズンどうするかは、現時点では分からないので、今後決めていきたいです。ライバルからの刺激——見ている我々にとっても、宇野選手の活躍ぶり、成長ぶりは目を見張るものがありました。一方で、ライバル選手たちの競技力向上も感じます。周りとの相対的な戦いというところもあると思いますが、宇野選手自身は周りをどのように見ていますか。宇野 点数で競い合いますが、他のスポーツと比べると、直接的に相手と戦う感覚はなく、まずしっかり自分の演技をすることを第一に考えているので、すごく緊張感はありますが、試合以外では周りの選手ともとても仲良くしています。もちろん、彼らが成長するのは刺激にもなり、自分の成長の糧になります。これだけ周りが成長して刺激を受けることは、自分のレベルアップにもつながっていると思います。——宇野選手は昔からそういう考え方だったのですか。宇野 僕は、誰にも負けたくないという思いが本当に強いんです。ただ、たまたまではなく、実力で勝ちたい。誰かが失敗して勝つのは好きではなくて、みんなが成功した上で、自分が一番上にいられるようにしたいなって昔から思ってきました。——いい意味のライバルですね。宇野 そうですね。ライバルということも、みんなあまり口にしないです。自分の心の中では、この選手に負けたくないなどと思っているかもしれませんが、まず「自分に負けたくない」と考えていると思います。いい刺激となり、自分を成長させてくれるライバルは、リスペクトすべき存在です。——オリンピックチャンピオンとして、同じ日本人である羽生結弦選手がいます。今シーズンも世界選手権で金・銀メダルを獲得するなど、切磋琢磨するシチュエーションが多かったと思いま

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