OLYMPIAN2017
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12納得がいかないジャンプながら勝てたときだと、どちらがうれしいですか。髙梨 納得できるいいジャンプができた方がうれしいですね。——ライバル選手の存在はどのようにとらえていますか。髙梨 高いレベルの中で飛んでいると、モチベーションも高く保てます。レベルが高くない中で優勝するよりも、高いレベルで競い合い、私も相手もいいジャンプができて、それで勝てたときがやはり気持ちいいですよね。レベルが高い中で飛ぶということは、スタートゲートの位置もどんどん下がってきますし、お互い難しい条件の中で戦うのがとても楽しいです。相手がいて順位が決まるわけですが、まず内容が大事で、その後に結果がついてくると思っています。アウトドアスポーツなので風の影響もありますし、勝負は運の要素もありますしね。——髙梨選手にとってスキー・ジャンプの魅力は、その難しさなのかもしれないですね。髙梨 かなり目まぐるしく風向きが変わる試合もあります。その中で、いかに自分を保って集中し、自分のベストを尽くすかということも勝敗にかかわってきます。決まった時間に飛べるわけではなく、30分や1時間の中断などもよくありますし、その中でコンディションを整えていく力も大事になってきます。試合の数をこなしながら、だいぶ慣れてきたとは思います。——平昌オリンピックが近づいていますが、まずは3年前のソチオリンピックを振り返ると、どのような感想でしたか。髙梨 いっぱいいっぱいでした。自分にとっても初めてのオリンピックで、しかも女子ジャンプが初めて正式種目として採用された大会でしたので、今まで支えていただき、応援してくださった皆さんに結果で恩返しがしたかったんです。それができなくてとにかく残念でした。当時は、完全に自分の能力以上のことをしようと思ってしまいました。——オリンピックは4年に1度しかない分、難しさがありますか。髙梨 大きな試合に向けて自分をコントロールできる能力があるのが本当に強い選手だと思うので、そこを目指していきたいです。平昌オリンピックで金メダルを取ることは最大の目標なので、そこに照準を合わせて、練習をしていきたいと思います。——周りからの期待が大きいことはどう感じていますか。髙梨 もちろんうれしいです。ただ、最近も「勝ちたい」「ベストを尽くしたい」という気持ちが強い試合に限ってパフォーマンスを発揮できないことが多いので、そこは課題です。——ぜひ、思いっきり羽ばたいてください。応援しています。髙梨 はい。どうもありがとうございます。髙梨 沙羅(たかなし・さら)1996年10月8日生まれ。北海道出身。小学2年でスキー・ジャンプを始める。2011年第53回HBCカップジャンプ競技会、女子の部にて大倉山シャンツェの女子バッケンレコード141mを記録。同年2月、オーストリア・ラムサウで行われたコンチネンタルカップで、国際スキー連盟公認国際ジャンプ大会女子選手史上最年少優勝を果たす。12年インスブルックユースオリンピックで金メダルを獲得。12-13シーズンには、ノルディックスキージュニア世界選手権連覇、FISワールドカップでは、史上最年少で個人総合優勝を果たす。14年ソチオリンピック出場、4位入賞。16-17シーズンのFISワールドカップでは男女歴代最多タイの通算53勝を達成、2年連続4度目の総合優勝を果たす。(株)クラレ所属。Photo/魚住 貴弘

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