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2015.03.20 その他活動

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
過去最高の150名以上の参加者を集めた(写真:アフロスポーツ)
2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
竹田JOC会長から冒頭のあいさつ(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月9日、都内で日本スポーツ記者協会とともに2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催しました。本セミナーはオリンピック・ムーブメントの一環として、報道と競技団体の相互理解の場とすることを趣旨に行われています。17回目となる今回は「ソーシャルメディア時代におけるメディアの役割と、スポーツ団体における今後の情報発信の可能性」をテーマとして行われ、国内スポーツジャーナリストやJOC加盟団体などから過去最高となる150人以上が参加しました。

 冒頭、竹田恆和JOC会長は「本日は150名を超える方に申し込みをしていただいております。これはソーシャルメディアに対する興味と今後の取り組み方、あるいはその効果に関して、大変大きな関心があるからだろうと思います。2020年東京オリンピック・パラリンピック、そしてその先を見据えたスポーツ報道について皆様方に議論を交わしていただき、このスポーツジャーナリストセミナーが有意義なものになることを祈念しています」とあいさつしました。

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
国際スポーツ記者協会の総会での議論を紹介した宮田日本スポーツ記者協会会長(写真:アフロスポーツ)
2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
第1部はTwitter Japan株式会社の北野パートナーマネージャーが講演(写真:アフロスポーツ)

 続いて、宮田喜好日本スポーツ記者協会会長からは「先週、パリで国際スポーツ記者協会の総会に出席しました。そこで、このデジタル化の時代にあって記者の仕事をどのようにすべきかを話し合う場面がありました。だいたい皆さんやることは同じで、まず速報を出し、撮れれば動画を撮り、スチール写真を撮りそれをウェブに上げ、かたわらでインサイドストーリーを書き、紙面を作るということをどこもされているようです。ですが、果たして2020年東京オリンピック・パラリンピックが来るときにメディアの環境はどうなっているのか全く分かりません。でも何かしら対応はしなければなりません。本日の話からヒントを得ていただいて次に来る時代に生かしていただければと思います」と、今後の活動に生かせる場となることを期待しました。

 第1部では、「スポーツとSNSの将来 今後のスポーツ界におけるSNSの役割をTwitterの事例より考える」と題し、Twitter Japan株式会社メディア事業部の北野達也パートナーマネージャー(スポーツ担当)が講演し、Twitterがスポーツの情報発信にどのような可能性を持っているのか、そして意図を持って情報を発信することの重要性が訴えられました。
 Twitterが持つ「今が分かる」「開かれている」「会話が生まれる」「拡散する」という4つの特長のうち、特に「今が分かる」という部分が、ライブ感が醍醐味であるスポーツとマッチするという話があり、スポーツイベントにおいてうまくTwitterを活用した事例などが紹介されました。

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
高谷戦略広報課長からは組織委員会がSNSを重視していることが明かされた(写真:アフロスポーツ)

 第2部では、「ソーシャルメディアによる情報発信方法を考える これからのメディア・競技団体及び選手等の情報発信のあり方を模索する」というテーマでパネルディスカッションが行われました。
 朝日新聞の稲垣康介編集委員、日本テレビスポーツ局スポーツ事業推進部の佐野徹担当部次長、オリンピアン(バレーボール)の大山加奈さん、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の高谷正哲戦略広報課長、そしてコーディネーターとして過去の数々のオリンピックで日本代表選手団のプレスアタッシェとしてメディア対応の指揮を執った竹内浩JOC広報専門部会員が登壇しました。

 最初に登壇者それぞれの立場からのSNSとのかかわりが紹介されました。まずは、高谷戦略広報課長が「組織委員会の広報局においてエンゲージメントというのはすごく重要な概念のひとつです。広報局は国民、都民、世界の人々を1人でも多く大会に何らかの形で参加させるというミッションを背負っていまして、SNSはまさにエンゲージメントアクティビティのなかの大事な機能のひとつと位置付けて行っています」とSNSの重要性を強調。その後、組織委員会の取り組みが紹介されました。そして今後の課題として、SNS各社との法的整理の部分、各スポーツ団体とのコンテンツ面での連携を挙げました。

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
選手目線からSNSとの付き合い方を話した大山さん(写真:アフロスポーツ)
2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
稲垣編集委員はSNSを利用する上での課題が挙げられた(写真:アフロスポーツ)

 続いて、佐野担当部次長がテレビとTwitterの相性の良さについて言及。テレビとSNSを連携させた事例が紹介されました。また、稲垣編集委員は、Twitterでフォロワーを増やすのに大切なことは、どれだけオリジナルなことをつぶやけるかと速報性であると主張しました。

 大山さんは現役だった10年前にブログを始めたきっかけについて、「自分の気持ちを自分の言葉でファンの方に伝えたいという思いが一番でした」と説明。引退後にツイッターも始めた大山さんは、「バレー界に恩返しをしたいという思いが強くあり、そのためにもTwitterやSNSを活用していこうと思いました。バレーボールは恵まれてはいますが、Vリーグの会場では空席が目立ったり、競技人口が減ってきて危機感を感じる状況ですので、少しでも会場に足を運んでくださる人が増えたり、興味を持ってくださる人が増えたらいいなと思って」と、その理由を明かしました。

2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
取材をする側、される側の両方に向けたメディアトレーニングを提案した佐野担当部次長(写真:アフロスポーツ)
2014年度「スポーツジャーナリストセミナー」を開催
藤原JOC広報専門部会長の総括でセミナーは終了(写真:アフロスポーツ)

 2部の後半は SNSを利用する上での注意点に話が及びました。稲垣編集委員は「Twitterが怖いのはすべて自分の責任で発信されてしまう、世の中に出たら消せないということです」と新聞紙面と違って複数のチェックが入らないことを挙げ、「酒気帯びツイートは炎上のもとになる」と慎重な投稿を心掛けていると話しました。
 また、若い無名のアスリートが急に注目された際にそれまでプライベートで使用していたアカウントがパブリックなものになって戸惑ってしまう危険性を挙げ、若手選手へのフォローは競技団体としての課題になると訴えました。これには佐野担当部次長も同意し、若手選手だけではなく、メディアトレーニングのSNS版は取材する側、される側の全員が必要だと訴えました。

 高谷戦略広報課長は「不特定多数の人が見ているところでは不毛な議論を行わないことが原則」と組織委員会として心掛けている点を説明。大山さんは、SNSは選手を身近に感じられる反面、身近に感じられすぎて怖い思いをした経験などを話しました。

 最後に藤原庸介JOC広報専門部会長が「SNSは使い方によって多数の方に手軽にリーチができる。各競技団体が競技の魅力を伝え、ファンを増やし登録者を増やして底辺を拡大することにつながるんじゃないかと思っています」とSNSの可能性に言及すると同時に、「選手、担当者のメディアトレーニング、競技団体間でのSNSの使い方の成功例の情報共有もしていきたい。2020年に向けて競技団体間の連携も発展させていきたいと思っています」と今後に取り組むべき点を挙げて、セミナーを締めくくりました。

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