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2013.02.12 その他活動

「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催

「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
第9回スポーツと環境担当者会議(写真:アフロスポーツ)
「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
佐藤征夫JOC理事兼スポーツ環境専門部会長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は2月4日、味の素ナショナルトレーニングセンターで「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催しました。この会議はスポーツと環境に関する啓発・実践活動の理解を深めるとともに、環境保全について関係者・団体との連携、活動の促進を図るために行われ、今回はJOCや加盟団体の環境担当者ら56名が参加しました。

 冒頭のあいさつでJOCの佐藤征夫理事兼スポーツ環境専門部会長が、同部会員で日本テニス協会のスポーツ環境委員長を務めた生沼明人さんが1月25日に亡くなったことを報告。参加者全員で黙とうがささげられました。

「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
「バレーボールバンク」の取り組みについて紹介した橋口さん(写真:アフロスポーツ)
「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
バレーボールからつくられた小銭入れやペンケース(写真:アフロスポーツ)

■ボールを再利用する「バレーボールバンク」
 第1部では、「競技団体における環境啓発・実践活動の取り組みについて」と題し、2団体の事例が報告されました。

 日本バレーボール協会の業務執行理事・環境委員長で、JOCスポーツ環境専門部会員でもある橋口陽一さんは、「バレーボールバンク」という取り組みを紹介。バレーボールでは、2009年の国際バレーボール連盟による統一球の制定により、試合では使えないボールが大量に発生し、廃棄せざるを得ないという問題が生じました。そこで同協会が中心となって、国内のチームからボールを回収する活動をスタート。集められたボールのうち、使用できるものは東日本大震災の被災地や海外へ寄付され、ボールとしての使用が難しいものは小銭入れやペンケースなどに加工されているそうです。
 
 今後の課題について橋口さんは「現在はボールの回収、送付にかかる費用をどちらも各自に負担をお願いしています」と語り、ボールの輸送にかかる費用が、バレーボールバンク事業拡大の課題になっていると語りました。
 
 この取り組みについては他団体からも質問があり、日本ラグビーフットボール協会からは「同じ球技でボールを消耗する競技として、ボールを加工した小物に興味を持ちました」という意見が出るなど、聴衆の関心を大いに引きつけるプレゼンテーションとなりました。

「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
ISO20121を取得した経緯を紹介した宮崎さん(写真:アフロスポーツ)

■日本初のISO20121を取得したトライアスロン横浜大会
 世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会事務局次長の宮崎三美さんは、2012年9月29・30日に開催された「2012世界トライアスロンシリーズ横浜大会」が、大会終了後にイベントの持続可能性について定めた国際規格である「ISO20121」を国内で初めて取得した経緯について紹介しました。宮崎さんは「環境への配慮、大会を続ける持続可能性へのマネジメント力、横浜の先進性などをアピールし、自治体からの補助金を受けずに大会を運営するため、大きなメリットがあると考えました」と話し、さまざまな面で「持続可能な大会運営」に規格取得が役立つという考えを明らかにしました。

 実際に行われた事例として、トライアスロンのスイム(水泳)を横浜港で実施するという試みが紹介されました。一部からは「横浜港の水質はよくないのでやめた方がいい」との意見もありましたが、調査してみると横浜港の水質は海水浴場並みで問題はなく、その上で暑さが残る9月の大会ということで、外海からの赤潮流入防止対策を施して大会が行われたことが説明されました。

 質疑応答では規格の取得や申請に関する質問などがあり、宮崎さんは「審査を受けることで細かい作業が多くありましたが、新しい発見などもできて取得するメリットがわかりました」と答えていました。

「第9回スポーツと環境担当者会議」を開催
参加者に対し、環境保全の推進を呼びかけたJOC水野副会長(写真:アフロスポーツ)

■2012ロンドンと2020東京で取り組む環境対策について
 第2部では「スポーツと環境保全・啓発活動の理念と実践について」と題し、国際オリンピック委員会(IOC)スポーツと環境委員でもあるJOCの水野正人副会長が、ロンドンオリンピックで行われた環境対策の事例と、招致活動中の2020年東京オリンピック・パラリンピックで計画されている環境に関する取り組みについて報告しました。

 水野副会長はまず、1月にオーストラリアのシドニーを訪問した際に、屋外で予定されていた陸上競技が猛暑の影響で中止になったというエピソードを挙げ、地球規模の環境悪化の現状を伝えました。 
 
 続いて、2003年に開催された第5回IOCスポーツと環境世界会議で採択された、持続可能な開発に向けた協働体制の確立・維持・育成に関する決議を紹介し、会場の参加者に「国内のスポーツ大会の現場で環境保全活動を行う組織はどこでしょうか?」というクイズを出題しました。「国内競技団体」という参加者の答えを引き出した水野副会長は、「国内のスポーツ界における環境保全の推進には、さまざまな大会を開催している競技団体のみなさんの力が欠かせません」と、さらなる活動の推進を呼びかけました。

 ロンドンオリンピックの事例報告では、「持続可能性を実現するために、運営や競技会場の開発に大胆でゆるぎない決断を行った」と紹介し、利害を共有するステークホルダーに対する優先事項を絞った上で、環境保全に取り組んだことを紹介しました。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックで計画されている環境保全対策については、1月にIOCに提出された立候補ファイルの内容に沿って説明。「環境負荷の最小化」「自然と共生する都市環境計画」「スポーツを通じた持続可能な社会づくり」という3つの方針とそれぞれの詳細なプランについて、「環境を優先する2020年東京大会」という考えを伝えました。
 
 引き続き、閉会のあいさつを行った水野副会長は「環境とスポーツは別の世界と思われがちですが、私たちがしっかりした気持ちを持って環境保全を推進しないと、『スポーツ界は何をしているのか』と思われてしまいます。ぜひ、いろいろなところで活動に取り組んでください」と述べ、会議を締めくくりました。

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