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2018.04.18 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
プレゼンを行った6選手。左上から前田選手、石川選手、相馬選手。左前から大堂選手、萩野選手、佐藤選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
星野一朗JOC理事(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月26日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。

 アスナビは、オリンピック・パラリンピックや世界選手権などを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動です。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに今春入社予定選手含め141社/団体211名(2018年3月26日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会には、30社44名が参加しました。

 最初に主催者を代表し挨拶に立った星野一朗JOC理事は、トップアスリートが世界の舞台で活躍するには、練習場や宿泊、食事施設のハード面だけでなく、経済面でも安心して競技に打ち込める環境が必要不可欠であることを説明しました。2月の平昌オリンピックでは日本代表選手団として派遣したアスリート124名のうち、19名がアスナビを通じて各企業に採用された選手であったことを報告し、「彼らが平昌で躍動する姿を連日見ていましたが、トップアスリートは自分のためだけでなく誰かのために戦うことができること、誰かに応援していただくことが競技力向上に一番必要な要素だとあらためて強く感じました」と述べました。そして、「今日は今夏のアジア競技大会、2年後に迫った東京2020大会で主役となる可能性を秘めたアスリートが6名登壇します。それぞれの競技の魅力や醍醐味についてお話しする機会を設けていますので、これを契機にぜひ彼らの競技に興味ご関心をお持ちいただけたら幸いです」と呼びかけました。

 次に中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが、資料をもとにアスナビの概要を説明。夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート採用後の雇用形態や給与水準、勤務スケジュール、選手活用企業のポイントなどを紹介しました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
株式会社久慈設計経営企画室室長の久慈和也取締役(写真:アフロスポーツ)

「アスナビ」採用企業の事例紹介では、2014年にアイスホッケーの小西あかね選手を採用した、株式会社久慈設計経営企画室室長の久慈和也取締役が登壇。勤務形態や仕事内容、採用の経緯、社員による応援活動などを写真を用いて紹介しました。小西選手の採用が内定したのは、2013年12月。その直後にソチオリンピックの日本代表入りが決まると、同社では社内でパブリックビューイングを開催するなど、入社前から小西選手を応援してきました。以来、社内の雰囲気が変化してきたと久慈取締役。小西選手の活躍がメディアなどで取り上げられると、社員も「すごい!」と励まされるようになり、応援ムードの高まりとともに、同社で課題となっていた社員の一体感が醸成されてきたといいます。そして、「4年間いろいろなことがあって、何とか平昌オリンピックにも出て、今、本当に会社がまとまってきたなというのを肌で感じています。選手一人でも、会社の雰囲気が変わるというイメージが伝わればと思います」と参加企業にメッセージを送りました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
荻原健司さんから応援メッセージ(写真:アフロスポーツ)

 オリンピアンからの応援メッセージでは、1992年アルベールビルオリンピック、1994年リレハンメルオリンピックのスキー・ノルディック複合団体で2大会連続金メダルを獲得した荻原健司さんが、自らの競技経験から、また現在は指導者として選手を採用する立場から、企業による支援の必要性について語りました。現在、北野建設株式会社スキー部のGMを務める荻原さん。同社の選手たちが競技だけでなく、地域や社会への貢献活動にも積極的に取り組んできたことを紹介し、「こういう活動を地道に続けていくことが企業の信頼に非常に大きくつながってくると考えています。(会社としてスキー部の活動を)47年やってきて、私自身も『北野さんが選手を育ててくださっていますよ』という、地域の信頼をすごく感じます」と、アスリート支援による企業へのメリットを説明しました。

 その上で、「会社とスポーツ、全く一緒だと思います。よくスポーツでは『心技体』と言いますが、心がない人は絶対に世界の頂点に立てない。でも、ここにいる6人のアスリートはみんなセンスがある人だと思います。『今日なぜ負けたのか。じゃあ明日はこれをやってみよう』と、そういうことを毎日繰り返している人たちです」と太鼓判を押し、参加企業に支援を訴えました。

 最後に、就職希望アスリート6名がプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介や競技のデモンストレーションなどで、自身をアピールしました。

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
前田寿隆選手(左)、石川周平選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
相馬絵里子選手(左)、佐藤駿選手(写真:アフロスポーツ)

■前田寿隆選手(テコンドー)
「私の強みは、闘争心と集中力からなる粘り強い精神力を持っていることです。6歳のころからフルコンタクト空手を習い、小学4年生でテコンドーを習い始め、中学校卒業と同時にオリンピックで金メダルを取ることを目指しテコンドーの道一筋で行くことを決意しました。空手で培った闘争心と、テコンドーで培った集中力は、粘り強い精神力として自身の最大の強みであり、誇りとしています。就職後は業務、また競技において、闘争心あふれる熱意と最後までやり切る集中力、また得意のリーダーシップを発揮し、いかなる壁をも乗り越えて活躍してみせます。東京2020大会で金メダルを取るために、競技に専念できる環境とご支援のほど、よろしくお願いいたします」


■石川周平選手(陸上競技)
「私は、陸上の110mハードルを高校1年から7年間、専門種目として行っています。私の強みは課題を発見する能力と課題を発見するために行動できることです。大学1、2年生ではけがに苦しみ結果を残すことができませんでした。しかし、けがで満足に走れない期間でも、体力、技術、コンディションの面から自分の課題を明らかにし、その課題に対して小さな目標を段階的に設定し、地道にできることからトレーニングと日々の生活の改善を行いました。また、私はコンディショニング面を重視して自身の競技や大学での勉強を行ってきました。そのため、働く際には企業の皆さまに対し、栄養面、ストレッチ、健康を維持するトレーニングなどで社内の掲示物を作成することや、イベント開催などを通じて皆さまが健康に働く支援ができると思っています。日本人でまだ誰も成し得ていないオリンピックでの決勝進出、さらにメダルを獲得するには、競技と仕事を両立できる環境が必要です。競技者としての姿を通して、企業の皆さまに活力を与えるとともに、企業を代表する、“働くアスリート”になりたいと考えています」


■相馬絵里子選手(陸上競技)
「(専門とする)100mハードルは走力が非常に鍵を握る種目です。私の強みはそのスピードにあります。昨年の日本選手権では3位という結果を残し、初めて表彰台に上ることができました。惜しくも世界選手権の代表は逃してしまいましたが、私も世界の舞台まであと一歩だと自信につなげることができました。私の長所は一つのことに打ち込む高い集中力と向上心にあると思っています。現在はコンピュータ関連の仕事をしており、仕事をしながら競技をしています。また陸上競技においては海外遠征や合宿等にも積極的に参加して新しい技術を取り入れるように努力しました。今後の目標は今年のアジア選手権、2019年世界選手権、東京2020大会に出場し、日本記録を更新することです。世界の舞台で戦うという目標を達成するために、皆さまのお力が必要になります。陸上競技を通して会社の士気や活気を高める一番の存在になることを、ここにお約束いたします」


■佐藤駿選手(ボッチャ)
「私がボッチャを始めたのは小学校3年生の時に、日本ボッチャ協会の理事長に『ボッチャをやってみないか』と勧められたのがきっかけでした。ボッチャは2016年のリオデジャネイロパラリンピックで銀メダルを獲得しました。2020年の東京パラリンピックの日本チームは、金メダルを獲得しようとしています。私の強みは2つあります。1つ目は相手の行動を読む力です。ボッチャは将棋やカーリングのように相手の先を読むスポーツです。そして、相手の投球が終わった後、自分はどうするかを考えながら進めていきます。2つ目は粘り強さです。私は1年間、(練習として)1万回の投球をやってきました。ただ単に闇雲に投げるのではなく、精度や投球の確度を考えながらやってきました。東京2020大会では金メダル獲得を目指しています。そのために企業の皆さまにはご協力いただけたらと思っています」

JOCの就職支援「アスナビ」:企業説明会を実施
萩野真世選手(左)、大堂秀樹選手(写真:アフロスポーツ)

■萩野真世選手(車いすバスケットボール)
「私の強みは内に秘めた闘争心があることです。コートに入ると積極的に攻める自分があります。その結果として2015年のU25世界選手権大会にてベスト5に選出、2017年、2018年の国際親善試合では2年連続でのベスト5に選出されました。私の目標はパラリンピックでメダルを獲得することです。大学を卒業して3年、会社に務めながら競技活動を進めてきましたが、仕事に対する責任感を持つことで競技に対する責任感も強く感じ、より競技に専念できる環境で取り組んでいく必要があると感じました。2年後に迫った東京2020大会出場に向けて、応援していただける企業の皆さまと共に、結果を出していきたいと考えています。車いすバスケットボールは知れば知るほど魅力あふれるスポーツです。企業の皆さまから応援していただくことを力に変えて、個人としてもチームとしても結果を残し、少しでも多くの方に興味を持っていただけたら幸いです」

■大堂秀樹選手(パラ・パワーリフティング)
「パラパワーリフティングは日本ではあまり認知度の高くない競技ですが、世界的には大変人気のある競技です。パラリンピック初出場は2008年の北京大会で、8位に入賞することができました。2012年ロンドン大会では6位入賞を果たし、2016年リオパラリンピックも8位入賞と、3大会連続入賞を果たしています。東京2020大会では4大会連続入賞はもちろんのこと、メダル獲得を目標に入れてトレーニングに励んでいます。しかし、今までに出場した3大会で、世界のトップとは(野球の)リトルリーグと大リーグくらいの差があると実感しています。しかし、私は諦めません。目標に向かってチャレンジし続けます。個人の力だけでは限界があります。その差を埋めてメダルを取るためには、生活の全てを競技優先にすることが必要不可欠です。どうか私のチャレンジをご理解いただき、一緒に戦ってくれるパートナーとなっていただければうれしく思います」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との名刺交換、情報交換会が行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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