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選手強化 スポーツ科学基金

スポーツ選手におけるMRIによる身体組成の評価

研究者:札幌医科大学 医学部整形外科助教 渡邉耕太
共同研究者:山下敏彦、片寄正樹、谷口圭吾


【目的】
スポーツ選手における身体組成についての研究は以前から行われており、体脂肪率と競技力や筋量と競技特性との関係が報告されている。スピードスケート連盟医事委員会では以前よりスピードスケートトップアスリートのメディカルチェックやスポーツ障害対策における一方法としてMRIを用いており、スケート選手に多い腰痛の予防対策や、体幹皮下脂肪率は体脂肪量の個人差や変化を、大腿皮下脂肪率と大腿筋断面積は競技力を表す指標になる可能性などを報告してきた。本研究ではトップアスリートで得られた成果をジュニアのスポーツ選手に応用し、MRIによる身体各部位の身体組成を評価し,障害予防や競技力向上に役立てることを目的とする。

【方法】
対象はスピードスケートジュニア北海道強化指定選手を主とする13名(男性7名、女性6名)である。MRIにより体幹部(ヤコビー線のレベル)と大腿部(大腿骨長1/2のレベル)での横断像を得た。これらの画像において皮下脂肪、筋組織、骨組織、その他の4種類の面積をコンピュータ上で解析用ソフトウエアー(NIH image)を用いて測定した。そして全横断面積に対する皮下脂肪の割合(体幹皮下脂肪率、大腿皮下脂肪率)、腹側筋群/背側筋群比(体幹部)、屈筋/伸筋比(大腿部)、大腿筋断面積/体重比を算出した。また、全身体脂肪率をBODPODを用いて測定した。得られたデータから全身体脂肪率とMRIによる皮下脂肪率との関係の検討や、オリンピック強化指定選手との比較を行った。

【結果・考察】
全身体脂肪率、体幹皮下脂肪率、大腿皮下脂肪率のいずれも男女ともにオリンピック強化指定選手よりも高値であった。この傾向は特に女性において大きかった。全身体脂肪率と体幹皮下脂肪率、大腿皮下脂肪率を比較すると、男女ともに全身体脂肪率に比べ体幹皮下脂肪率、大腿皮下脂肪率が高値を示した。一方、オリンピック強化指定選手においては女性では体幹皮下脂肪率、大腿皮下脂肪率は全身体脂肪率よりも高値を示していたが、男性では三つの値はほぼ同様であり、ジュニアにおいては男性でトップアスリートとは違う傾向を示した。

体幹部の腹側筋群/背側筋群比、大腿部の屈筋/伸筋比をオリンピック強化指定選手のデータと比較した結果、男性では有意な差は認めなかったが、女性において大腿部の屈筋/伸筋比がジュニアの選手において有意に高値を示し、ハムストリングスの発達がトップアスリートに比べ不足している可能性が示唆された。大腿筋断面積/体重比では、男女ともにトップアスリートよりも低い値を示し、競技力の差を反映しているものと考えられた。

本研究からジュニア期の身体組成の特徴が示された。今後このような計測を継続することで、成長やトレーニングによる身体組成の変化、競技成績との関係を解明しうると考えられた。

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