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"スポーツと環境" グリーンアクションフォーラム

地球環境を守るため、スポーツができること

竹田恆和JOC会長
竹田恆和JOC会長
斉藤鉄夫環境大臣
斉藤鉄夫環境大臣

10月12日(日)、東京・丸の内の丸ビルホールにて「“スポーツと環境”グリーンアクションフォーラム」(主催:日本オリンピック委員会(JOC)、共催:チーム・マイナス6%(環境省))を開催しました。

これは、環境保全のために、スポーツ界がどのような役割を果たしていけるのか、専門家とオリンピアンが集い、ディスカッションとトークで考えるイベントの一環です。

開会の挨拶で竹田恆和JOC会長は、JOCが行っている環境保全のための啓発活動と実践活動を紹介し、「スポーツ界はその影響力を活かし、低炭素社会実現の大きな力になるべきと考えます」と宣言。また、斉藤鉄夫環境大臣は、地球温暖化防止に必要な国民のライフスタイルとワークスタイルの転換に、スポーツが持つ影響力を発揮してほしいと期待を述べました。

続いて行われたパネルディスカッションには、司会の板橋一太JOCスポーツ環境専門委員会委員長をはじめ、水野正人IOCスポーツと環境委員会委員、末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問がパネラーとして参加。低炭素社会の実現に向けスポーツ界が果たす役割や、カーボンオフセットの考え方などについて、意見を交わしました。

左から、板橋一太JOCスポーツ環境専門委員会委員長、水野正人IOCスポーツと環境委員会委員、
末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問

水野氏は、「IOCが最初に環境問題に直面したのは、1972年の札幌冬季オリンピック。スキー(滑降)の競技会場を、環境保全団体の要望に応え、大会後に植林をして元の山林に戻したのが始まり。以後、オリンピックの開催と環境保全の調和の問題がたびたび起きたことを受け、1990年代初めに、サマランチ元IOC会長の呼びかけで、"スポーツ" "文化"と並ぶオリンピズムの柱に"環境"を加えることになった」と経緯を説明。

1995年に設置されたIOCスポーツと環境委員会は、各オリンピック大会での環境保全の実施をはじめ、環境に対する啓発活動と実践活動を、スポーツの中でどのように仕組みとして動かしていくかをテーマに活動している、と紹介しました。

国連環境計画で二酸化炭素の排出権取引などを推進する末吉氏は、地球温暖化を防ぐには相当な規模でのCO2の排出削減が必要であることを説き、目標達成の手段として「カーボンオフセット」を紹介しました。

その仕組みは、

  1. 1)まず、普段の生活で自分がどれだけCO2を出しているかを知る
  2. 2)自分でCO2排出を減らす努力をする
  3. 3)自分の努力でまかないきれない分は、自分より多くCO2を減らしている人や国にお金を払ってお願いし、そこで減らされた分を自分の削減量にする

というもの。

「われわれはCO2を出すのは自由だと思ってきましたが、それが環境を悪くしているのであれば、責任を取ってコストを払うのは当然。これがカーボンオフセットの基本になる考えです。また、この仕組みのもうひとつの利点は、CO2を減らす事業は実は発展途上国に多いということ。豊かな国から、カーボンオフセットの行為を通じて善意のお金がそれらの国に渡るのです」。

左から水野正人IOCスポーツと環境委員会委員、末吉竹二郎国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問

これに対し水野氏は、カーボンオフセットは確かに必要だが、多くの人や団体が限られた財源で活動しているスポーツ界にとっては、そこに対価を払うとなるとなかなか難しいことを説明。「スポーツが、人々に感動を与えると同時に環境保全のメッセージを送れば、相当大きな力になる。それがスポーツ界のオフセットになるのではないか」との考えを表明しました。

板橋一太JOCスポーツ環境専門委員会委員長
板橋一太JOCスポーツ環境専門委員会委員長

末吉氏もこれに同意し、スポーツ界が「自分たちこそ情報の発信源」という発想で、CO2が引き起こす問題や、それを減らすアクションを起こそうというメッセージを積極的に発することとその効果に、大きな期待を寄せました。

板橋氏は、2016年の東京オリンピック招致では、東京湾の中央防波堤に森を作るなどして、カーボンオフセットより一歩進んだ「カーボンマイナス」のスポーツイベントにする計画を紹介。「未来の子どもたちが私たちと同じようにスポーツを楽しみ、健康な生活を送れるよう、地球環境を守るため皆さんと一緒に歩んでいきたい」と結びました。