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チーム青森(カーリング)

目黒萌絵選手
写真提供:フォート・キシモト

恩本橋麻里選手(上)と、
スウィーピングする石崎琴美選手(左下)、
山浦麻葉選手(右下)
写真提供:フォート・キシモト

40m先の円(ハウス)を目指して、リード、セカンド、サード、スキップの4人が一人2投ずつ、2チーム合わせて16個のストーンを投げ合う。これを1エンドとして10回繰り返すカーリングは、相手チームとの戦略面での駆け引きや、ピンポイントを狙うスーパーショット等、息詰まる攻防を見せてくれます。

トリノ冬季オリンピックの前は、ストーンをハウス内に溜めないゲームが中心でした。でも、(トリノの)カナダ戦で、こちらから仕掛けていって勝った経験から、今のチームでは、ストーンをうまく残して攻めて行く方法も積極的に使うようになりました」と語るのは、チーム青森のキャプテンであり、司令塔の役割を果たすスキップの目黒萌絵選手です。

チーム青森は2006年のトリノ冬季オリンピック後、主力メンバー2人が離脱。目黒選手と本橋麻里選手に、山浦麻葉選手が加わり、さらに2007年にはソルトレークシティー冬季オリンピックを経験している石崎琴美選手、2008年には近江谷杏菜選手が加入しました。

「トリノの時は先輩たちについていく感じで、何より大事なのはチームの中で自分の役割を果たすことでした。今は、勝つためにメンバーそれぞれの力をいかに引き出し、チームをどうコントロールしていくかが一番の課題になっています」。

当時はリードとして主に1、2投目を投げ、スウィーパーという自分の役割に徹した目黒選手も、トリノ後は、相手ショットの得意不得意や、刻々と変わるアイスコンディションを読み取って戦略を立て、チームメイトの調子を見ながら指示を出すスキップに。攻撃的な作戦を避ける傾向があったチームを変え、今は、勝つためにどうすべきかを徹底的に話し合い、状況に応じたさまざまな戦術を模索しています。

練習を重ね、経験を積むことで「一つできるようになれば、また一つ課題が出てくる、の繰り返し」により、チームの着実な成長を感じていると言います。

そのチーム青森が出場を目指すのがバンクーバー冬季オリンピック。出場権は、2007〜2009年の世界選手権の結果により与えられるポイント上位10カ国に与えられます。2007年、地元青森で開催された世界選手権に日本代表として出場したチーム青森は、4勝7敗で決勝トーナメントに進めず、8位。予選リーグタイブレークで対戦したアメリカ戦では、ショットが目的通りにいった良い場面もあった一方で、全体として何もできないまま終わってしまうという、苦い経験が残りました。

「メンタル面でうまく立ち直れなくて負け込み、本当に自分の弱さを感じた大会でした」と目黒選手は振り返ります。

もう二度と後味の悪い試合はしたくない、そんな強い決意で臨んだ2008年の世界選手権では、4位と健闘。現在世界ランキング7位タイ(13ポイント)に位置しています。

2008年11月に行われたパシフィック選手権で2位以内に入ることができなかった日本は、3月21日から韓国で行われる2009年の世界選手権には出場できませんが、バンクーバーへの出場権獲得の可能性は大です。しかし、国内の代表争いが残っているため、チーム青森がその切符を手にするためには、まだ超えなければならないハードルが残っています。2009年2月には軽井沢国際カーリング選手権の3位決定戦で強豪カナダチームを下し、その9日後に行われた日本選手権では史上初の4連覇を果たすなど、着実にステップアップしているチーム青森ですが、日本選手権の決勝では、ミスから延長戦に持ち込まれる場面も。「オリンピックでは一つのミスが致命傷になります。だから、このミスが即、負けにつながるという意識で、もっと上を見て練習していく必要があります」と目黒選手は気を引き締めます。

「世界選手権もオリンピックも、大会のレベルや出場選手の顔ぶれはほぼ同じ。でも、オリンピックは注目度が全然違うと、トリノで強く感じました。どちらもとても栄誉ある大会ですが、やはりオリンピックは4年に1度の祭典であり、アスリートのあこがれの舞台。また出たいと思ってもそう簡単に出られる大会ではなく、その意味でも特別な舞台です」とオリンピックへの思いを口にする目黒選手。その一方で「メンバーのうち、3人がオリンピック独特の厳しさや、結果を残せない悔しさを十分に知っています」と既に、バンクーバーで戦う意識は整っているようです。

チーム青森は、晴れて出場が決まれば「必ず結果を残したい」と、カーリング史上初のメダル獲得という目標を見据えています。


写真提供:アフロスポーツ

チーム青森
スキップ(キャプテン)/目黒萌絵
サード/本橋麻里
セカンド/山浦麻葉
リード/石崎琴美
リザーブ/近江谷杏菜

(編集部 2009.3.12掲載)