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HOMEコラム/インタビューアスリートインタビューCLOSE UP!第12回 恩田祐一選手、夏見円選手

CLOSE UP!

恩田祐一選手(スキー・クロスカントリー)
夏見円選手(スキー・クロスカントリー)

左:夏見円選手 右:恩田祐一選手
写真提供:アフロスポーツ

恩田祐一選手 写真提供:アフロスポーツ

夏見円選手 写真提供:アフロスポーツ

丘陵や森林をスキーで走るクロスカントリーは、スプリントと呼ばれる短距離から、男子は50km、女子は30kmまでと、距離のバリエーションが豊富な競技です。走法は、スキーを平行に保ったまま前後に動かして進む『クラシカル』、スケートのようにハの字に開いて進む『フリー』の2種類があり、それぞれの走法に適したスキーを使います。

この競技で圧倒的な強さを誇るのは、ノルウェーを中心とする北欧の国々。今回は、層の厚い強豪国との戦いにおいて上位に食い込み、日本クロスカントリーの歴史を変える活躍を見せている恩田祐一選手と夏見円選手を紹介します。

恩田祐一選手は、初参戦した2002-2003シーズンのワールドカップから2季連続で8位に入賞して以来、2006年にはトリノ冬季オリンピック日本代表選出、2007年にはワールドカップ・ラハティ大会で当時日本選手最高位の4位に入賞する等、日本スプリントのトップ選手です。

男子スプリントでは、高低差のある1周最長1.8kmのコースを、1日のうちに予選から決勝まで戦い抜かなくてはならないため、高度なテクニックとスタミナが要求されます。
「試合中3分位の間は、気を抜くところはないですね。ちょっとの隙があると入り込まれますし接触も多いですから」

昨シーズンは2度の怪我に苦しんだ恩田選手。充分に戦えなかった悔しさから、シーズン終了直後から、練習を再開しました。
ランニングやローラースキー、登山も積極的に取り入れて持久力を強化。ポールを押す上半身と、地面を強く蹴る下半身の筋肉をつけるためのレジスタンストレーニングは、毎日のようにこなしました。
「気がついたら体脂肪率が9%(昨年13%)まで落ちていて。今年は身体が絞られてきてるなと実感しています」

今シーズンは技術面の改良にも、本格的に取り組んできました。
「強い筋肉を有効に使っていく様な滑り方を考え、それをいかに自分のものにするか・・・・・・。技術の向上には終わりはないと思っていますから。コーチと一緒に自分が求めているスタイルを追求しました」

2年前にはノルウェーチームの合宿に参加。より厳しい環境に身を置いた事によって恩田選手は意識が一変したと言います。また、スキー競技以外のトップアスリートとも親交を持ちメンタル面での刺激を受ける等、貪欲に成長しています。

昨シーズンは、2月のワールドカップ・ストックホルム大会で、女子の夏見円選手が3位に入賞しました。これは、日本が初めて参加した1928年のサン・モリッツ冬季オリンピック以来初のメダル獲得という歴史的快挙。日本クロスカントリー界の悲願が達成された瞬間でした。
「本当は僕が最初に表彰台に上りたかったです(笑) でもまだ1位と2位が残ってますから。初優勝は僕が狙います!」

バンクーバーを見据えた今シーズンの戦い、恩田選手は、「2009年2月19日からチェコで開催される世界選手権大会でAファイナル(決勝)に入る」「ワールドカップで表彰台に上る」に照準をあてています。

一方、クロスカントリー女子のエース・夏見円選手は今シーズンの課題を「スプリントフリーでセミファイナル以上」と設定しています。

夏見選手が得意とするのは『クラシカル』。ワールドカップでの表彰台もクラシカルのレースで射止めました。
「左右に動くスケーティングが苦手で…。それに、コースにレーンがないので、どうしても位置取りなどに迷いが生じてしまうんです」

しかし、バンクーバー冬季オリンピックに向けた大事な戦いとなる2月の世界選手権は、『フリー』で実施されることが決定しています。
そのため、シーズン前にはスケーティング技術の習得に徹底的に取り組み、特に必要とされる太もも裏側の筋肉強化に努める等、万全な準備を行いました。

夏見選手は、全日本スキー連盟が、オリンピックでの上位入賞を目的に2000年秋にスタートさせた強化プロジェクトにより、飛躍的な成長を遂げた選手です。
強化策の成果は早速翌年、ワールドカップ・アシアゴ大会での11位という成績となってあらわれます。その後、2002年のソルトレークシティー冬季オリンピックで12位、2006年のトリノオリンピックでは福田修子選手とのチームスプリントで8位に入賞する等の記録を打ち出しました。

また、昨シーズンのワールドカップでは参戦した全試合で一桁台の順位をキープ。シーズンを通したスプリント総合で10位という素晴らしい成績を収めています。

「今シーズンは世界選手権に向けて調子を上げていって、そこ(世界選手権)で結果を出していく事がポイントです。チャンスがあれば3位以内に入りたいと思っています」
来年2月にチェコのリベレツで開催される世界選手権は、バンクーバーとほぼ同時期の開催。夏見選手は、今シーズンをオリンピックイヤーのシミュレーションと捉え、戦います。

長年大きな活躍を見ることができなかった日本クロスカントリーですが、オリンピックで初のメダル獲得という機運が高まっています。 バンクーバー冬季オリンピックへ向けて、厳しい戦いを繰り広げている恩田選手・夏見選手をはじめ、日本クロスカントリー界への応援をよろしくお願いいたします。

(編集部 2008.12.25掲載)


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