コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

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春の隅田川で行われるボートの早慶戦は新聞やテレビで見るチャンスが多いので、中にはボート競技というのはこのことだと思われている方があるかもしれません。

しかしボートの競技にはこのエイトと呼ばれる漕ぎ手が8人のもののほかに、4人乗りや2人乗り、1人乗りのものがあります。また種目については(社)日本ボート協会が「舵手つきフォア」「ダブルスカル」など10種目を漕艇種目として定めています。

アテネオリンピックのボート競技には、軽量級ダブルスカルの男子に武田大作/浦和重、女子は岩本亜希子/内山佳保里の4選手が日本代表として派遣されることが決定しています。

今回は、埼玉県の戸田で行われている男子選手の合宿にお邪魔して、軽量級ダブルスカルでメダルを狙う武田選手と浦選手にお話をうかがいました。

- ボートとの出会いはいつのことですか。

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武田大作選手。オリンピック3大会連続出場を果たし、3度目の正直でメダルを狙う。


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浦 和重選手。ナショナルチームに入って4年目、シドニーの屈辱をアテネで晴らす。


武田 「高校1年生からです。愛媛大学農学部附属農業高校のボート部に入部したのですが、それはまず競技する人が少なく、珍しかったからということと、僕は山育ちなので海に行けるということが楽しく、練習する場所がよいと感じたからでした。ボートには小さいころからのエリート教育がないため、高校生からスタートできる競技だということもボートを選んだ理由です」

 「僕も高校生の時です。僕は福岡舞鶴高校の出身ですが、特にボート競技に強い学校というわけではありませんでした。高校に入ったらなにか部活動をしようと思っていましたし、それまで柔道をしていたので柔道部を見に行きましたが、中学校から選ばれて入学している生徒たちがいました。興味があったサッカーも、中学校や小学校からやっている人たちがいて、追い付くのは大変なことだと思いました。それならば高校生からスタートできる、誰もやったことがなさそうなボートはどうかとボート部に行くと、水の上でスポーツをする姿がとても新鮮で、入部を決めました」

- 高校、大学、社会人とボートを続けてこられた魅力とはどんなところにありますか。

武田 「高校のボート部ではナックルフォアで、2年生までは身体が小さかったのでコックス(舵手)を担当していました。3年生の時にインターハイに出るチャンスが巡ってきて、シングルスカルで5位に入賞しました。大学は愛媛大学農学部に学業推薦で入学し、森林資源について学びました。大学1年生の時は愛媛大学のボート部で舵手つきフォアのメンバーとして練習してはいましたが、バイクに乗るのが楽しくてしかたがなく、気持ちはすっかりバイクに傾いていました。

大学2年生の時に国体に出場して優勝したことでやる気が出てきて、本当にがんばり始め、3年生ではアジア大会の代表になれました。ボートは水の上を後ろ向きに進むので面白いですよ。水や風も味わえ、非日常的なところがいいように思います。愛媛で練習する時は砂浜からボートを海に出して練習しますが、本当に気持ちがいいです」

 「乗り始めた頃は、単純に気持ちがよく面白かったのですが、突きつめていくにつれて難しさと面白さがミックスされるようになり、きついけど楽しいと思うようになりました。どんなスポーツでもそうですがトップを目指そうとすると当然練習は苦しくなります。でも僕はその苦しさがいい方向へ、面白いと思えるようになってきました。大学は日本大学に入学しました。

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ナショナルチームの艇庫がある
埼玉県戸田の国立スポーツ科学センター。)


僕は高校時代、特別ボートで活躍していたわけではありませんでしたから、日本大学のボート部の監督のところへ行き、実力を見てもらうという自己アピールもしました。

大学のボート部は高校からのエリート集団で、僕は雑草的存在でしたが、雑草だってやればできるということを見せたかった。この気持ちのおかげで4年ではキャプテンも務めることができました。就職はやはり強い社会人ボート部を持つNTT東日本へ。もしここへ入れなければ、もうボートは止めようと思っていました。

ボートは感覚がとても大事なスポーツです。頭で理解できていても、身体の感覚がないと進まない。逆に理解できていなくても身体の感覚があれば進んでしまうという、技術だけではなく感覚で漕いでいるところがあります。そういうところが自分に合っていて、また面白いと思うところです。どんなスポーツにも共通することですが、ボートという競技も大変に奥が深く、未だに分からないこともあるし、続けることでどんどん伸びているという実感もあります」


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Photo:AFLO SPORT



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