第29回オリンピック競技大会(2008/北京)

ボートのみどころ

日本代表選手団

観戦のポイント

通常のレースは6艇で争われ、レースに違反がなくレース成立が確認されると、ゴール順に順位が決まる。予選は1位のみ通過し、残りの艇は「敗者復活」に回される。敗者復活は、各予選の2位、3位……と予選の結果を考慮して組み合わされ、勝ち残って準決勝に進出するクルー数は全参加艇の数から決定される。例えば準決勝が2レースの場合は、各レース3クルーが決勝に進むことになる。レース自体が自然中で行われるため、記録よりも組み合わせや順位が重要視され、メダルを狙う強豪国は、レースで勝ち上がれることがハッキリしたレース展開になると、次のレースに備えて体力を温存するためにラストスパートをセーブしたりする場合もある。

そのため、タイムだけではなく、レースの組み合わせや展開に注意する必要がある。余裕があれば、クルーにプレッシャーが少ない予選で、各艇のコンスタントなレート(ピッチ)での艇の進み具合を観察しておくといい。また、クルー全体のユニフォーミティー(統一性)の観察も重要だ。一見すると綺麗に息が合って漕いでいるように見えるが、1000〜1500メートルの後半のスパート前の漕ぎを観察すると、上位艇と下位艇では、その違いがハッキリする。オールに漕手の力がスムースに伝わっている上位艇は力感あふれ、リズムが軽やかなのが見てとれるハズだ。

北京大会の勝負の行方だが、かつての東ドイツのように各種目でメダル独占のような強豪国はなく群雄割拠の時代だと思われる。世界のトップクラスではゴールまで水の空かないデッドヒートが展開され、どのレースもラストスパートの掛け合いでメダルの色が変わることになる。日本の男子軽量級ダブルスカールは、過去2大会(シドニー・アテネ)連続で決勝進出6位入賞の実績を持ち、今回の代表クルーは前回同様の浦・武田組で経験も豊富だ。狙いは“世界の頂点”と、モチベーションも高いので、期待も大きい。女子軽量級ダブルスカールもアジア最終予選をぶっち切りで突破し、海外遠征でも着実に力をつけて来た。今回で3度目の出場となる岩本と、早稲田の後輩で初出場の熊倉のペアの息もピッタリで、こちらも期待度は高い。

また、中国のオリンピックへ向けての強化がどの程度の成果をあげるか? 欧米のプロコーチを招聘し、海外遠征を重ね、さらにコックスは全国から公募して決定したという。国をあげての強化だっただけに中国クルーのレースぶりも注目だ。

日本ボートのオリンピック挑戦史

戦前の1928年の第9回アムステルダム大会に出場して以来、第二次世界大戦とその敗戦によって出場が叶わなかった第12回〜14回大会をのぞいて、日本ボート界は連続して出場権を獲得してきた。そして、その挑戦は開催時の日本協会の強化方針や、国内の経済状態などに左右される一面もあり、派遣されたクルーの種目にもかなりの変遷がみられる。その歴史を大きく俯瞰すると、各大学、団体の単独クルーから選考してエイト、フォアなどの大きな艇を中心に派遣してきた時代から、最近のように全国から代表候補選手を選考して、その中から代表選手を決定し、軽量級ダブルスカールを中心に、軽量級シングルスカールなど小さな艇を派遣するという流れになっている。この方針は一応の実績をあげ、この2大会連続の決勝進出6位入賞になっている。

(詳細はボート協会公式ホームページ、協会データファイル、全日本大会プログラムなどを参照のこと)

北京大会での日本チームの実力と目標

北京大会に出場する種目と選手は下記のとおり。

(1)男子軽量級ダブルスカール

武田大作(愛媛県出身 178p 72s 34歳 ダイキ)
・96年アトランタオリンピック 男子ダブルスカール代表
・00年シドニーオリンピック 男子軽量級ダブルスカール6位入賞
・04年アテネオリンピック 男子軽量級ダブルスカール6位入賞
・その他 00年世界選手権 軽量級クウォドルプルで優勝
アジア大会、世界選手権、W杯入賞多数

浦 和重(福岡県出身 180p 70s 31歳 NTT東日本東京)
・04年アテネオリンピック  男子軽量級ダブルスカール6位入賞
・その他 アジア大会、世界選手権、W杯入賞多数

(2)女子軽量級ダブルスカール

岩本亜希子(長野県出身 173p 60s 29歳 アイリスオーヤマ)
・00年シドニーオリンピック 女子軽量級ダブルスカール代表
・04年アテネオリンピック 女子軽量級ダブルスカール代表

熊倉美咲(埼玉県出身 164p 60s 25歳 戸田中央総合病院)
・岩本・熊倉ペアで07年世界選手権、女子軽量級ダブルスカール9位

男子はメダル獲得。世界の頂点を目指せ!を合言葉に、女子は決勝進出を目指して選手・スタッフが一丸となって力漕します。軽量級ダブルスカールは参加国も多く、ボート競技の中でも最も激戦区となっています。激戦を乗り切り、メダルを獲得できればと願っています。