第29回オリンピック競技大会(2008/北京)

レスリングの解説

日本代表選手団

(1)競技方法・着衣

組み合って相手を倒し、相手の両肩をマットにつけることを目的として勝敗が競われる。打撃(パンチやキック、頭突き等)は禁止。ギブアップを奪うような関節技と絞め技も禁止だが、相手の動きを封じるために関節を極めたりすることは認められる。

キャンバスで覆ったマットの上の直径9メートルの円の中で行われる。

試合着はシングレットと言われるレスリング用タイツ。組み合わせ抽選の時に引いた番号が小さな選手が赤色のシングレット、もう一方が青色のシングレットを着用する。柔道のように相手の着衣をつかむことはできない。レスリング・シューズを着用し、裸足で闘うことはできない。

(2)試合のスタイル

フリースタイルとグレコローマンの2種類がある(女子はフリースタイルのみ)。フリースタイルは全身を使っての闘い。脚を相手にかけたり、脚を使って守ることができる。グレコローマンは上半身のみの闘い。相手に脚をかけるような攻撃や相手の腰から下に攻撃を仕掛けることは禁止。脚を使って相手の攻撃を防ぐことも認められない。

(3)実施階級

男子はフリースタイル、グレコローマンとも55・60・66・74・84・96・120s級の7階級。女子は48・51・55・59・63・67・72s級の7階級だが、北京オリンピックで実施されるのは48・55・63・72s級の4階級。計量は試合の前日の夕方に行われる。

(4)試合ルール・勝敗

試合時間は2分3ピリオド。インターバルは30秒。相手の両肩をマットにつけた(フォール)時点で試合が終わる。

2分間でフォールによる決着がつかなかった場合は、獲得したポイントの多寡等でそのピリオドの勝者を決める。2ピリオドを取った選手が試合の勝者。一方の選手第1・2ピリオドを連取した場合は、第3ピリオドは行わない。

(5)ポイントの種類

ポイントはかけた技に応じて1点、2点、3点、5点に分かれている。

1. 1点=相手の背後に回り、相手の動きを制した時に与えられる。相手の両手両ひざのうち三点をマットにつけることが必要で、立った状態で相手の背後に回って動きを止めてもポイントにはならない。他に、技を仕掛けて相手を片足でも場外に出した時も1点が与えられる。
2. 2点=前項の状態からフォールを狙って技を仕掛け、相手の両肩を90度以上マットに近づけた時に与えられる。その状態を5秒以上続けると、ボーナスポイントとして1点が加わり、計3点となる。
3. 3点=柔道で見られるような投げ技が決まった時、相手をタックルで持ち上げて背中からマットに落とした時、マットにうつ伏せになっている相手を持ち上げて投げた時などに与えられる。
4. 5点=相手を自分の胸よりも上に持ち上げて投げた時など、前項の技がさらに豪快に決まった時に与えられる。

他に、反則行為・逃避行為・消極的行為(警告)があった場合、その状況に応じて相手選手に1点または2点が与えられる。

ポイントは、試合を裁くレフェリーと、マットサイドにいるチェアマン、ジャッジの3審判によって決められ、判断が分かれた場合は多数決によって決まる。微妙な場合は試合を止め、ビデオテープによる確認作業が行われる。

(6)ピリオドの勝者決定方法

各ピリオドは、規定の2分間が終了した段階でポイントを多く取っていた選手が勝者となる。ただし、テクニカルフォールの規定があり、次の項目に該当する場合はその時点でピリオドの勝者が決まる。

1. 6点差がついた時
2. 5点の技が決まった時
3. 3点の技が2度決まった時

1−1以上の同点で試合が終わった場合は、相手に警告を与えている選手が勝者となる。警告数が同じだった場合は、より大きなポイントを獲得している選手が勝者となる。それも同じだった場合は、最後にポイントを取った選手が勝者となる。

0−0で終わった場合は、最大30秒の延長戦が行われる。レフェリーが赤と青のボールの入っている袋の中からボールを引き、出た色のシングレットの選手が有利な体勢からスタート。先にポイントを取った選手が勝者となる。30秒経って両選手ともポイントがない場合は、不利な体勢だった選手に1点が与えられ勝者となる。

(7)グレコローマンの試合方式

グレコローマンはやや変則的な試合方法で行われる。スタートから1分が経った時点で試合を止め、残りの1分はグラウンドの攻防が行われる。

1分が経った時点でリードしている選手が攻撃権を獲得。四つんばいの相手に対して、クロスボディロックという組み手で攻撃の体勢をつくり試合再開。30秒経ってフォール、あるいはテクニカルフォールでの決着がつかなかった場合は、攻守を変えて30秒、グラウンドの攻防が行われる。防御側の選手が30秒を守り切ってポイントをやらなかった場合は、1点を獲得する。

1分が経った時点で同点の場合は、レフェリーによって袋の中のボールピックアップが行われ、出たボールと同じ色のシングレットの選手が攻撃権を獲得。前記と同様の手順でグラウンドの攻防が行われる。

(8)試合進行・組み合わせ

組み合わせは、敗者復活戦のあるトーナメント方式。一般的なトーナメントと違い、1回戦はすべてトーナメント表の下側で行われる。敗者復活戦へ回れるのは、決勝に進んだ選手に負けた選手。そこを勝ち上がった選手が、準決勝で負けた選手と3位決定戦を行う。従って3位は2人。

抽選は試合の前日に行われる計量のあと、シングレット着用の状態で行われる。シード制は採用していない。