第29回オリンピック競技大会(2008/北京)

クレー射撃の解説

日本代表選手団

射撃競技は散弾銃を使用するクレー射撃、ライフル銃・空気銃を使用するライフル射撃、ピストル・エアピストルを使用するピストル射撃に大別される。銃器を使用してその技を競う射撃競技は、世界的に普及している。

(1)クレー射撃

オリンピックで実施されるクレー射撃競技には、トラップ種目、スキート種目、ダブルトラップ種目がある。ダブルトラップ種目に関しては男子種目のみ実施され、他2種目は男子種目・女子種目が実施される。標的は、直径110mm(±1mm)、高さ25〜26mm、重さ105g(±5g)の円形である。材料は石灰にピッチを混ぜたもので、着色してあるのが一般的である。オリンピック大会ではオレンジ色に着色された標的が用いられる。決勝ラウンドでは観戦者に強くアピールするため、ピンク色の粉末が仕込まれたパウダークレー(フラッシュクレー)が使用されるが、北京大会のみ予選からパウダークレー(緑色の粉末)が使用される。

(2)トラップ種目

トラップ種目競技は、世界各国で色々なルールで楽しまれているが、オリンピックで実施されるトラップ種目は、最も難度が高く "オリンピックトラップ" と呼ばれるルールで行なわれる。

射台は横並びに5個所設けられ、射台の前方15mの地下にトラップピット(放出機が収められている箱)があり、各射台に対応して右、中、左の3台の放出機が設置されている。選手の号令(コール)により自動的に方向不定で標的が放出される。選手は各射台で1個ずつ標的を撃っていき、5射台を5巡して合計25個の標的を撃って1ラウンドとなる。1ラウンドに要する時間は23〜25分間程度である。放出角度、高度、飛行距離は9通りのセットがあり、抽選などによって各射面のセットが決められている。2日競技の場合セットは日ごとに替えられる。放出速度は3種目の中で最も速い。又、この種目だけは1個の標的に2発まで射撃が許される。1発目、2発目いずれで命中しても1点となる。

オリンピックでは1900年パリ大会より正式種目となった歴史がある。2000年シドニー大会から女子種目が加わった。

男子種目は、2日間行なわれる。1日目3ラウンド、2日目2ラウンド合計125個で上位6名を決定し、決勝に進出する。決勝の1ラウンドを加えた150個の成績で6位までの順位を決定する。

女子種目は、1日競技である。予選3ラウンド75個の成績で上位6名を決定し、その6名が決勝に進出する。決勝の1ラウンドを加えた100個の成績で6位までの順位を決定する。

男女共に同点の場合は、サドンデスのシュートオフで決着をつける。シュートオフでは1発の装填しか許されず、2発目を撃つことは出来ない。1992年バルセロナ大会で故渡辺和三選手が2番射撃台で左のクレーをはずして銀メダルに終わったことは悔しい思い出である。

(3)スキート種目

スキート射撃は1910年頃アメリカで始められた。スキートとはスカンジナビア古語で撃つという意味である。アメリカでは伝統的なアメリカンルールでのスキート射撃が驚異的とも言えるほど普及している。年少期から射撃を始め、ここからナショナルチーム入りする選手も多い。オリンピックでは選手の技量の向上と共に難度を高めるためルール改正が繰り返し行なわれている。

射台は半円上に1番から7番までが配置され、1番と7番の基線上の中央に8番射台が設けられている。1番射台の背後にハイハウス、7番射台の背後にローハウスがあり、各々1台の放出機が設置されている。それぞれのハウスからセンターボール上を通過するように標的が放出される。選手は6人が一団となって1番射台から8番射台まで移動しながら射撃を行う。1番から6番までは1枚のクレーを撃つ "シングル" と両方のハウスから同時に放出される "ダブル" をルールに従って撃っていき、7番射台ではダブルのみ、8番射台ではシングルのみを撃ち、合計25個で1ラウンドとなる。1ラウンドに要する時間は25〜30分間程度である。

1968年メキシコ大会から正式種目となり、2000年シドニー大会から女子種目が加わった。オリンピックでの運営は男女ともトラップ種目と同様である。

同点の場合は4番射台のみ使用しプル側からのダブル次にマーク側からのダブル射撃を行うサドンデスのシュートオフで決着をつける。世界のトップともなるとなかなか決着がつかず50個以上撃つこともある。

(4)ダブルトラップ種目

1996年アトランタ大会で男女共に正式種目となった。この種目だけは自然発生したものではなく、オリンピック種目とするために研究を重ね新開発された種目である。が、アテネ大会を最後に女子種目は除外され今大会を最後に男子種目も除外される事が既に決定している。

トラップ射面を用いるが、使用する放出機は3番射台に対応した3台のみである。放出角度、高度は左の放出機が左5度・高さ3mのAセット、中央の放出機は0度・高さ3mのBセット、右の放出機は右5度・高さ3mのCセットで、いずれも55m地点に標的が着地するようにセットされる。放出距離は3種目の中で一番短い。射手は各射台で2個同時に放出されるダブル標的を撃つ。男子は5射台を5巡し25セット50個の標的を撃って1ラウンドとなる。

1日間で予選・決勝を消化し、3ラウンドの合計150点で上位6名を決定し、決勝に進出する。決勝1ラウンドを加えた総合計200点で6位までの順位を決定する。同点の場合は "C" セットで1番射台から交代で撃っていくサドンデスのシュートオフで順位を決定する。アトランタ大会から始まった種目ではあるが、吉良佳子(現姓三浦)選手が6位に入賞、井上恵選手がアテネ大会では5位入賞するなど、日本女子選手の活躍が最も顕著な期待の持てる種目であるが、残念な事にアテネ以降は除外種目となり北京大会では男子ダブルトラップのみとなる。
又、男子ダブルトラップ種目も今大会を最後に除外種目として決定している。