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第29回オリンピック競技大会(2008/北京)

フェンシングの解説

日本代表選手団

沿革

フェンシングは中世の騎士道華やかなりし頃、「身を守る」「名誉を守る」ことを目途として磨かれ、発達してきた剣技である。その後、火器類の発達により、戦(いくさ)の場での実用性は急速に衰退していったが、その繊細かつ奥深いテクニックに魅せられる者が多く、競技化への道を歩むこととなった。

1750年に金網のマスクが開発され、危険性が大幅に緩和されたことが引き金となり、この頃からヨ−ロッパ各地で盛んに競技会が開催されるようになる。オリンピックでは、第1回近代オリンピック(1896年アテネ)で正式種目に採用されて以来、欠かすことなく現在に至っている。しかし、当時は競技規則が国によりばらばらで、統一されていなかったために問題が数多く発生した。1914年6月にパリで開催された国際オリンピック委員会(IOC)国際会議で統一的な「競技規則」が制定された。これにより、競技の公正さが保たれ、判定を巡る争いは影を潜める事となった。この規則はフェンシングの国際性を確立する上で大きく貢献し、同時に現在の国際フェンシング連盟(FIE)の試合規則の原案ともなっている。

競技及び試合規則

競技はフル−レ、エペ、サ−ブルの3種目があり、使用する武器の形状や有効面(得点となるターゲット)の違いなど、それぞれの種目により競技規則が異なる。

試合は3種目において男女の個人戦と団体戦が実施されている。個人戦は、通常は予選リーグとそれに続くエリミナシォン・ディレクト(ED)とよばれる勝抜きトーナメントから構成されており、予選リーグは3分間の5本勝負、トーナメント戦では9分間(3分間3セット、セット間に1分間の休憩)15本勝負が採用されている。但し、オリンピックでは予選リーグはなく、世界ランキングによるEDから開始される。

団体戦の得点

試合得点の上限
第1試合5点
第2試合10点
第3試合15点
第4試合20点
第5試合25点
第6試合30点
第7試合35点
第8試合40点
第9試合45点

団体戦は4名で構成されたチームの中の3名による総当たり戦(9試合)で行なわれている。最初の対戦は、3分間の5本勝負で行なわれ、その後も3分間でそれぞれ5本を加算した得点を上限として行われる。(右表参照)

例えば、第5試合目で20対10から開始された場合、20点を取っているチームは上限の25点までの5本を取ることができる。一方10点のチームは25点までの15本まで取ることができる。
9試合目で45本まで到達しない場合は、試合終了の時点で、得点の多いチームが勝ちとなる。

なお、IOCではオリンピックの種目別競技を10競技までと制約しており、今回の北京では、3種目男女の個人戦と、男子エペ、男子サーブル、女子フルーレ、女子サーブルの団体戦が行われる。

フルーレ:

フルーレは「慣習の武器」と呼ばれ、幾つかの約束事の上に競技が成り立っている。その中核を成すのが「攻撃の権利」である。すなわち、剣を手に向かい合った両選手のうち、先に腕を伸ばし剣先を相手に向けた方に「攻撃の権利」が生じる。この権利は攻撃が正しく終了するまで生き続けるので、相手は何らかの方法でそれを阻止しなければならない。阻止に成功すれば権利は移行する。すなわち「反撃の権利」を得るわけである。こうして攻撃(アタック)―防御(パラード)―反撃(リポスト)―再反撃(コントル・リポスト)といった瞬時の技の応酬(剣のやりとり)がこの種目の見所である。

選手は有効面(左右の腕、頭部を除いた上半身部分)に金属を織り込んだメタルジャケットを着用して試合する。判定は電気審判器で行い、有効面を突くと色ランプ、無効面は白ランプが点灯する。主審はランプの点灯と権利の移行を的確に視認しながら判定を下していく。

剣は細身で、重量500g以下、全長110p以下、剣身は90p以下。男女共同じ剣を用いる。北京オリンピックでは男子フル−レの団体戦は行われない。

また、北京オリンピックにおいては、透明マスク(目の部分だけバイザ−式にクリスタル樹脂がはめこんである)が使用される。

エペ:

決闘を起源とする競技で、全身すべてが有効面である。「攻撃権」は無く、先に突いた方の得点となり、双方の突きが同時である場合は双方の得点となる。ランプの点灯に注目していればどちらの選手が得点を挙げたか判断できるので、最も分かりやすい種目といえる。

剣はフルーレより一回り大きく、かつ頑丈な作りとなっている。重量は770g以下でフルーレより若干重い。長さはフルーレと同様に全長110p以下、剣身は90p以下となっている。

前腕を狙っての攻防から一転、つま先への意表を突く攻め、あるいは機を見て思い切った接近戦でボディを突くなど、スピーディーかつ変化に富んだ試合展開が見る者を興奮させる。ヨーロッパでは特に人気のある種目で、ワールドカップ等では出場者が最も多い種目として知られている。北京オリンピックでは女子エペの団体戦は行われない。

サーブル:

駒上での戦闘を起源とする競技で、フルーレとエペが突きだけの競技であるのに対し、サーブルでは「斬り」「突き」の動作がある。有効面は、両腕、頭部を含む上半身の全てとなっている。下半身が無効面であるのは、馬を傷つけないという騎兵隊の動物愛護精神から来ていると言われる。剣の長さは全長105p以下、剣身は88p以下とされており、ガード(鍔)は手の甲を覆うように大きくなっている。ル−ルはフル−レと同じく「攻撃の権利」に基づくが、「斬り」による技の応酬はよりダイナミックである。

選手はフル−レと同じ金属繊維で作られたメタルジャケットを着用する。アテネオリンピックから透明マスク(目の部分だけバイザ−式にクリスタル樹脂がはめこんである)が使用されている。