北京オリンピック スペシャルコラム 第4回

日本を熱くさせた女子選手の活躍

文:折山淑美

日本シンクロナイズドスイミングの歴史と
伝統の力で獲得したメダル

その1日前の20日には、水の中での熾烈な戦いがあった。シンクロナイズドスイミングのデュエット決勝だ。

1984年ロサンゼルス大会で正式種目になって以来、6大会連続でメダルを獲得してきたシンクロも、今度ばかりは危機だった。アテネ大会まで日本代表チーム監督として選手を育ててきた井村雅代が、昨年から指導している中国の双子ペアのショウ・テイテイ、ショウ・ブンブンのペアが力をつけてきたからだ。ロシアとスペインが上にいるという状況から見て、「日本のメダルは危ないのでは」という見方も強かった。

鈴木絵美子原田早穂ペアは、18日のテクニカルルーティン予選では、ミスを犯した中国ペアを抑えたものの、得点差は0・166点と、フリールーティンで日本がミスをすればひっくり返される危険もあった。だが、「迫力を出すために」と、本人たちも申し入れて演技の最後に組み込んだ、20秒間近く潜ったままで行う足技もピタリと決め、中国ペアを突き放してメダルを死守した。

「合宿の時から、汚い言葉だけど『こんちくしょう』とか『負けるか』と声を掛け合って気持ちを盛り上げてきた」と言うふたり。自分たちの演技が終わり、順位を確認して自分たちのメダル獲得を確信した途端、まだ最後の挨拶をする前からボロボロと涙を流し始めた。

金子正子チームリーダは「北京へ入ってから、ロシアやスペインの選手やコーチたちまで、『日本のルーティンは素敵だ』とか、『頑張って』と応援してくれたんです。日本の苦しい立場をみんなが知っててくれたんです」と言う。それは彼女たちが、これまでずっと戦いあってきた仲だからこそ、発した態度だ。鈴木と原田が執念で獲得した銅メダルは、6大会連続でメダルを獲り続けてきたという、日本シンクロナイズドスイミングの歴史と伝統の力が獲得したメダルでもある。

ソフトボールもまた、オリンピック競技から外れるという厳しい状況を迎える時だからこそ、北京で金メダルを獲ったという歴史と伝統を、日本ソフトボール界は継承し続けていかなければいけない。

さらに、女子サッカーの準決勝進出という予想外の健闘も見事だった。初戦の引き分けで苦しい戦いを強いられたが、その後の粘りで準決勝進出という快挙を果たした。メダルは逃したものの、3位決定戦まで戦ったという結果は、高く評価できるものだ。

女子選手たちは、日本を熱くさせてくれた。


写真提供:アフロスポーツ
写真提供:フォートキシモト
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